「まんま、見いや!」


字面だけ見ると「鬼龍院花子の生涯」みたいな作品?

声に出して納得。あー、「マンマ・ミー…




お馴染み、「タイトルがツカミ」のカラスカ作品。

今回の舞台は戦後間もない日本の大衆娯楽、両親の作った劇団「からす座」をもう一度復活させようと奮闘する姉妹の物語。

健気(で、ちょっと変)な妹の為に、姉はまず仲間集めに奔走。過去の看板俳優、女性演出家はまぁ良しとして、さすがは江戸川ワールド、見つかったのは(と言うより向こうから現れたのは)一癖も二癖もあるエンターテイナー?達ばかり。
そして強引に押し掛けたり成り行きで関わったド素人まで参戦!


欲望に正直過ぎる愛は、時に陰謀めいたり、密かに胸に秘めたり、複雑に絡んだ運命の糸に全員が足を取られてすっ転んだりしながらも復活公演はクライマックスへ!

みたいな作品です(全く大雑把なあらすじ)





今回、「劇団」を舞台にしたストーリーなので、劇中劇があり、客席も「観客」として作品に参加させてもらいました(冒頭の前説にてちゃんとお誘いいただいた)。ただ、あの全員のレヴューは一体、どんな顔して見守ればよいのか笑
みんな大真面目なのですが笑

舞台をめちゃくちゃにしようと企む譲吉までノリノリでしたし笑





割と唐突にはじまる事の多いイメージのカラスカのダンスはインド映画みたいで好きなんですが、
今回も別の意味で意表を突かれました。


 

毎度毎度、初見の役者さんにまで魅了されるカラスカ作品ですが、今作の「特別にやべー奴枠」ともいえる玉木惣一郎さんの「秋月実近」、やべー奴枠に相応しいやべー奴でした。恋愛ゾンビの如く、なかなか倒れない執念深さ!熱演の引き換えに喉が辛そうでしたが、またそれが味を引き出してました。
   


男らしく凛々しい霜月紫さんの「源田久仁彦」。作中劇でのファビュラスな女装姿には驚き!仕草もバッチリ!デカくてゴツいのを除けば完璧なレディでした。




毎回、なりきりコスプレイヤーな滝川華子さんの「ウイワンヤンク・シュンカ」。未だ普通の格好を見た事ない滝川さん。色々、デリケートな役柄なのですが笑。あれこそ舞台の醍醐味!ステレオタイプなイメージだからこそシュンカは際立ってました。常に作内で枠から外れた立場ですよね滝川さん。名前の意味は笑笑でした。



宝鹿歌劇団(発音に注意)の鹿組(牛組とか馬組とかありそう)の男役トップスター星宮すみれの石井陽菜さん。近頃の江戸川作品でお馴染みですが、ツンデレな役の中で見せる「デレ」の部分が個人的にツボなので愛子が近づくたびに狼狽る姿は最高でした。江戸川さん理解ってますねーw



前田真弥さん、歌舞伎顔ですね(特に目!)



何度も言ってますけど、毎回毎度、本当に登場人物全員が愛らしく、悪者さえ憎めない(むしろ大橋タクヤさんの悪者像は期待しかない)カラスカ世界。

「モンテクリスト伯」と「ロミオとジュリエット」をベースとした作中劇も検閲と妨害のせいでめちゃくちゃにされる、と思いきや、それをものともしないヒラメキと情熱で現実も物語も両方解決して大団円(ただ賛否はあったらしい笑当たり前か)させる、そしてみんな良い人の優しい世界。


今回も笑顔が溢れる結末でした。この爽快感想こそカラスカ作品、「大人の全力茶番劇」の醍醐味!です





パンフレットの江戸川さんの挨拶文、最近感じていた事そのもので読みながら共感の嵐でした。
地上波や映画は、こう言う時代なので「世間の目」とかいうお節介な正義を気にせざるを得ないのが現状だと思いますが、演劇は治外法権とまでは行かずとも、ある程度自由の利く存在であって欲しいと思ってます。

これを語り出すと長くなるので深く書きませんが。







熱い演者さんたちのおかげで客席は隅から隅まで見事に「濃厚接触」、フィナーレは「笑いのパンデミック」でダブルアンコールを投与して見事鎮静されました笑かな






すっかり中毒になってしまい、


思わずファンクラブに申し込んでしまいました。
処方箋もバッチリ、次回の公演以降が益々、たのしみな今日この頃です。













P.S 作品を見た限りだと、「ウグイスマチャコ」は、ぴんきゅさんのお祖母様にあたる方なんですかね?