日本ではほとんど知られていない「パストラルケア」。 現在「スピリチュアルケア」とも言われる様になってきました。欧米の緩和ケアやホスピスでは医療チームの要を担う専門家です。 
まさに「チームの核となる存在」として扱われています。

ところが日本ではまだまだ。  
私が所属しているところはパストラルケアワーカーの教育機関として日本では唯一の「臨床パストラル教育研究センター」。
他に医療者による「日本スピリチュアルケア学会」などなど団体は幾つかあるのですが、まったくもってばらばらなのも現状のようです。

文化の違い、国民性もあるのでしょうが、研修で現場に立たせていただくと、ニーズがあることは確かだと分かります。

お医者さんは医者が看護師が出来る事だと思っている人もいるようですが、無理です。
どこにそんな時間と気持ちの余裕があるでしょう?

臨床心理士がいますが、担当する分野が違います。

パストラルケアは心理のその先をケアします。 回復の見込みの無い、あるいは完全に失って取り戻す事の出来ない状況・・・いのちそのもののあり方の根底が揺り動かされてしまっている状況に寄り添います。

身近であろうとなかろうと、喪失した事による深い苦しみ、霊的な苦しみ、スピリチュアルペインに寄り添います。

ヨーロッパではICUにいる意識の無い患者にも寄り添います。

ところが日本では、目に見えない事への意識が薄い。さらに横の繋がりとか縦の繋がりとか。
患者の必要性よりも経営運営の事が優先されるのは悲しいです。

パストラルケアは医療の現場で患者だけでなく、その家族や現場のスタッフのケアもします。
研修は病院ですが、すでに独り立ちされた方々は緩和ケアやホスピス、まともな医療を受けるのが難しい境遇の方々やあるいは老人ホームなどで少しずつ取り入れられ始めているのが現状でしょうか。

老人ホームやホスピスを持っている修道会のシスターはそこの必要性で学ばれている方が多いですが、私の様に一般の人間もたくさんいて勉強しています。

医療現場以外でも適応可能な分野ですから、事故や事件で家族を失った遺族の方々、あるいは、ニーズがあれば加害者の家族のケアもする可能性も考えられます。
他にも色々な可能性があります。

今は限りなく100%に近いくらい、どこもこういった事柄への理解を示す事はおろか門前払い、聞く耳を持たないのが現状のようです。

おそらくはとても権威ある有名な医師などの名前を出せば随分違うのでしょう。
そういうのが現代医学の現状なのでしょうか。 残念です。