ソフトバンクの甲斐野央投手(23)が金メダルへの“師弟リレー”を2020年の目標に掲げた。3年連続日本一を達成したチームでの登板時と同様、東京五輪でも師と仰ぐ森唯斗投手(27)にバトンを渡せるようシーズンで結果を出す決意だ。

 東京五輪の選手登録枠は昨秋のプレミア12より4人少ない24しかない。狭き門だけに決して簡単ではないが、侍ジャパンの稲葉監督は甲斐野が待望する森とのソフトバンク救援陣リレーについて「十分考えられる。そこも含め期待したい」と明言した。

 甲斐野は追加招集ながらプレミア12で登板した全5試合で無失点。ルーキー唯一の選出で快投した右腕を稲葉監督は「ポテンシャルの高い投手だとは分かっていた。勉強になった部分も多いだろう」と高く評価している。2年目の伸びしろにも期待しており、建山投手コーチは「計算に入れています」と代表入りはもちろん、救援陣の主戦候補であることも明かした。

 2018年最多セーブの森はプレミア12での招集こそ見送られたが、昨春の強化試合で安定した投球を披露。プレミア12で抑えを務めたDeNAの山崎とともに、18、19年と2年連続で30セーブ以上を挙げた森も当然ながらクローザーとして代表候補に挙がる。

 稲葉監督は「どの打者に聞いても森のカットボールはものすごく嫌ということだった。なかなか打てない。初見ならもっと難しい」と国際大会でさらに強みを発揮するとみている。プロ6年で通算353登板と豊富な経験も武器。日本一のソフトバンクが誇る「甲斐野‐森」の必勝リレーが五輪の舞台で見られる可能性は大いにありそうだ。

 ◆ホークスからの五輪出場は過去5人 五輪の野球にプロが参加するようになって以降の大会で、ダイエー、ソフトバンク在籍選手の出場は2000年シドニー(プロアマ混成)=松中信彦▽04年アテネ(全員プロ)=和田毅、城島健司▽08年北京(同)=和田、杉内俊哉、川崎宗則。初めて複数の投手が代表入りした北京では和田、杉内の2人とも先発起用されており、同じ試合で複数の投手がリレー登板した例はない。