日本企業をめぐる懸念材料の1つが、市場で優勢な「ピークアウト説」だ。中国向けを中心に足元で好調な機械やFA(工場自動化)機器の受注は、早晩下降局面を迎えるというもの。しかし、その実態には確かな勢いもうかがえる。関連銘柄の一部に過度な調整が生じている可能性がある。
<先行受注VS実需>
コロナ・ショック後の驚異的な設備投資の回復を受け、機械各社の受注は急角度で上向いた。日本工作機械工業会(日工会)がまとめた工作機械受注は、直近3月の総額が前年同月比65%増の1279億円に拡大した。うち中国向けは過去3番目に大きい374億円(同3.3倍)に膨らんだ。
個別企業に関しても、27日に21年3月期決算を発表したファナック<6954.T>の第4四半期(今年1-3月)の受注高は、過去最高に迫る2028億円(前年同期比60%増)。中国が主戦場の工作機械メーカーのツガミ<6101.T>も、1-3月の受注高が同2.2倍に急増した。
一方、市場では好調の継続性に懐疑的な向きが多い。背景にあるのが、先行受注の存在だ。半導体やボールねじといった機械用の部品に不足感が強いことで、ユーザーが差し迫って必要な量以上の台数を早めに手当てする例がある。いわば需要を「先食い」するこうした動きが一段落すると、受注は急速に衰えるという見方が根強い。
ただ、実需部分についても強気の声は聞かれる。ある工作機械メーカーの首脳は「少なくとも夏ごろまで高水準の需要が継続しそうだ」とする。また、日工会の関係者によれば、「会員企業へのヒアリングでは、本来3台の機械が必要な客から4台注文が入るというような話も確かに出ている。しかし、当面は受注が大きく落ち込む気配はないという意見が優勢だ」。
<ツガミや岡本工マーク>
FA機器大手の安川電機<6506.T>は、前2月期第4四半期(昨年12月-今年2月)の受注高が前年同期比で20%、前四半期比でも17%それぞれ増えた。ただ、ピークアウトを想定するマーケットは売り優勢の反応を示し、同社株の値動きはその後の日本企業の決算リアクションに影を落としている。
しかし、市場の読みは必ずしも正しくない。仮に明確なピークアウトが起きなければ、関連銘柄の下落の裏付けは失われる。ファナックも決算直後の28日は小幅安でスタートしたものの、その後切り返して安川電の二の舞いを回避。先行して調整していたことも要因だ。ツガミの株価もアップダウンを繰り返しつつ、着実に下値を切り上げている。
このほか、半導体製造装置や工作機械を手掛ける岡本工作機械製作所<6125.T>、小型工作機械のブラザー工業<6448.T>などに注目したい。
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