ナカシマ君と別れ、タダマサの家に向かう。

時間はぴったり15時。

やんでいた雨は土砂降り。

土砂降りの中で彼の家に着いた。


まあ。上がって。上がって。誰もいないけど…

笑えないバツイチギャグに愛想笑いをする。

例の如く現状を話した。

転職のプロとして教えてくれ!
俺はどうすればいいんだー!

こんな私に対して、彼が静かに答えた。


お前だけの意見じゃ誰が悪いかわからないよ。

俺はお前のツレだからお前を味方しちゃうけど、実際は両方の言い分があって、それを聞かないと解決なんかできない。

実際転職は大変だよ。
俺は37歳の転職の時は半年決まらなかった。
その間は当時の嫁さんに食わせてもらってた。
罪悪感の塊だったよ。

俺の場合は今考えると全て俺が悪かった。
お前はしっかり者だから、辞めることに悩むけど、俺は適当だからそんなこと考えなしに辞めてきちゃってたよ。

自分をもう一度見直すことも大事だよ。
で。
この本買ってきたから読んでよ。
だった。
会社で嫌々勉強させられてるんだけど、面白いんだよ。
オリラジのアッチャンもYouTubeで取り上げてるから読めなかったら見て見なよ。
いらなかったら捨ててもいいから。
お前が昼の予定を15時にして時間があったから買ってきたんだよ。

唖然とした。

あのタダマサがすごく冷静に、僕だけの肩を持たず、俯瞰しながら話しをしている。

しかもこんな分厚い本を・・・。


衝撃と同時に、一旦冷静になろう。と感じた。


奥さんを大事にしてあげて欲しい。

彼はこの上なく重い言葉を私に残した。

帰宅中の私は、この休みの間に2冊も新たな本と出会える幸せと、私のために本屋さんへ足を運び購入してくれた彼の思いに泣きそうになった。

何でみんな私のためにこんなに優しいんだろう。

また泣けてきた。






土砂降りの雨の中

車を走らせながら本の表紙を見ては

分厚いな。。。読めるかな。。。

と不安になった。


ナカシマ君の急な誘いによって手に入れたこの本。


その時はこの本との出会いが人生の歯車を変えるとは思いもしなかった。



雨はすっかり上がっていた。