NISSHA<7915.T>は、医療機器などを展開する「メディカルテクノロジー事業」の説明会を11日に予定している。タッチセンサーなどの「ディバイス事業」にとって代わる中・長期の成長シナリオのけん引役に位置付ける部門だけに、市場の注目度も高い。
<新たな収益軸、中期計画けん引へ>
印刷を祖業に電子材料や産業資材に事業領域を広げてきた同社は、2010年代になると新たな収益柱を求めて医療機器分野にも参入した。16年の米国企業の買収を皮切りに、17~18年にかけても関連会社のM&A(企業の合併・買収)を行い、20年にはオリンパス<7733.T>から内視鏡などを製造する米工場を取得した。
NISSHAのメディカルテクノロジー事業は、医療機器の受託製造(CDMO)と自社ブランドで構成する。売上高は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が逆風となった前12月期に206億円(前々期比14.6%減)に落ち込んでおり、全体売上に占めるウエートはまだ1割強にすぎない。
ただ、こうした構図は一変するかもしれない。同社は今年スタートした23年12月期を最終年度とする中期経営計画で、メディカルテクノロジー事業の売上高350億円(前期比7割増)を目指す。M&Aを重ねたことで、受託製造は循環器や消化器、耳鼻咽喉(いんこう)科、婦人科といった広い診療領域をカバーし、生産能力も高まった。
NISSHAは会社全体での23年12月期の売上高の目標を1950億円(前期比8%増)としている。メディカルテクノロジーについては既存のリソースの延長線上にある350億円に加え、同事業を中心としたさらなるM&Aによって150億円を上乗せする考え。また、30年には全体の売上高3000億円を目指し、同事業がその半分を占める構想を持つ。
<投資評価の転換点にも>
CDMOの市場は調査機関の予測などからも世界的に大きな成長が期待される。そのため、メディカルテクノロジーを軸とする同社の業績の青写真は的外れではないだろう。「いまの段階ではまさに青写真にすぎない」(国内証券のアナリスト)が、11日の説明会でより豊かな色彩を帯びてくる可能性がある。
直近の株価上昇は、5月の第1四半期決算(通期の連結営業利益予想を75億円→105億円、前期比44%増に上方修正)を受けたものだが、現状はタッチセンサーや産業資材が収益を支えている。しかし、ディバイス事業は来期以降縮小する懸念がある。一方でメディカルテクノロジーへの期待は相場に織り込まれていないとみられ、11日の説明会は今後の投資評価の流れを決める転換点になるかもしれない。
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