「温室デイズ/瀬尾まいこ」
戦うのは、逃げるよりもつらいけど。まだ、あの場所でがんばれる。
ふたりの少女が起こした、小さな優しい奇跡。
教室に紙飛行機が飛びはじめる。始まりの合図だ。もうすぐ崩れだす。でも、教師はまだ気づかない。日本の平和ボケは、学校の場でも存分に発揮されている。生温い方法では、もう追いつかなくなってしまうのだ。
「今なら、なんとかなるはずだよ」私は祈るような気持ちで崩れていく学校を見ていた……。
この温室のどこかに、出口はあるのだろうか…。
今最注目の作家が贈る、痛くて沁みる極上青春小説。
登場人物は、割と簡単
そして、皆が素敵。
どこにでもいそうで、だから、すごく気持ちがわかる―っていうのかな。
みちる
どこにでもいる女の子。正義感が強い。父子家庭である。
小学校でのいじめでは、空手を習っている事と伊佐瞬と仲が良いことから、優位な位置につくが、”いじめ”を不安に思っていた。
中学校では、荒れた中学をなんとかできないかといつも思っていた。ある日、優子を守るために、自分がいじめられ始める。
まわりによく、強いね、と言われる。本人に自覚無し。
優子
可愛らしい容姿に合う、優しくて真っ直ぐな性格。みちるいわく、お嬢様特有の”余裕”を持っている。
小学校では、荒れて行く中、その真っ直ぐ正しさ(チクリも含む)と容姿でいじめられた。
中学校では、温厚な日々を送っていた。適度な自由さを得ながら、日々を過ごす。
伊佐瞬の告白を断ったことで、女子にいじめられる。
別室登校など…学校とは別の居場所を見つけることによって、心に余裕があるが、自由な時間に戸惑う。
斉藤君
自称・有能なパシリ。小学校の頃同様、荒れたクラスを元に戻そうとする気持ちがある。
少しずつ、少しずつ…有能な頭で計画を進めて行く。
伊佐瞬
みちるの幼なじみである。極度の短気。そして、誰もが恐れる不良。
不良ならではの心に闇を抱えている。
妹に似ている優子に好意を寄せている。
吉川
学校を立て直すために来た先生。
本人は、子供達に勉強を教えたいだけで、不良の更生はしたくないとのこと。
ナヨナヨしていて弱い。不良に逆に絡まれる日々。
めんどくさがりや。やる気のない大人。
みちると階段でよく話す。
地味にみちるの心の支えであった。
みんながどこにでもいそうで、それでも輝いて…。
すごいと思う。すべての登場人物を愛したくなる。笑
こんな登場人物達が、「学校」という中で何かを思いながら生きて行く。
「学校」って何?―登場人物それぞれにとっての、学校とは?
先が気になって一気に読んでしまいました。
どうなるのかな?
学校は?
いじめは?
瞬は?
優子は学校に戻るの?
みちるはどうするの?
気になること満載。
そして、その問いに対する、納得する答えが、ちゃんと終わりに待っていたと思います。
青春を感じたい人におすすめです