渋谷の東急文化村ザ・ミュージアムで開催中の「オットー・ネーベル展 シャガール、 カンディンスキー、クレーの時代」に行ってきました。
 
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ここのミュージアムは学生時代のバイト先なので、いまだにマイホーム感があります。わりとマイナーな画家を取り上げる企画が多いですね。
 
今回も、オットー・ネーベルって誰?みたいな。私なんか時代も国も近い画家を研究していたのに初めて聞く名前だったもん。勉強不足でしょうか…。(ちなみに私の専門はジョヴァンニ・セガンティーニです)
 
パウル・クレー夫妻と親交が深く、作風もぱっと見では似た印象。ほのぼの和み系ですね。
 
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パウル・クレー《いにしえの響き》(1925)
 
この作品↑とポスターの作品を見たら似ているかも。
 
が、実際の作品を見たら全然違いました。どれだけ作り込んで描いてるの?と気が遠くなるような堅固な構成なんです。もともと建築を学んでたそうですが、この几帳面な忍耐力があれば図面も引けるでしょうね。
 
紹介映像でもクレーとの違いが言及されてましたが、クレーは線の人でネーベルは面の人。「絵」というより「造形」がしっくりくる男らしさがあります。
 
テンペラに金箔銀箔、樹脂などいろいろな画材に挑戦しているし、面ごとにテクスチャが違ったりして触りたくなっちゃいました。写真では伝わらないので、ぜひ実物を見てほしい作家です。
 
そしてイケメン。若い頃から俳優を志し、かなりの年齢になってからも舞台で生活費を稼いでいたというのも納得です。
 
抽象画が多いのでスーッと観終わってしまう人も多い展覧会だと思いますが、私は2時間でも足りないくらいでした。日本で取り上げられるのは稀なので、この機会に知られてほしいです。
 

♡お気に入り作品はコレ!

《ポンペイ》『イタリアのカラーアトラス』より(1932)
 
この色彩見本帳は、イタリアの各都市を周ったネーベルが、景色を大小さまざまな色と形で表したもの。都市独特の光やリズムが伝わってきて楽しい!
 

【展覧会概要】

オットー・ネーベル展 シャガール、 カンディンスキー、クレーの時代

会期:2017年10月7日(土)〜 12月17日(日)

会場:Bunkamura ザ・ミュージアム

公式サイト:http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/17_nebel/

 

 

オットー・ネーベル Otto Nebel (1892-1973)

ベルリン生まれ。写真の繊細そうな容姿は30代前半。バイオリンとか弾けそう。実際、音楽や演劇など多岐にわたり芸術に造詣が深かった。スイス、ドイツで活動し、バウハウスのカンディンスキーやクレーと親交を結び影響を受ける。戦争で捕虜になったり亡命したり波乱万丈な日々を送っていたが、1952年、還暦を迎えてようやくスイスの市民権を獲得し、落ち着いて制作活動に取り組めるように。