私は馬車のような乗り物の荷台に乗せられた。

屋根がついていて暗い。

私が乗り込むとシャッとカーテンみたいな布の仕切りで完全にふさがれた。

 

私は暗がりの中一人きりになった。

 

「はあ……

 こんな時なのにさっきの真紀達の顔が頭に浮かんできた。

 

『化け物!!』 

 分かっていたはずなのに……、堪えるなあ。

 私の好きなシリウスも私自身も、何もかも否定されたようで。

 しかも私は完全なシリウス人でさえないのに。

 

 真紀と山ちゃんはどうなるだろう。

 私と関わりがあったばっかりに奴らの食事にされるような事があったら……。

(そんな事絶対にさせない!!)

 だけど、どうしたら助けられる?

 

……『地下帝国』って言ってたな。

 トルータンの多くが地下に地球の内部に住んでるのは知ってたけど……『国』って規模なのね。

 光の銀河連邦も手出しできないとなると助けは待っても無駄だって事。おそらく私が自力で抜け出すのも難しい。

 でも、なんとかしなきゃ。  

 思考、どこまで読まれたんだろ。

  

  バチバチバチッ

 

「熱っ」

 布の仕切りに手をやると電流が走った。

 やっぱりね。

 これじゃ勿論ワープもできない。

 

  シュッ

 

「わ!」

 急に仕切りが開き、トルータンが顔を出した。

(コ、キ)

 ハッとした。この人『コキ』って名前だ。

「ほう。もう私の思考を読むとは随分優秀だねえ」

コキはニヤリと笑った。

(完全にからかわれてる!)

 私に読めたのは名前だけ。コキはとっくに私の思考を沢山読んでるはずなのに。

「つめろ。私も乗る」

「え」

 私は言われるままに奥の方に座った。

するとコキは荷台に乗り込み私の隣に腰を下ろした。

「君の処遇が決まった」

「え?」

 

  ガタン

 

「!」

 馬車が動き出した。

 どこに向かうの?

「安心しろ。悪いようにはしない」

「?」

 どういう意味……?

でも私に選択権はない。

大人しく座っているしかなかった。