オグララ・ラコタ滞在記2 古人がヴィジョンクエストをした場所~祖先達の聖域~2

祈りを終えて彼の隣に座ると、こう話しかけてきた。
「前にお前がヴィジョンクエストの話をしていただろう?ここは先人達がそれを行っていた聖なる場所だ。今は個人の敷地内だし、当然意味を理解できない人間をここには連れて来れない」そう彼は呟いた。すると目の前の折れたシダーに阻まれた場所を指差す。

「この先で昔、俺もクエストをした。ある日ここに来た時、この木が倒れていたんだ。俺はこれを越えていこうとしたが、その時『この先には行くな』というメッセージが聞こえた。以来この先には足を踏み入れていない。意味は分かるな?」

自然の摂理に従えということだ。意味があってこの木は倒れた。もうこの先で誰もクエストをしてはならないというグレートスピリットからの啓示だ。
それは一つの時代が終わったことを示している。そしてそれを最後にここではヴィジョンクエストは行われていない。

さらに彼は我々が歩いてきたのと別の方角にある麓を指差す。
「あそこにメディシンマン達がテントを張っていた。スウェットロッジもしたし、クエストの時はあそこからここで祈りを捧げる人物を見守っていたんだ。下からもよくここを見渡せる。一日に数回セージのお茶をクエストする人物に運んでやるんだが、見ての通り崖だから登るのは一苦労だ。だから便宜上今のメディシンマン達は自分の家の近くの丘をクエストの場所にしている。クエストをする場所にはなっているが、ただの丘で聖地とは言えない」

「もっと前の時代はベア・ビュートで?」
「それ以外にデヴィルズタワーやポークビュートといったブラックヒルズにある山々で行っていた。どこも聖地だ。しかしブラックヒルズから居留区へ追いやられてしまったラコタはここでやる他なかったんだな」

確かに、ここでクエストが行われていた頃は方々で政府軍と戦いが展開されていた頃であり、またブラックヒルズは開拓者が金を掘るために制圧していたため、それまでのように儀式を淡々と行うには難しかったのだろう。よってここで行っていた。

ここはバッドランズと違って緑に溢れた場所でもあるし、バッファローなど野生動物も生息しやすい場所だ。蝶やトンボもいるし、セージをはじめとする必要な薬草がそこここに生えている。森に囲まれた場所のため、そうそう人が出入りする感じもしない。儀式をするにはもってこいの場所だ。

しばらく、無言の時が過ぎた。とにかく天気が良くて気持ちがいい。ただ座っているだけで霊験新たかなこの場所のエネルギーに包まれる。ホワイトサンダーもしみじみと周囲を見渡していた。その後いろいろと話をし、スピリチュアル・ソングを歌ってくれたのだが、そのうち静かな口調でこんな事を言った。

「ここも、これから向かう場所もラコタ以外は誰一人連れていったことはない。今日はそういう場所に連れて行く」
「なぜそんな場所へ連れていってくれるんです?」
「お前は・・・Wise Woman・・・ラコタ語でKsapa Winだからだ。わかるか?」

私がラコタ語の単語を少々理解できるのを知ってか、彼はそう答えた。これはランチタイムにTomoさんにも話していた。単に頭が良いという意味ではない。現に私は学校の成績などたかが知れていたし、一般に言われる頭が良いという部類には入らない。なにしろ数字と漢字が苦手だ。

幸か不幸か?居留区で出会った人々は皆伝統を重んじる頑固人ばかりだった。伝統を守る人々は、表立っては白人の様にフレンドリーに振舞うが、本質的な話になると非常に恐い顔になり、口調が重くなるばかりか拒絶することもある。

ホワイトサンダーに初めて会った時がそうだ。ほとんど門前払いを食らう寸前だった。表立ってセレモニーをやるだとかスピリチュアルなことは一切公表していない彼は、完全にビジネスとして観光客のガイドをする。

だからこちらもただの観光客として接していればよかったものの、私はそんな目的できたのではないと言うや否や彼は本性を露にし、一言こう言った。「答えは全て己の中にある」


彼等は本質を見ようとする。だから言葉だけではめったに信用しない。英語は書き言葉で便利だったから普及した。しかし白人はその言葉でラコタを裏切った歴史がある。

信用されない言葉、まして英語は自分の言葉ではない。だったら態度で示すしかない。知り得るラコタの単語もわずかな私はそう決めた。それが結果的にホワイトサンダーには理解してもらえたのだと思っている。彼は私の言葉(所詮拙い英語ではあるが)ではなく、態度を見続けて、結果的に受け入れてくれた。

今回もそうだった。クエストの場所に座り、ただ自分がこの瞬間できることをするしかなかった私はポーチからまたしてもタバコをひとつまみ。バカの一つ覚えのようだがそれを捧げた。そして自然とわき起こってくる感謝の泉をそこに注ぐように大地に手を置いて祈った。彼はその土地に粗相が無い様に常に私を監視している。

監視と言うよりは見守っていると言った方が良いのかもしれないが、その結果、その行動がパフォーマンスだと見抜くこともできる。もちろん、私はそんなつもりは毛頭ないし、こういうところにくると、ただもうどうしたらいいのか・・・と必死になってしまうのが正直なところだ。
そんな私を彼は見抜いている。だから苦笑いしながら見守っているのだ。

「今回はこれを持ってきたんだけど、これを捧げるのは良いことだった?」
と尋ねると、彼は大きく頷いた。

「もちろんだ。素晴らしいよ。これに勝るものはない。ただ、どんな悪く見える様な行いだったとしても、その本人が、スピリットが、良心の元に行ったのであればそれは良い事だ。つまり、その者の本質、あり方がどうであるか・・・というのが一番重要だ。それが良き赤い道(The Great Red Road)を行く。しかし、どんな事でも『王道』というのはあるからな。お前が行った事は正しい」

その言葉にほっとしている私に彼はただ頷く。スピリチュアルなモードの時、彼は一切笑わない。ただ頷くだけだ。しかし、初めて会った頃に比べれば、格段に彼は私を理解してくれている。たぶん、私が理解している自分以上の何かを彼は知っているのではないだろうか?と感じた。
時々末恐ろしい程静かな目で私を見ているのを知った時ふとそんな気になった。

*インディアンネームとスピリットネーム~めったに明かせない名前~につづく
*サウスダコタ~パインリッヂ居留区オグララ・スーの聖地で過ごした魂の旅日記 PART 2は2008年に別のブログに掲載していたものをアメーバ移行に伴い、再編集しておとどけしています。

 ★☆★アルカディアは心と魂のケアサロン&スクール★☆★
  人生に行き(息)詰まった時はここにきて、一緒に答えを見つけていきましょう

2月のご予約受付中 
新年『開運グッズ』先着でプレゼント!観音菩薩や大黒天の開運カード、またはお財布に入れられる!タイガーアイのカエル(お金がかえる)♪
アロマセラピーメニューにホットストーンが復活!新アロママセッション各種
ヒーリングメニューが一新
☆メディスンタッチ(R)・ヒーリング☆

★受講者募集中のセミナー(全講座、セミナー再受講を割引価格にて受講できます/ワンデイ除く)

レイキ勉強会2012年 1月26日 レベル1(受講者募集中)、2月9日 レベル2(受講者募集中) 3月25日(日)『ドリームキャッチャーつくり』ワンデイワークショップ (受講者募集中)
春期アロマセラピー講座:2012年度は3月から隔週木曜日の連続開催です。
「サトルボディアロマセラピー講座」    (受講者募集中 残席4)
アルカディアからの年賀状をお持ちの方は、年賀状を割引チケットとしてお使いいただけます(3月末まで有効)
*詳しくは年賀状をご覧下さい。  

facebookのチェックイン割引も継続いたします(年賀状割引との併用はできません)

普段、月間サービスメニューにならないノーブルサイエンス・ベーシックセッションも割引価格で受けられるチャンスです!!
誕生日、誕生時間が分かる方はぜひこのセッションを♪  一生に一度の貴重なセッションになりますよ!!

◇ メールマガジン「ARCADIA Holistic Healing Magazine」ご登録はこちら『ARCADIAHolistic Healing Magazine』アルカディアの最新情報やスピリチュアルコラムがご覧になれます。アルカディアのオフィシャルサイトトップページ右にてご登録・解除ができるようになりました
            人気ブログランキングへ

     


アルカディア ホリスティック ヒーリング リトリート 

【署名のお願い】自然エネルギー100%と原発の段階的廃止を実現するため「エネルギー基本計画」を変えよう!