日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
きょう(16日)の東京株式市場は、日経平均株価が154円高の2万9921円と6日続伸。今週は中銀ウィークということで、神経質な展開というよりは様子見ムードが拭えない状況であり、いずれにしても週前半に上値は追いにくいとみる向きが多かった。しかし、米国株市場は待ちきれないとばかりにNYダウとS&P500が最高値街道を驀進、調整局面入りが濃厚だったハイテク株比率の高いナスダック総合指数も直近は切り返し波動を鮮明としている。東京市場もそれに追随しないという選択肢はなく、日経平均、TOPIXともに上向きの5日移動平均線を絡め上値指向を明示。TOPIXは5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを示現し、日経平均もゴールデンクロスが目前だ。
早い話、株式市場は見切り発車状態にある。パウエルFRB議長はハト派姿勢を明確に打ち出しているが、もはや“筋金入りの鳩”といってよい。あす17日に予定されるFOMC後の記者会見でどういうコメントを発するかにマーケットの関心が集中しているが、「(パウエル氏が)長期金利上昇を容認したと解釈され株式市場はいったん波乱含みとなった経緯があるが、これを踏まえて彼は何があっても同じ轍は踏まないと考えているのではないか。少なくとも今参戦している投資マネーはそうみている」とベテランの市場関係者は言う。
更に、今週後半は日銀の金融政策決定会合が開催される。最近はFOMCにばかりスポットライトが当たり、日銀の会合の方は最初から無風通過と決めつけられていたようなフシがあるが、少なくとも今回の会合はビッグイベントの名にふさわしい。金融政策の点検結果と称してテーパリングを匂わすであろうことは予想がつく。具体的にはETF買いの上限枠である年間12兆円の撤廃もしくは減額だが、既に1回当たりのETF買い入れ額縮小で、これ見よがしのステルステーパリングを行っており、市場はかなりの部分織り込んでいる。ETF買い入れについて、出口戦略を想起させるような内容とならない限り「寝耳に水」ということは全くない。
日銀のETF買いは2010年12月から始まったが、当初は年間4500億円が上限だった。それが、徐々に購入規模を拡大し約4年後の14年10月には3兆円に、更に16年7月には6兆円、そして昨年3月、コロナショック暴落に対応して12兆円に倍増させた。どう考えても今この水準に固執することに意味は感じられない。今年も既に3月半ばだが、日銀のETF買い累計は3500億円あまりにとどまっている。ちなみに保有残高は45兆円を超え、買いコストを差し引いた含み益は約10兆円に及んでいる。安物ヒーローの常套句ではないが「ピンチにはいつでも駆けつけるよ」で十分なのである。
個別株は引き続き海運株にビッグウェーブが訪れている。これは新型コロナワクチンの普及加速によってもたらされた経済活動正常化の流れが、グローバル物流を突き動かすとの思惑がベースとなっている。明治海運<9115>のストップ高だけならよくあることだが、物色の裾野がどんどん広がっており、文字通り流れ込む資金にウネリが生じている。前日紹介した大運<9363>はストップ高で買い物を残し、栗林商船<9171>も一時ストップ高目前まで上値を伸ばした。ちなみに大運は資本金こそ超小型だが流動性に富んでいて、意外に上値の重い銘柄であり、ここでの突発的なストップ高は相場の流れというよりない。同じ大阪銘柄では杉村倉庫<9307>などもマークしておくタイミングと思われる。
市況関連では鉄鋼株も強い。海運株同様に低PBR株の宝庫であり、中小型株では高周波熱錬<5976>や日亜鋼業<5658>のほか、ステンレス鋼商社のUEX<9888>などにも目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、2月の貿易統計、2月の訪日外国人客数など。海外ではFOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見に注目度が高い。このほか2月の米住宅着工件数の発表など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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