ソニー<6758.T>は5日に年初来高値を更新したものの、その後は終始利益確定売りに押される展開が続いた。前日発表した21年3月期第1四半期(4-6月)決算は市場予想を大きく上回ったが、先行して株価に反映されていた期待も大きく、相場はひとまず高位での値固めに移行しつつある。一方、中・長期目線では魅力を強めたと考えられ、新たな局面を迎えそうだ。
<高値更新も失速>
4-6月の連結営業利益は前年同期比1%減の2284億円となり、コロナ禍の厳しい経済環境の中でも業績の落ち込みを抑えた。巣ごもり消費に支えられたゲーム事業が絶好調で推移したほか、費用を抑制した映画部門も利益を伸ばした。
また、中間期の増配(25円、前年同期は20円)を打ち出したほか、自社株買い(取得上限は発行済み株式数の1.6%の2000万株)も発表。ソニーフィナンシャルホールディングス(=ソニーFH)(8729、整理)の完全子会社化に乗り出したことに続き、資本政策でも存在感を発揮した。
それでもこの日は出足の買いが一巡すると伸び悩んだ。8838円(前日比1.7%高)の年初来高値を付けたものの、2001年以来の9000円台を目前に失速し大引けは1.6%安の8546円。利益確定売りに加え、市場で注目されていたイメージセンサー部門が弱含んだことが一抹の不安を市場に残したようだ。
<イメージセンサー巻き返しへ>
イメージセンサーはカメラの目に当たる半導体で、スマートフォンの高機能化に伴うレンズ搭載個数の増加(複眼化)が市場の伸びをけん引している。しかし、新型コロナの影響もあり、4-6月の同事業の営業利益は前年同期比49%減となった。通期計画も前期比45%減と基調は弱く、足元で韓国サムスン電子の猛追を受けていることもネガティブなイメージに重なった感が否めない。
もっとも、スマホは5G対応機種の普及が今後加速する方向で、複眼化の流れにも勢いがある。来期には再び収益成長の強力なドライバーとなる公算が大きい。また、株主還元からは変革へのグループ戦略の自信と決意がうかがえる。真価が問われた4-6月決算は前向きな判断材料といえる。まずは1万円台への復帰を視野に入れたい。
出典:モーニングスター社
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