◆ソフトバンク1-7楽天(28日・ヤフオクドーム)

 獅子の刺客はこの男だ!! 最下位楽天に連敗し、借金生活に突入した工藤ホークスが今季を占う31日からの西武3連戦(メットライフドーム)に「秘密兵器」を投入する。育成ルーキー左腕の大竹耕太郎投手(23)をきょう29日にも支配下選手として登録。来月1日の第2戦先発を任せる方向だ。今季最大だった首位西武とのゲーム差は「8・5」に拡大。プロ初登板&初先発の熊本出身左腕を、逆転優勝への起爆剤にする。

 真夏の敵地で、リーグ最強打線が待ち受ける。そんな過酷なマウンドに工藤ホークスが23歳のルーキーを送り込む。現在育成の立場から、早ければきょうにも支配下登録される大竹が「8・1」の西武戦で先発デビューすることが濃厚になった。

 第1戦の千賀と第3戦の石川。2人のローテ右腕の間で投げる先発について、首脳陣は熟考を重ねてきた。当初は右肩関節機能不全からの復帰を目指す東浜、新外国人左腕のミランダが候補だった。ただ、東浜は調整を優先し、ミランダも2軍戦での最終テストで結果を得られなかった。中継ぎながら今季1度先発経験があり、選択肢だった岡本は右肘痛のため28日に出場選手登録を抹消された。そこで白羽の矢が立ったのが育成左腕の大竹だった。

 2軍戦で今季22試合に登板している大竹は、現在ウエスタン・リーグでトップの8勝(無敗1セーブ)をマーク。57回2/3で12失点(自責12)の防御率1・87と安定した投球を続け、5月に入ってからは先発としても4試合に登板している。今月14日には1軍練習に参加し、主力打者相手のシート打撃に登板した。小川一夫2軍監督も「クレバーな投手」と頭脳的な投球を高く評価。早大時代の故障もあり育成入団ながら、大学の先輩でもある和田のように球速以上に球の切れを感じさせるサウスポーだ。

 今季苦戦している要因の一つが先発投手陣の不調。故障者が相次いだ上に、現有戦力も“苦投”を続けている。先発陣は、17日の西武戦で石川が勝ったのを最後に、8試合続けて白星が付いていない。こういうチームの危機的状況を踏まえ、球団では今月末までの期限が迫る中、大竹の支配下登録を決断。ローテの谷間となる「8・1」に即先発起用する方向となった。

 今季86試合を消化して今なお、左腕投手が先発した試合は一度もない。偶然にも大竹が「第1号」となる試合で、西武の強力打線相手に結果を出せば、これ以上ない起爆剤になる。優勝候補の筆頭と目されながら、ついに勝率5割ラインを割るなど今季最大のピンチに立たされている工藤ホークス。70人の支配下枠すべてを埋め、真夏の大反攻に向かう。火の国が生んだサウスポーが救世主になる。

 ◆大竹耕太郎(おおたけ・こうたろう)1995年6月29日生まれの23歳。熊本市出身。託麻中では軟式野球部。熊本・済々黌高ではエースとして2年夏と3年春に甲子園出場し1勝ずつ挙げた。早大2年時に全日本大学選手権優勝。東京六大学リーグで通算38試合登板で11勝10敗の防御率2.86。育成4位で2018年にソフトバンク入団。184センチ、78キロ。左投げ左打ち。