ラコタ滞在記Part2-11:インディアンネームとスピリットネーム~めったに明かせない名前~

古人がヴィジョンクエストをしたその山のてっぺんで、ホワイトサンダーはこんな話をしはじめた。

「今、アメリカは自閉症の激増が問題になっている。去年だったか・・・俺はボストンで自閉症の子供達のための講演を開いてほしいといわれて行ってきた」

彼は居留区という狭い世界にいながら、実際は非常にグローバルな活動をしている。それはラコタ・ホースのトレードという仕事をきっかけに世界中の人々と関わっているからだった。そんな彼は馬の話をしてほしいという依頼を受けて先だってボストンの自閉症の学校へと赴いていた。

「子供達に馬の話をして・・・そのあとたくさんの子供達と交流した。・・・許されるなら数人家に連れてかえって、スウェットロッジといったセレモニーに参加させてみたいと思った。なぜなら彼等は非常にスピリチュアルな才能を持っている。とても賢い子供達ばかりだった。ただ彼等はその事に気付いていない。それに気付くきっかけを与えられたらとも思ったが、この俺が思い付くことと行ったら・・・自分の伝統にまつわるセレモニーだった。もちろんそんな事は許されないがね。普通といわれる人間からすれば彼等は普通じゃないのかもしれない。だが恐るべき才能を持った子供達ばかりだ。決しておかしいとか、劣ってるとかそういう存在ではない」

彼はこの講演で年間契約の話を持ち掛けられたそうだ。しかも多額の契約料で。しかし、1年間ボストンに住むことは今の仕事をやめなければならなくなる。1年経って上手くいかなければ彼は仕事に溢れる可能性もある。

リスクを背負うにはハードルが高かった。5年契約ならそんなこともないのだろうが、それはビジネス。おいしい話には発展しない。

一方彼はどんなに多額の報酬をちらつかされても、 それが政治的な物だとしたらそう簡単に靡く人ではない。確かに今の暮らしはぎりぎりだ。決して豊かではない。居留区の中では生活水準はまぁまぁのレベルとはいえ、アメリカ人の平均生活水準と比べたら少し低いだろう。それでも彼は一人で居留区で暮らしている。
彼には首長の息子であり、精神的指導者としての立場とスピリチュアリティがある。
今、そんな状況の板挟みで揺れているようだった。

そんな彼も、この場所にいるとニュートラルになれるのか、セレモニーソングやスピリットソングを歌ってくれた後いろいろな事を話してくれた。

「この時期は居留区内のあちこちでヴィジョンクエストやサンダンスが行われている。最近はウォナビー(なんちゃってインディアンをしている白人をはじめとする異人種)が真似してあちこちでやってるみたいだが、正直感心しない。他に方法はいくらでもあるだろうに」
ヴィジョンクエストやサンダンスといった儀式は彼等のスピリチュアルな伝統で、それには当然意味があって行われている。パフォーマンスではない。そのために参加できる人間は限られるし、またその内容たるや壮絶なものがある。

白人には白人の、日本人なら日本の中に祈りの儀式がある。ラコタがサンダンスをして自らの願いを天にかなえてもらうための犠牲の儀式ならば、それに匹敵するものは他の文化にもある。

わざわざ真似をして同じことをしなくてもいい。リスペクトしたい気持ちは分かるが、それでも所詮は真似事に過ぎない。自分の肉を断つサンダンスをする程の勇気があるなら、その気持ちを他の形に使えばいいと私は思う。

ホワイトサンダーが言ったように、結局はその人の『思いやあり方の問題』だ。形ではない。サンダンスはラコタの伝統であり、ラコタ人だから行うことだ。

以前、彼は「インディアンになるのは簡単だ。しかしラコタになるのは難しい」と言っていた。それにはたくさんの意味が含まれる。

ヨーロッパの女性が居留区でインディアンと結婚することが多いそうだが、多くは現実を知って逃げ出していく。インディアンについて表立って知られていることはまさにほんの表層に過ぎない。
その中で彼はラコタの事を色々と教えてくれている。現代社会と伝統との間における難しさや現実と共に。そうしながら1を知って10悟れと言わんばかりに深い言葉を投げかけてくる。まるで禅問答だ。

彼の目は厳しいが、彼は例によって私の見た目や言葉ではない何かを見ている。見透かされているようで恐い。

しかし私が講座で「どんなに取り繕っても、エネルギーは取り繕えない。ありのままを示す」と言っているように、取り繕うことのできない何かを見られているのなら、なにを話す必要もない。ありのままを見ていることで理解してもらっているのだから。

前回の旅で私はいろいろと試されたのかもしれない。
今回の彼の私を見る目はまったく異なっていた。
話の内容もより深く、本当に娘に語って聞かせ、教え諭すように。
ラコタでもインディアンでもない私に真正面から向かい合ってくれることを私は非常に嬉しく、光栄に思った。

「自慢げに自分のインディアンネームは○○だと言って儀式をする連中も多い。だが、こういう神聖な儀式をするにあたって使う名前はインディアンネームではない」

つまり、もう一つのもっと神聖な名前があるということだ。

「俺の名前はホワイトサンダーだが、これはファミリーネームだ。インディアンネームというのはファミリーネームのことで、それ以外にもう一つの名前を我々は持っている。それがスピリット・ネーム・・・あるいはホーリー・ネームといったものだ。インディアンネームとスピリットネームは違う。それに、スピリットネームは簡単に口にしていいものじゃない」

インディアンネームというのは「白い雷」とか「座するバッファロー」とかいうような名前の事。

スピリット・ネームとはヴィジョンクエスト、スウェットロッジ、サンダンス、ユイピなど非常に神聖な儀式において使われる名前で、昨今の居留区ではそれを持っている人、持っていない人といるだろう。

スピリット・ネームはもはや、日本で言う出家の際に付けられる名前のようになっているのかもしれない。

「スピリット・ネームは一緒に儀式をすることで教えてもらうか知ることになるだろう。しかしこの名前はファミリーネームとは格が違う。もし誰かが俺をスピリットネームで呼んで、『おい、○○。お前のかみさんをくれ』と言ったとする。そうしたら俺は有無も言わさず妻をそいつに差し出す義務がある・・・まぁこれは例えだが。それくらい重みのある名前なんだ」

彼が言いたいことはこうだ。もしウォナビー(インディアンになりたがりの人)が本当にネイティヴ・アメリカン・・・ここならオグララ・ラコタの人からスピリット・ネームをもらうなどしているのなら、その名前をまるで肩書きや売り文句の様に使うのはいかがなものかということだ。

「ファミリーネームは変わることがあるが、スピリット・ネームは変わらない。なぜならその名前を持つ人物の人生すべてを表す名前だからな。これは4歳頃までにつけられる神聖な名前だ。我々の考えでは人生の中で四つのステージを歩き、そのステージが変わる4年間が非常に重要な時だと考えている。その最初のステージの四年間・・・つまり4歳までに生涯のスピリットを象徴するスピリット・ネームが導き出される。多くはその子を見守り続けた長老から授けられるものだ。そして人生が終わるまでの最後の4年、スピリット・ネームを生き抜いたかが試されると考えられている」

日本人は名前にあまりそういう概念を持ってない気がする。ほとんどが親の希望か親の名前から文字をとったりしているのではなかろうか。かつて侍などは昇格した際に城主から名前を付けられることはあるが、それも変わることがある。

親の希望が込められてつけられた名前がその人の人生を反映することはあるが、私の場合父親の名前の漢字を一文字もらっていて、残念ながら、それが今ひとつピンとこないまま数十年生きてきた。

外国人には発音しにくいため、まず覚えてもらえない。たいがい徒名を付けられる。親戚の中には未だにちゃんと発音できていない人もいる。学生時代、新聞にあった記事「いじめの対象になりやすい名前(読み)一覧」というのに載っていた事から随分ショックを受けたこともある。

そんな事から名前というものに少々こだわりがあったのは確かだ。
ちなみに私のホワイト・ウルフはインディアン・ネームで、授かった名前とはいえスピリット・ネームではない。だから 変える事も可能だ。もっともこの名前はシリウス星から
あだ名みたいなものだ。クリスチャン・ネームもあるし、長年使っている徒名もある。茶道の師範名もあるし、数えれば本名以外に4つはある。どれも自分だが、それで自分を定義できるものではない。

今回スピリット・ネームの話を聞いて感じたことは、所詮名前は名前。
しかし、されど名前だ。

人生の全てを表現した名前というものがあれば、それは非常にありがたく、また誇りに思えるだろう。 敬虔なキリスト教信者の中には、意図せず付けられた洗礼名/霊名の聖人のような人生を歩むような人もいるらしい。

しかしながら、名前に固執するのは人間だけ。
自分の全てを表現したものだと感じられないなら、それに固執しなくていい。
名前で人生を定義される必要はないのだから。

私はそう思う。


 
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