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「小倉君、本当に分かっているのか。
じゃあ確認するが、立ち会う警備課員って一体だれのことかね」
小倉は質問の意味が掴めず、キョトンとしている。
「しっかりしてくれよ、小倉。
いいか、正門の守備をしている奴が、本人は気を利かした積りで、車の誘導を買って出るとする。
自分の持ち場を離れていることになる。
これじゃあ、正門に配置した意味がない。
持ち場を離れたほんの一瞬の間に老人がのこのこ出て行ったらどうするんだ。
対策と言うのはこういうことをキチンと考えることなんだ。
頭を使ってしっかり考えてくれないと駄目だろうが、まったく」
小倉は俯いてしまう。
「監視カメラの設置も検討しているんだろうな」
「は、はい」
そんなお金の掛かることはオレの立場で出来はしない。
「具体的には、あまり・・・」
「監視カメラを設置する。
どこに設置したらよいか、園長と話し合って、キミの方でまとめてくれたまえ」
「はい、分かりました。
たとえば、入所者の各部屋とかですね?」
「馬鹿、何を言っている。
そこは、ヘルパーが常時出入りしているだろうが。
そんな所は必要がない。
それに、そんなことしてみろ、プライバシーの侵害ということで、逆にクレームがつくぞ」
「はい、そうですね、よく分かります」
「館内で死角になっている所。
あるだろう、そういう場所が。
それを実際に調べて、案を作ってくれと言うんだ」
「そう、そうですね。
たとえば、非常階段の踊り場とか・・・」
「そうだ。
老人が迷い込むからといって、非常口を施錠するわけにいかん。
いざというときに役に立たんからな。
そう、そういう場所が他にもあるだろう。
それを検討してくれと言っているんだ」
「はい、承知しました」
今日のおれはおかしい。
何をびくついているのだ。
あと具体的な注意点について話を進めていると、電話が鳴った。
高田が出た。
「・・・なに見つかったあ?」
高田は受話器を手で押えて、振り返って叫んだ。
「井上さんが保護されたようです」
「本当か」
矢口数馬の声が会議室に響いた。
「よかった、よかった」
矢口はゆっくり立ち上がると、小倉に近づいて、その肩をポンと叩いた。
小倉は深々と頭を下げ、ふうッと大きく息を吐き出した。
「いやあ、ほんとに良かったです。やれやれです」
