追悼。

~死者の生前を偲び、その死を悲しむこと。

 

あれから1年経ちました。

でも未だに実感がありません。

実感がないから、どうやって追悼すればいいのか、よくわからなくて・・・。

ファンとして彼女の「死」が受け入れられない、とかじゃなくて、本当に実感がないんです。

 

ひょっとすると彼女はまだどこかで生きていて、歌ったり笑ったりしているんじゃないか・・・。

 

 

今回発売された『MUSICALOID #38 Curtain Call!』の付属のDVD映像なんかを観ていると、心からそう思います。

人は二度死ぬ(実際に命を落とした時と、残された人たちから忘れられた時と)、なんて言いますが、そういう意味で彼女には二度目の死はないでしょう。

 

「神田沙也加」が忘れ去られることなんてないから。

 

沙也加さんが残して来た歌や演技、作品の数々は、決して色褪せることなく、私たちの心に刻まれています。

もちろん歳月と共にその記憶は少しずつ薄れていくのかもしれません。

でもこうして毎年12月18日になれば、沙也加さんのことを思い出してくれる人は必ずいるはずです。

だから少なくとも、私たちが生きている間は彼女は生き続けるんです。

皆さん、長生きしましょうね(笑)

 

すみません、凄く陳腐なことを書いている気がしますけれど、今の私の素直な気持ちです。

ということで今日は、沙也加さんの歌声を聴きながら、「私の中の神田沙也加」について書いていきます。

いつも以上に自分の世界に入ってしまうと思いますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。

 

まずは、2枚のベスト盤、発売されましたね。

 

『LIBERTY~memorial~』

 

『MUSICALOID #38 Curtain Call!』

 

『LIBERTY』については、ついこの前までこのブログで散々語っていたので止めておきますが、『MUSICALOID #38 Curtain Call!』も最高です!!

この全曲クロスフェード動画、冒頭から涙腺が・・・😭

『地球最後の告白を』のMVが、見事にハマっています。

 

そして未発表曲だった『アスノヨゾラ哨戒班』のカバー。

 

『アスノヨゾラ哨戒班』

 

空へ舞う 世界の彼方 闇を照らす魁聖

『君と僕もさ、また明日へ向かっていこう』

夢で終わってしまうのならば 「昨日を変えさせて」

なんて言わないから また明日も君とこうやって笑わせて

 

こういうフレーズが、一々沁みるんですよね・・・。

 

全曲クロスフェード動画のコメント欄が、またいいんです。

皆さんの沙也加さんへの思いが溢れていて、暖かい気持ちになります。

そうそう、このアルバムに収録されているボカロ曲を作ったyukkedoluce(ゆっけ)さんもコメントされていますよ。

 

>僕なんかの楽曲を選んでくれて、歌ってくれて、本当にありがとうございました。

初めてお会いしたときにも、僕なんかにとても素敵な笑顔とお声でお話してくれてありがとうございました。

この思い出と歌声は、僕やあなたを愛する人たちの中で生き続けます。

また沙也加さんに歌ってもらえるような音楽を作れるように僕も生きていきます。

本当にありがとうございました。

 

なんか、たまらんですわ・・・😢

 

ゆっけさんの曲は2曲収録されておりますが、どちらも素晴らしいカバーで大好きです!

 

『林檎売りの泡沫少女』

 

楽曲自体が物語になっていて、それを沙也加さんの透き通った歌声で聴いていると、幼い頃、寝る前に母親から読み聞かせてもらっていた時のような安らぎを感じます。

 

もう声は届かないのね

まるで透明になったみたいだわ

 

ここも沁みる・・・。

 

『Good Morning, Polar Night』

 

大氷原、降るような星空、煌めくオーロラ、極寒の中の澄んだ空気、徐々に晴れていく主人公の心、その全てにマッチした沙也加さんの透明な歌声がたまらないです。

ああ~、心が浄化されていくようなこの感じ・・・。

 

そもそもボカロ曲って、人間が歌うようには作られていないんですよね?

初音ミクのようなボーカロイドだからこその音域だったりして。

でも沙也加さんにはそんなの関係ないんですね。

なんて透明な歌声なんでしょう!!
 

そう、彼女がいなくなってしまったことについての自分のイメージを一言でいうと、

 

「透明」。

 

透明な存在になっちゃった、という感覚が一番近いかな・・・。

彼女の身体がどんどん透明になって、消えていったような。

あるいは、今自分の目の前にある部屋の壁の向こうに、スーッと身体ごと吸い込まれて、向こうの世界に行っちゃった、みたいな。

それはとても近くにあって、同時に凄く遠い世界。

 

私の中の神田沙也加って、とっても「透き通った存在」だったんだなあ、って最近改めて感じるようになりました。

 

何というか、「生々しさ」みたいなものを感じないんです。

そりゃあ私にも、1年前のあの日以来、知りたくもない色々な情報、つまり生々しい話が目に耳に入ってしまうこともありましたよ。

未だにそれは続いています。

 

でも、何だかそれは別世界の話のように思えてしまって・・・。

もちろんこれは私がそう感じている、っていうだけのことなんですが(笑)

 

あるいは、沙也加さんの生い立ち、そしてその後の生きて来た道のりを考えてみれば、様々な葛藤や苦しみがあったはずです。

自分の家の当たり前が他の家の当たり前と違っていたことに気付いたとき、偉大なる親を持っているが故の重圧、自分自身へのコンプレックス、周りからの好奇な目線、心無い言葉・・・。

 

そうしたものが、彼女自身が身にまとっているオーラからは、全く感じられないんです。

 

やっぱりそれって、沙也加さんの歌声のイメージから来てるのかなあ・・・。

あの透明感は、他に類をみないと思っています。

聖子さんの歌声にも、特に83年前後あたりは透明な響きを感じますが、同時にほんのりと甘くてハスキーな香りも併せ持っているのが聖子さんの歌声で、それがたまらない魅力となっているように思います。

対して沙也加さんの歌声は、ひたすら純粋に、どこまでも透き通っている感じがします。

 

凄いのは、沙也加さんの場合、その純度が年齢・経験と共に上がっていったところ。

デビュー当時からその歌声は透き通っていましたが、それが年々磨きあげられて、純度を増していった感じ・・・。

それは訓練のたまものなのか、それとも元々持っていた才能が少しずつ開花していったのか、どうなんでしょうね?

やっぱりどちらもなんでしょう。

 

色に例えると、やっぱり水色かな。

 

『水色』

 

元々淡い水色だったのが、どんどん色素が薄くなってきて、ついに透明になっちゃった。

結局のところ、本当に「透明な存在」になってしまって、私たちの前から姿を消してしまった。

そんなイメージ。

 

透明な存在ってことは、私たちからは彼女が見えなくても、もしかしたら実は彼女がすぐ近くにいるのかもしれない。

此方乃サヤと彼方乃サヤ、いる場所が違っても、彼女は存在している。

 

そう思いたくなるもう一つの理由が、彼女自身が作品の中で作り上げて来た世界観にあります。

 

I’m still waiting for you

広げた地図は薄れきり

赤道が2人 分かつよ

対極に

 

『ATLUS』

 

Iost of our ATLAS.

can you feel the Destiny?

how alive you now?

you waiting for me now?

Forever, your place is a here...

 

離ればなれになってしまった二つの魂が、結ばれることを願いながら時間や空間を超えて彷徨っている・・・。

自身が描き出したその壮大な物語の中で、沙也加さんの魂も彷徨っているような、そんな気がしてしまうんです。

 

you already forgot me?

 

『Ever Blue』

 

夢の中

誰?

この名前

呼んで

呼んで・・・

 

私を見つけて。

私はここにいるから・・・。

 

『君が居る未来のために』

 

いつか来る未来のどこか

探し当てて 結末

失くす前に 失うの

ひとつは残るように

私は ここ

気付いて

 

そしてTRUSTRICKの活動休止前の最後のライブ、沙也加さんが最後に歌ったのはこの曲でした。

『いつかの果て』。

これはもう明らかに、沙也加さんから私たちへのメッセージです。

 

いつかの果てで、また逢いたい

 

っていう・・・。

 

『PERFECT TRICK-TRICK TOUR 2016 & CLIPS- 』の中で、この曲のMVについてBillyさんと2人で話していた時に、沙也加さんも言ってましたね。

この曲のテーマは「輪廻転生」で、『ATLAS』との関わりを匂わせるようなことも。

 

赤道によって対極に分かたれた2人が、再びめぐり逢うことができるのか?

 

反対の方に君が立ってる

しあわせを信じてる

僕は橋の修理を待ってる

「すぐ行くからね」って

もう何年もこのままで

 

彼方乃サヤに逢うためには、橋が修理されなければいけない。

でも、それはいつ?

 

「いつか」でも それって何時だろう

「どこか」とは 何処なのだろう

 

『いつかの果て』

 

痛みは苦しいままで在るから

君がそばで生きてる

 

・・・結局、橋は修理されないまま終わってしまったのかな・・・。

切ない。

あまりに切ないです。

 

『TRUSTRICK First Film “Iolite”』。

これは素晴らしい映像作品なので、まだ観ていない方はぜひ購入して観ていただきたいのですが、沙也加さんのバラード歌唱が素晴らしいんです。

冒頭の、『ATLAS』~『If~君が行くセカイ』~『いつかの果て』~『恋人』の流れ、まさしく魂の輪廻転生の世界を再現しているように感じられて・・・。

 

特にストリングスの入った『いつかの果て』~『恋人』、何度観ても感動してしまいます。

『恋人』って、以前は輪廻転生の物語の中の曲とは認識していなかったのですが、この映像を観て思い直しました。

 

2人の気持ちは、ちゃんと繋がっているんだな、って。

 

ここで出逢う その為に

失くし続けてきた、と 思えたから

 

『恋人』

 

ごめんね、愛してる

誰かが傷ついてる

それでも逢いたい

まだ 離せない

夢の続きを

最初で 最後の恋人

 

ごめんね、愛してる

誰もが傷ついてる (もしもこれが運命なら)

ごめんね、逢いたい (一晩中 願ってた)

離れたくない… (走り、抱きしめて?)

結ばれ方も知らない (この糸を結ぶよ…)

ふたりは恋人

 

*カッコ内の歌詞はコーラスです。

歌詞カードを見なければ気付きませんが、こういうところにも沙也加さんからのメッセージが入っているように思います。

 

そして二人は、始まりで逢うんです。

 

目を閉じて 3秒

闇の中では 唯一無二の存在なの

目を開けて 3秒

恐れないで 

これから「君は繋ぐ」

 

『If-君が行くセカイ-』

 

もしも魔法なら

 

君に逢う

きっと逢う

始まりで 逢う

 

もちろん、これが私の妄想であることは十分承知しています。

でも、あんな悲しいことがあった上で彼女の歌声を聴いていると、透明な存在になった沙也加さんがすぐ近くで歌ってくれているかのような、そんな感覚になるんです。

 

それは自作曲・他作曲に限らず。

この曲なんか聴いていると、本当にそんな気持ちになってきます。

このMV、砂時計が描かれていますね。

あと何回、あと何回って、長い長い時間の経過を表しているんでしょう。

 

私には、『いつかの果て』の「いつか」が、ここにあるような気がして・・・。

 

『Tómur』

 

渇き切った部屋

僕独り、の部屋

本当に真っ新で

丸で、何も無かったようだ

 

 

そんな未来があって

そんな世界があって

そんな、そんな僕が居て

 

そこにキスがあって

そこに痛みがあって

そこに、ここに。

 

君が居た、君が居た

君が居て、僕が居た

僕が居て、君が居た

 

だから凄く遠い世界に行ってしまったけれど、実はすぐ近くにいる彼女の歌声を、耳を澄ませて聴いていたいんです。

 

この曲の歌詞なんて、まさにドンピシャ!!

これも沙也加さんの自作曲ではありませんが、まるで彼方乃サヤからの、私たちへのメッセージのようではありませんか!

 

*ユギビタスというのはラテン語で、至るところにある、あまねくところに存在する、という意味なのだそうです。

 

ココハドコデショウ? ワタシハダレデショウ?

歌声(こえ)を頼りに探してよ

心で歌うよ 心に届いてほしいよ

仮面(ゆめ)も現実(リアル)も真実(ほんと)だよ

 

『Ubiquitous dB』

 

鳴らせ Hi-Fiな想いと

次元を超え胸打つメロディー

そして真実的(リアル)な秘密を教えよう

《この歌は永遠に生きてくよ》

だから“会いたい”なんてナンセンス

ユビキタスするよ 君のメモリーに

ほら君が私を呼ぶのなら 耳すまして

いつもそばにいるよ dBを上げて

 

そうか、“会いたい”なんてナンセンスなんですね。

耳を澄ませば、いつもそばにいてくれてるんだから・・・。

 

そしてやっぱり、最後はこの曲で。

『地球最後の告白を』。

自分なりの追悼、ってなると、やっぱりこの曲を聴いてこの曲の世界に浸ることになるのかな。

 

不老不死になってしまった主人公の物語を歌った曲ではあるにせよ、これ程沙也加さんへのメッセージと、ファンの気持ちが重なっている曲はないと思います。

もしかすると、パラレルワールドである彼方乃サヤ側から見たら、私たちの方がいなくなってしまった世界なのかもしれませんよ。

 

明るいメロディにも救われます。

ベスト盤のDVDに収録されていたこの曲のMV、たまらないです😭😭😭

この曲をベスト盤の代表曲として取り上げてくださったスタッフの皆様、本当に、心から、ありがとうございます!

 

追い越してく

戻れない憧憬

好きな人に

さよならを

 

いつか見た夕焼けは

あんなにキレイだったのに

恋なんて呼ぶには

穢れすぎてしまったよ

 

そして君が知らずに

幸せな灰になった後で

僕は今更

君が好きだって気付いたよ

 

『地球最後の告白を』

 

そして

何もかもが

手遅れの灰になった後で

僕は今更

 

 

君が好きだって

君が好きだって言えたよ