ラコタ滞在記Part2-12:セレモニーソング~スピリット宿りし歌の数々~

ランチ前、ホワイトサンダーは自宅から持参したセレモニー用のドラムを叩いてこんな話をしてくれた。

「ドラムの種類もいくつかあるが、叩き方も歌の内容によっていろいろあるんだ。パウワウはこんな感じだな」

実際にパウワウで使われるドラムは非常に大きくて10人ほどで歌を歌いながら叩く。撓りがよく、先端の細いドラムスティックを使って一斉に叩くのだが、その強弱がものすごい迫力だ。


パウワウのドラムのリズムを聞かせてもらってから、次にセレモニーソングでのドラムの叩き方、さらにスピリチュアルソングでのドラムの叩き方の違いのレクチャーだ。セレモニーソングとスピリチュアルソングというのは違うのか?・・・厳密に言うと違う。

『セイクレッドソング』という感じでひとくくりになっているのだが、セレモニーソングはあくまで儀式で使われる歌の事で、それ以上にスピリチュアルな表現になるとスピリチュアルソングになるらしい。

ふむ・・・どう説明したらいいのか、分かりやすいものが思い浮かばないが、セレモニーソングは式次第に載っているような誰でも歌える歌(そのメロディ運びは人によって少々異なるが)で、スピリチュアルソングはそういう定義されたものではないという感じだろうか。たとえば氏族や家にのみ代々伝わる歌みたいなものだ。

レクチャーが終わって今日はスピリチュアルソングを3曲歌ってくれた。

「最初の歌は・・・この時期はラコタだけでなく、あちらこちらでヴィジョンクエストが行われている。また先代の人々もこの時期はそうだった。そのような事をふまえてヴィジョンクエストをしている人々と先代に敬意を表し、グレートスピリットに祈る歌だ」

歌が始まると、声質がまるで変わる。話しているときの声とは発声の場所が違うし、その響かせ方は独特。やはりこの人は歌い手だったんだと思う。非常に通る声で遠くを見つめながら歌いはじめた。静かな平原に轟く歌声とドラム。彼にとって非常に大切な場所でこんな歌が聞けるとはなんと神聖な時だろう。

「次の歌は・・・戦士への歌。かつて戦いで多くの人々が亡くなった。そして今も世界のあちこちで戦いが起き、罪もない人々が命を落としている。この歌は死んでいった戦士達のみならず、戦いに巻き込まれた人々の魂を鎮魂し、癒し、そして平和を祈る歌だ」

ひときわ大きな声で歌う。そして次に歌ってくれたのは前回も聞かせてくれた「愛の歌」

「愛の歌・・・言葉で言うのは簡単だ。人々は争いをやめてお互いを理解しあわなければならない。この歌は男女の愛だけでなく、人と人との良い繋がりのための歌だ」

どの歌も心に染み渡る。彼は感慨深げにドラムの表面を撫でていた。
車で山に入った時、あまりの揺れからドライバーを彼に交代した際、助手席に移動したTomoさんがこのドラムを持たされていたのだが、ドラム枠の内側には彼のサインと共になにか文章が書かれていたそうだ。

英語ではないため彼は読めなかったそうだが、恐らくこれはホワイトサンダーが作ったもので(彼は自宅で飼育しているバッファローを食用にした際、骨や革などをクラフトの道具に使っている)セレモニーに使うために祈りの言葉でも書いてあるのだろう。

以前彼はこう言っていた。
「俺の作るドラムは売り物じゃない。売るなら・・・それは10ドルかもしれないし一万ドルかもしれない・・・。神聖な目的のために作るものだ。・・・金じゃない」

2年前の到着当初、小ぶりのハンドドラムがあれば買ってかえりたいとTomoさんに伝えてあったため、彼が気を利かせてホワイトサンダーに尋ねた時の事だ。いきなり彼が「いくらで作ってくれるのか?」と尋ねてしまったため、彼の機嫌を損ねてしまった。まだ出会って数十分程度のところで危うくかれの逆鱗に触れるところだった。

そんなこともあったが、今では手もとに非常にシンプルではあるが小ぶりのハンドドラムがある。日本の湿気のせいで革が弛んでしまうのが玉にきずだが。

ところで、彼も昔はパウワウで歌を歌っていた。現在はパウワウ自体にもあまり顔を出さなくなったと話す。三日間の開催の中ではホースショウなどもあるので一度も顔を出さないということは無いのだろうが、彼いわく「最近のパウワウは政治色が濃くて気が進まない」のだそうだ。

これは現地の人間にしか分からないことだが、パウワウが純粋に踊りを楽しむものだとしたら彼も喜んで歌を歌いにいくのだろう。
開催される場所などにもよるが、先日私が見たパウワウも「コンテスト形式」というのが今ひとつだった。 星条旗をかかげ、ラコタ族の血を引くとはいえUSアーミーの軍服を着て旗を持って入場・・・派閥争いもあるようで、コンテストも純粋に行われているかどうか疑問とのこと。

パウワウでは三日間踊り通すわけではなく演説のようなものとかもあったり、ゲームの時間とか西部劇のようなエンタテイメントショウなどもある。

恐らくホワイトサンダーが言いたいのは、現在の政府の推賞する教育を軸に演じられるインディアンと白人との関係の表現方法に納得がいかないのだと思う。史実通りでない、綺麗ごとだけを演じているというのが。

これはあくまで推測だが、日本でも諸国との戦争の事柄で教科書での表記が問題視される。事実を曖昧だったり、捩じ曲げて伝えかねない表記。国際問題を考慮してのことなのかもしれないが・・・。

実際、サウスダコタの町を経て居留区にくると、白人とインディアンとではいろいろな事柄に対しての見解の違いがはっきりわかる。白人側の意見とインディアン側の意見では同じ事柄でも全く違ってくるのだ。統治と侵略、争い事と虐殺・・・お互いの言い分が対立したまま時代だけが過ぎ去って事実関係がもはやはっきりしていない事柄もあるだろう。

インディアン側に立つと、白人はいいように言い訳を交えて事実にしている様に見える。
日本にいる間はともかく、現地にいる間はただ聞く側に回る。その方が彼等の直の言葉を聞くことができるからだ。私は所詮は異国の人間だ。当事者でもないのに勝手な見解は述べたくないし、どちらの考えが正しいといったことを言えば、その反対側に立つ人間から直の言葉を聞くことができなくなる。中立であることが彼等の言葉をきちんと聞かせてもらえる方法だと思っている。

ただ、この旅でつくづく思ったのは白人というのは物質至上主義が大半だということ。お金が欲しくてサービスしているんじゃないだろうか?その笑顔はお金のためなのか?時々こんなかんぐりをしたくなる事がある。

アメリカに行くと目が合えば他人でも「Hello!」と声をかけ合うのを目にする。もはやそれは風習みたいなもので、そういう風習がない日本人からするとアメリカ人はフレンドリーだと思ってしまう。
もちろん心底フレンドリーな人々もいるのは確かだが。

しかし・・・もともとこれは敵意が有るか無いかを査定する方法だった。
握手をする習慣も「武器を持っていません」という表現であったと。 

日本は精神性を重んじてきた国だから、こういった表立った表現方法というものが然程ないような気もする。
遜り、敬い、人の良心を信じることを重んじる国・・・すくなくとも昔はそうだった筈だ。インディアンがそもそも嘘の存在を知らなかったように、すべてが正直で、信じる事が前提の関わり愛だったのではないかと思うのだが。

面白いもので、彼と話をしていると異国の地でありながらも、インディアン文化に日本の古い風習や精神性に共通するものを感じるせいか、常々日本古来の精神性などを振り返る。

よく日本を訪れた外国人が「日本には宗教がないのか?」と不思議がるそうだ。
敬虔なイスラム教やキリスト教の信者からすればとても驚くことだろう。ではなぜそうなのか?それを説明できる人は時代とともに非常に少なくなってきていると思う。かくいう私もここ数年でようやく点と線が結びついたところだ。

最近は歴史上の人物がいつの時代にいたのかとか、どんな事をした人物なのかも分からない人が多いらしい。受験に関係ないという事から、歴史や伝統、工芸に関心を示さないということなのだろうか。歴史の中にもその時代ならではの精神性があるし、また伝統の中にはそれが伝統となった由来が奥深い事柄からきているものがたくさんある。

イエロー・サンダーが政府から学校教育に美術はいらないと言われて嘆いていたが、受験に合格することだけを目的とした勉強だけが先行しているように見える日本も同じ感じだろう。本当に嘆かわしいことだ。

*タタンカがいっぱい~野生のバッファローさんはマジ恐い~につづく


 
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