ここ最近、急にほうれい線が濃くなって、鏡を見るたびにぎょっとして、思わず整形手術でもしたくなる。

70歳代の人に、同年代でしょ、と言われたことが1度や2度でなくなってきたから真剣だ、1度目はその人が年のせいでおかしくなっているのかと思ったが。

美容に熱心な知り合いにルアロイン酸注射を勧められて皮膚科に聞いたら、私は腎臓が悪い(機能低下)ので、美容皮膚科でもそれはできないだろうと言われた。が~ん、それではどうしたらいいのだ?

基礎化粧品なんかは私のような中高年女性を狙った、いかにも詐欺まがいの、法規制すれすれのものがあふれており、昔は通販の仕事とかでその裏を知ってしまうとますますそういうのを利用するのは典型的ないいカモになると思っていたが、いざ自分がこうなると他にこの廊下を食い止める手段もなく、藁をもすがりたくなってしまう。やっぱり安化粧品を使っていてはだめなのだろうか?

顔の筋肉トレーニングと言う手もある。口元から耳元に向かって両手で引き上げるのを何十回も繰り返したり、口を「イー」と拡げるのとユンクの口と言って思いっきりつぼめるのを繰り返す。入浴しながら何度もやったが全く効果がない。

 

ところで、私は親の遺伝もあってか歯も悲惨でほとんど噛める歯がなくなってしまい、対策として数年前、インプラントを検討したがいろいろ悩んだ結果、合わないと言う結論になり入れ歯を作った。最初は保険のきく、安いもので作り、慣れてきたら保険外のものも検討する、と言うのが定石で、保険で作ったのだがその違和感になれることができず、歯医者も転々と変え、3回も挫折して無駄になり、4回目はその時の歯科の先生の勧めで大学病院で作ったが、それも外す時にワイヤーが刺さって痛かったのでそれ以来はめるのが怖くなり、丁度コロナが来てずっとマスクをするようになると見た目には歯がなくてもわからないのでそのまましなくなってしまった。

ところがマスクの下では、歯がない状態を続けていたためあごの筋肉がなくなるらしく、口元がつぼまってきて、すごい老けた顔になり、流石にぎょっとしてまた新たな歯科に通いだした。その間、2年くらい入れ歯をしていなかったかもしれない。

その先生はもともと歯科技工士だったらしく、その大学病院で作った入れ歯はよくできているから、最初はこれでまた慣れるようにと言ってワイヤーは痛くないように調節してくれた。

でも入れ歯を入れていることは非常にストレスで、特に入れ歯を入れた状態でものを食べると入れ歯とあごの間の境に食べ物が詰まって食べれたものじゃない。外では途中で入れ歯を外すこともままならないが、家では朝食を食べた後に入れ歯を入れ(そう思っていつも忘れてしまい、入れ歯をしない日が多かった)、お昼は仕方ないが夜は、ジムのお風呂に入る時に外し、夕食はいつも自分で、これは歯にかかわらず前から野菜やたんぱく質類全て小刻みに刻んで投入した具沢山汁で、飲み込むように食べる(胃が常に持たれるのはこのせいもある)。

でもその歯科の先生は、とにかく慣れることだと言い、噛むということは能や神経に大きな影響を及ぼすが、今はそれが働かずにばらばらになっているとかいう。

そしてそのうちに、今まで上の歯だけだった入れ歯を、下にも入れ、これは仮の入れ歯であり、使ってみてもらって状況を見ながら徐々に調節していくから、と言った。

上だけでもストレスなのに下にも入れられて泣きそうだった。

でもその入れ歯を作るために粘土で歯型を取り、私の意見を聞いて微妙な調節をする、その工程を見ていると、日本の製造業の金型技術を思い出し、義歯を作るってなんて技術力が必要なんだろうと思ってしまう。だって、口の形は一人ずつ異なり、全てオーダーメイドである上に非常に繊細な調整を要する。ちょっとでも歯茎などに当たって痛いともう患者は付けていられなくなる。歯医者と言うと、正直私はぼったくりイメージが強かったが、こんなに大変な仕事だと思ったことは初めてだった。

「義足や義肢と同じだからね、歯と言うのは粘膜があるから、それより難しいかもしれない」

と先生は言う。う~ん、それはそうだろとうと思う。こんな技術力は、一朝一夕で身につくものではないだろうに、そういう評価は、社会的に浸透していないような気がする。

 先日夫のいる沖縄に行ったら台風で飛行機が飛ばず帰れなくなって予定より帰宅が3日ほど遅れた。その間は食事は当然外だから、入れ歯を付けたまま食べることが多く、そうすると自分でも意外に入れ歯で食べることに少しは慣れてきた。それを先生に言ったらホッとしてくれて、噛むということはものすごく力を使っている、100kgくらい使うこともあり、噛んでいないと落ちた筋肉が、噛みだすとまた回復してくる、あごの筋肉がついてくるので顔も変わってくる、と言われた。

そうすると、噛むことがほうれい線解消の一番の対策かもしれない!

この2~3年の急激な老けは、噛まなかったからかもしれない。

ほうれい線が急に濃くなって整形手術をしたくなったことや、ヒルアロイン酸注射も止められたことを話すと、そんな注射しても繰り返さなくてはならなくなるし、医者を儲けさせるだけだと言われた。

・・・これで入れ歯で噛む練習をすることへのモチベーションが高まった。

老け顔が変われるとは、最も理にかなっているではないか。