ラコタ滞在記Part2-14:ドリームキャッチャー~いや、私はスパイダーウーマンじゃありません~

私はホワイトサンダーに自分が会いにいくということを隠してサプライズな再会をしたわけだが、それから暫くして彼にこう伝えた。

「ここにきた一番の優先事項は、あなたに会うことだった」と。

いい歳をしたオヤジが、その言葉ではにかんだ笑顔を返してきた。

正直、居留区の人々がすべからく健康であるとは到底言いがたい。
居留区にも大きな病院が一つあるが、そこに常駐している医師の数もたかが知れている。スーパーに売られているものを見れば、野菜にしても肉にしてもあまり品質がよさそうには見えないし、とにかく冷凍食品やジャンクな食料が多い。
これはホピに行ったときも同じだった。居留区での病気の死亡率は増えている。糖尿病と癌が深刻だ。
そんな現状を知れば知るほど、元気でいるかちょっと心配になった。だから元気そうな姿が見れてほっとした。

じゃぁ!とばかり、彼は私を一般の観光客では入れないような神聖な場所へと連れていってくれたわけだが、そこでいろいろな話をしてくれた。
話に関しても、私からこういうことはどうなんだ?とかそういう質問も何も考えてこなかった。きっと尋ねれば教えてくれるのだろうが、いかんせん彼は目で見えてない何かを察して話すところがある。

「さて・・・今日はどんな話をしようか・・・」
ちょっと私を見て、そう言うと
「ふむ、じゃぁドリームキャッチャーの話でもするか」となって少々ビビる。

なぜならこの旅から帰国後すぐに半年以上ぶりのドリームキャッチャー作りワンデイワークショップを企画していたからだ。そのための材料を居留区へくる前にクラフトショップで仕入れた。そんなタイミングでこの話を切り出されるとは驚きだ。

なにしろスピリチュアリティと伝統に厳しい彼の事。私がワークショップをやるなどと言ったら「伝統は売り物じゃない」と怒られるに違いないと思ってこの件に関しては黙っていたのだ。なんだか見透かされた気がして思わず俯いてしまった。なんでもお見通しだ・・・この人は。

ドリームキャッチャーにまつわる話は部族によっていろいろあるが、たいがいは知られている事かもしれない。しかしあえて彼はこう切り出した。

「どんな事にも良いことと悪いことがある。ドリームキャッチャーをよくお守りだと信じて部屋に吊るしている人々は多いが、物事には二つの側面があることを忘れてはならない。今日はドリームキャッチャーにまつわる『ネガティヴな側面』の話をしてやろう」

ネイティヴアメリカンの伝統や神話に出てくるグレートスピリットと呼ばれるものにはすべて二面性がある。
もともとはバランスのもとに成り立っていて、そのようにこの世が発生したのだが、やがて人類は知恵を持つようになって二つの側面を持つようになった。しかし、良い/悪いという解釈はつまるところそれを実践したり受け取ったりする側の思い一つ。
価値観とは主観的なものであり、とどのつまり存在そのものには良い/悪いで分かたれているのではないのが真理。

ラコタ族にいくつもの儀式とその執り行い方、それにかける思いや理由、知恵を教えたホワイトバッファロー・カーフ・ウーマンの話などはそのいい例で、彼女(彼女と呼んでいいのか微妙だが)は非常に恐ろしい側面と慈愛の側面と両方持っている。悪意のあるものには冷酷に接し、善意あるものに英知を授けた。それも試練と共に。しかしその先にあるものは全てにおける『和に至る』方法であった。

「イクトミは知ってるな?彼にまつわる話はたくさんあるが、一言で言えば失敗をしながら知恵を築き上げたスピリットだ」

イクトミとはクモの事で、伝説上グレートスピリットの一つだ。クモは先述「4本足の動物」に分類されると記したが、それは足が8本であるということ。4を神聖な数とするラコタ族はそれが2倍あると考えたのかもしれない。
またそれを這うものに関連づけた。クモは虫に見えるが厳密に言うと昆虫ではない。

イクトミは最初に、地底世界にいた人間を地上へと導いた存在であり、人間に技術と英知を授けた存在。
地底からクモの巣を使って人間を地上に向かって跳ね上げたとか、地球上で暮らすための避難所的な場所を探したという言い伝えから、クモは母なる大地と強力なリンクを持っており、治療や癒しに必要なパワフルなエナジーとインスピレーションを授けるアシスタント的存在としても考えられている。

しかし、そこに至るまでにイクトミは様々な失敗を犯し、騙し騙されの繰り返しだった。イクトミにまつわる伝説の一つに、インディアンが大地(アメリカ大陸)の象徴であるカメを騙したために地底界へ落ちる羽目になったという話がある。その頃は天界の神々の間で確執が起きており、イクトミはエゴの化身のような神の言いなりになったせいでそうなったらしい。最終的にこのエゴの化身のような神は地上で天界の神々にささげる白いフルーツを育てていた人々を騙そうとし、結果的に地底界に堕ちることになるのだが・・・。

そんなこんなでイクトミという存在はヘヨカ(普通と逆のことをする神)の代表としても考えられることがある。つまり、『人の振り見て我が振り直せ』的な存在でもあるということだ。あるいはもっとスピリチュアルな解釈で言うと、王道がホワイトマジックだとすればある種ヘヨカというのはブラックマジックのような感じでもある。
また、イクトミは男性名詞で語られることもあるし、女性名詞で語られることもある。

「ドリームキャッチャーはイクトミが人間に授けた知恵の象徴でもある。クモの巣の様に編まれているウェブは人と人とのつながりやその緻密な具合が知恵の証であったり、やがて一生は終わりを迎えるという人生を表すこともある。その一方で、イクトミはブラックマジックをかける闇の側面があるんだ。もともと人々や神々を騙してきた存在だからな。その中から失敗を繰り返して結果的に知恵を身に付けることができたわけだが・・・。

どんな事にも二面性がある。ドリームキャッチャーを手に入れて、浮かれて寝室に飾るものじゃない。悪い夢をキャッチして良い夢だけを通すとか、あるいは逆に良い夢をキャッチして悪い夢は素通りさせるとかいろいろ言われているが、結局はそのドリームキャッチャーを手に入れた人間のあり方次第だ。愚か者はイクトミにいいように騙される。しかし、己を律し、良心の道を歩む者には知恵を授ける・・・そういうことだ」

ドリームキャッチャーを手に入れて、浮かれて寝室に飾るもんじゃない。
というのは、裏にこう言った意味がある。『他力本願や依存は良い結果を生まない』という事。

眠っている間は非常に無防備な時であり、眠っている間にスピリットはそのありのままの姿を曝す。その人の心の有り様が表面化する。だからその人の心の有り様によって、ここは波長の法則と一致するが、悪しきものには悪しきもの、良きものには良きものと繋がる。

ラコタの人々は夢を神聖なものとみなすが、それはその人の魂の有り様を示すツールだからでもある。
ドリームキャッチャーは良い夢だけを見させるというまやかしではなく、人生の有り様を夢に映し出す象徴なのかもしれない。『夢の振り見て我が振り直せ』・・・ということだ。

さて、そんなドリームキャッチャーの話をしおえて、私はドリームキャッチャー作りのワークショップを実は帰国後に開く予定があると話た。懐から以前作った小さいドリームキャッチャーのペンダントをホワイトサンダーに見せると、彼はきょとんとした顔をわざとしてこう言う。

「お前はイクトミか!!このスパイダーウーマンめっ!!」
「えええぇ!?いや、腕から糸とか出ないんだけど」
もちろん彼は冗談で言ってきたので、アホな返答をした私に苦笑いしていた。

「まぁいい。ただ、ドリームキャッチャーというのはそういう物だ。軽々しく考えない方がいい。心を正しておかなければ、バッドスペルをかけられるぞ。わかったな?」
「はぁーい」

私はイクトミやドリームキャッチャーにまつわるスピリチュアリティ、またその材料に関する深い意味などをドリームキャッチャー作りのワークショップで常々しているつもりだが、正直製作に必死になってしまうので記憶に残してもらえるかどうかは分からない。以前、ドリームキャッチャーの作り方を教えてくれた人がこう言っていた。「作り方を教えるのは構わない。これは売り物じゃないし、深い意味がある。このスピリチュアリティを伝えるきっかけとして作り方をシェアするのは良いことだと思う」と。

残念ながら・・・どこまで伝えられているのか自信はない。しかし、楽しく作っている姿を見ているとそれもまたありだと思う。

いわゆる養成講座などと違って、作ることを楽しむのに焦点をあてたワンデイワークショップで細々とした事を言わない方がいいのかもしれないと思っているのが正直なところだ。

異国の伝説の話などどうでもいいと思われてしまえばそれまでなのだが、こういった話には現代人が忘れてしまった大切なことを思い出すきっかけになることがある。・・・本当はどれも皆深い意味がある事を知ってもらえると嬉しいと思っている。

*スウェットロッジ来るか?~White Thunderからの誘い~につづく


 
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