嘘…、でしょ。
ライが、私を好き?
だって、まさか。

「俺さ、6つの時にお前の婚約者に選ばれたんだ」
その話は前に聞いた事があった。
悪魔界では6歳になると死亡率が下がるからそれまで最有力候補だったライが6歳になるのを待って正式に決まったって。

「どんな子なんだろうって。……実は何回かこっそり見に行ったりした」
「えっ」
「うっかり近づき過ぎて目が合った事だってあるんだぜ」
「嘘」
全っ然覚えてない。

「いつもお前は笑ってて…この子が俺の隣でこうやって笑ってくれたら良いな、なんて考えてみたり…」
ライ…。
どうしよう。
私、今顔真っ赤だ。

思わず下を向いた。
ライは一体どんな顔をしてるんだろう。

「大事にしようって思った。だけど実際会ってみたらお前は悪魔界に帰りたいわけじゃないし、俺はお前を困らせたり泣かせてばっかりで……ああ、何言ってんだろ。俺」
「ライ……」

「ずっと……ライに嫌われてると思ってた……」
ポツリと私は口に出した。
悪魔界制圧されてから態度変わっちゃって。
怒ってるんだって思ってた。

「リーシャの事も見ようともしないからそれってやっぱり望んだ子じゃないからなのかなって思ってた。ホントは私が育てるのも反対だったのかなって…」
「そんな事ない!」

「俺も乳母に育てられたんだ。だから分かる。子どもは親が育てるべきなんだ。……なんて偉そうな事言えないな。俺はリーシャの顔を見る事すらできない」
知らなかった。
ライがどんな気持ちでいるかなんて。
私、知ろうともしなかった。

「……抱いてあげて」
「え」
「ここから出られたらリーシャを抱いてあげて。私、今までリーシャがいる事だけが支えだった。でも……」

でも……。

「今はあなたとちゃんと向き合いたい」

「!」

「ごめん、いろいろあり過ぎてライの事どう思ってるか正直よく分からない。だけど……」
そう。だけど……。
「いつかちゃんと好きになれたら良いなって思う。だって……私とライは夫婦だから……」
ガッチガチの政略結婚。
でもライがそう願ってくれるならいつかーー。
「ラーシャ……」

「いちゃつくのもいい加減にしてくれないか」

「!!」

いつの間にか牢の前にカルロスが立っていた。


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