「はあー……」

 ビデオは終わった。

私はため息をついた。

2組と3組の女子がぞろぞろと教室を出て行った。

 

「何何、なんのビデオだったの?」

「やだー」

 男子も教室に戻って来た。

「あー、腹減ったー。さくらー、お前今日給食当番だよなー?」

 洋がシャツをパタパタさせてる。

「あ、うん……」

「どうした?さくら?」

「なんでもないよ」

 私は机の向きに変えた。

 

「……」

 じいっと自分の胸を見た。

 ぺったんこの胸。

『生理』は勿論まだだ。

 

「おい!なんか女子、エロいビデオ観たらしーぜ」

「!」

 野沢が大声で言った。

「エロいビデオって何?」

 洋がこっちを見た。

 

「野沢、サイテー!」

「シカトだよ、シカト!!」

 女子がブーブー言い出した。

 

「どうしたの?皆」

 廊下で安藤先生と話してた川崎先生が教室に入って来た。

「なんでもありませーん」

 と野沢。

「せんせー!!」

(あ、鈴木香)

 学級委員の鈴木香が先生にチクりに行った。

 

「お前顔色悪いぞ」

「……う、うん」

 洋に言われて気づいた。なんか、気持ち悪い。

 

「先生ー!さくらちゃん気持ち悪いみたい」

 美奈子が叫んだ。

「どうしたの?越智さん?保健室行く?」

 先生がこっちに来る。

「はい。なんか、ちょっと……」

 

 私は美奈子に付き添われて保健室に行った。