〇風月抄「正月三ヶ日」
 明けましておめでとうございます、正月も、早くも今日は三日になりました。

目出度い正月ですが、やはり日暮れ時になるとなんだか侘しですね。

 

  元日や手を洗いをる夕ごころ    芥川龍之介

 

 ところで、新しい年が明けると、なんでも初物となって、昨夜「1月2日」の夜に見る夢も「初夢」でしたが、皆さんはどんな夢を見ましたか?。シランは、夢を見たのかどうかさへ、すっかり忘れてしまいましたが・・

 

        

                  (夢の話)


 初夢は、「一富士、二鷹、三なすび」の夢が縁起が良いと言われていますが、これは、徳川時代に駿府(静岡地方)の名物から採ったもので、その初夢が「吉夢」であることを願って、めでたい「宝船の絵」を枕の下に敷いて寝る風習があります。

     

             (七福神の宝船)

 

 またそれが悪夢だったら、すぐに獏(バク)に喰われてしまえといういうので、「獏枕・ばくまくら」と言って、悪夢を食うという伝説の動物「獏・バク」絵を枕の下にして寝るという風習でした。


    〇「鏡餅」

 

  

 

     

            (小学校の餅つき・昭和11年)

 

 正月に床の間に供える「鏡餅」は、年徳様に供える二重のひと重ねの丸型や平ぺったい餅のことを玄いますが、その形が鏡に似ているので「鏡餅」という名前がついています。

 

      

 その「鏡餅」には、橙、野老(トコロ)から炭、昆布、干し柿などを添えて飾りますが、これには「干し柿のように、しわが出来るまで長生きして、代々所に住む」という安定した生活を願っての風習でした。また、昔の武家社会では、この日を「具足祝い」とか「鎧餅」と呼んで、床の間に鎧・兜や甲冑を飾って祝っていました。

 

     

       (鎧、兜の武者姿)

 

    

           (我が家の床飾り)


 正月三ケ日には、正月を祝って雑煮を食べますが、家によっては6日まで食べ、7日の「7日粥」以後は食べないという地方もあるようです。そんな雑煮には、関東では焼いた切り餅をお澄まし汁にし、関西では焼かない丸餅を味噌仕立てするという風に、地方に寄って雑煮の食べ方にもいろいろ有るようです。
 京阪から西側の丸餅は、小さいながらも、各人それぞれ、一人前の「鏡餅」の意味があり、また、関西では、昔は雑煮のことを羹(かん)と呼び、「羹を祝う」などと言っていました。

 紫蘭の子供のころは、家族みんなで火鉢を囲んで、鏡餅を割って羽子板のようになった餅を焼いて食べたものでした。その焼き餅には、砂糖醤油をつけたり、小豆餡を乗せたりして食べました。 古びた大きな火鉢の周りが、正月の一家団らんの楽しい場所だったのです。。

    三椀の雑煮かゆるや長者ぶり   蕪村