12/28(土) 13:18配信
かんぽ生命保険で顧客に不利益となる不適切販売が発覚した問題で、日本郵政グループは27日午後6時から都内で記者会見を開き、日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長の辞任を発表した。
【動画】かんぽ不適切販売問題 日本郵政グループ3社長が辞任会見
※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「かんぽ不適切販売問題 日本郵政グループ3社長が辞任会見(2019年12月27日)」に対応しております。
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不適正を誘引する仕組みになっていたのでは?
NHK:NHKの「クローズアップ現代」の【キクチ 00:47:01】です。社長、お三方それぞれお答えいただきたいんですが、組織的な責任の問題についてお伺いしたいことがあります。特に優績者について。非常に多くの販売実績があって品質に問題がない社員の模範だとして会社が推奨してこられたと思いますが、これまで不適正な販売は一部のコンプライアンスの意識の低い人たちが行ってきたと、そういうふうに言っておられましたが、こうした社員の模範とされる優績者が品質に問題のある販売を行って、しかも一定程度、組織として許されているという実態が内部資料からうかがえます。
これ、優績者の成績表をリストにした内部資料なんですけれども、ここには二重払いや無保険が生じる乗り換え潜脱の疑いがあるものが、例えば5%以下、あるいは同じく顧客に大きな不利益を生じさせる疑いのある料済や減額が12%以下、また苦情は3件以下ということで、不適正な募集を組織として許容すること、不適正な疑いのある募集を組織として許容することが示されているようなものですが、こうした仕組みが結果的に不適正を誘引する1つの原因になっていたとは考えられないでしょうか。
植平:優績表彰の優績者について、品質に問題のある優績者を許容してきたのではないかというご指摘、ご質問でございます。私がかんぽ生命にまいりまして、こうした優績者を表彰する制度、これはおそらくかんぽ生命のみならず、いろんな販売会社といいますか、生保会社も含めて優秀な成績を上げる方々を表彰する仕組みというのはどういう組織でもお持ちになっているんだと思います。そんな中で、今回の品質問題についての一定の根本原因の中でも取り上げられていますけれども、やっぱり新規の契約に少し傾斜をした評価をしてきたといったようなことも含めて、今後、われわれとしては成績評価の在り方については大きく変えようとしております。
品質問題は重大テーマとして認識
この優績表彰については私の記憶の中で言えば、今こちらにおられます社長の横山と、郵便の社長の横山といろんな相談をしながら、私が社長になって以降も品質問題っていうのは大変重大なテーマとして認識をしておりましたので、そのころに総合対策という施策も打ちましたけれども、併せてその中で、この表彰制度についてもメスを入れてまいりました。特に売り上げだけがいいという方を表彰するという仕組みでは不十分であって、ここに品質指標を入れて、総合的に優秀な成績というものを評価していきたいということで、その判断・判定基準も見直しを始めた途上でございまして、近時は相当、もうこれが内容的にも整備をされてきたものというふうに考えております。
そういう意味で、現時点ではかなりこの、今ご指摘の点については、品質基準をクリアしなければ評価されないという仕組みで回しておりますし、これは郵便と一緒にこうした制度を回しているというふうに自覚をしております。
横山:植平とほとんど同じでございますけれども、この3年、品質に重きを置いた優秀制度の中身に変えてきております。従いまして、表彰される方が数年前とずいぶん変わってきたというのは社員も認識しているところでございまして。ただ、ご指摘のような点についてまったくそうじゃないかといわれると、全てが途上だったというところは私としてもじくじたる思いになるところでございます。以上です。
チェックすべきポイントの1つ
長門:ご指摘のポイント、特別調査委員会のほうでございましたように、いろんな理由があってこの問題が起こっていると思います。ご指摘があったような問題も1つの原因ではないかと私も思います。18日、先週水曜日に特別調査委員会が発表したレポートの中に、例えばこういう数字もご紹介申し上げました。違反疑い事案のうち販売実績が優秀とされる募集人が関与した件数の割合は1641件、約26%であるということで大きいシェアを占めておりますし、しっかりチェックしなければいけないポイントの1つと感じております。
私どもが先週発表した、18日に発表した調査の現況と申し上げました。3つありまして、お客さまに意向を伺う。意向を伺って全部、紙に落として、弁護士さんが全部見て、これはうちで見てどういう、AからFのどういう件とか、どういう懸念があるのかとかっていう1つ目。2つ目に、お客さまに不利益を、早く返したいというので不利益を、申し込んでいらっしゃる方々がどのぐらいいてどんなことなのか。3つ目が募集人さんの調査なんですね。
残念ながら、もう弁護士も立ち会って1件1件やっておりますので、18日に発表した数字、12月15日時点の数字でございますけれども、申し上げたように、全部の、今回の特定対象案件、18万3000件のうちの、出てきたのが、判定完了が2487件で、法令違反48件、社内ルール違反622件と、この数字ですけれどもこれがまさにそういう問題をやっているところなんですね。不正、不法行為が見つかったら厳正にわれわれ対応すると申し上げておりますので、そういうところが発覚して証明できればきちんと対応したいと考えてございます。
司会:ほかにご質問は。
組織的な問題だったのではないか
NHK:すいません。われわれ今回、取材で優績者の方々にお話を聞いたりしていて、組織の命を受けて高い営業目標を達成してきたっていうことでしたり、もうトカゲの尻尾切りのように、一部の社員による問題行動とされること、そういうことに非常に危機感だったり違和感を覚えていらっしゃる方にお会いしてお話を聞きました。それで、社員に向けてのメッセージとしてもきちんとお答えいただきたいんですけれども、そもそも不適正を許容する仕組みっていうのが組織的な問題、責任が組織的なものだったんじゃないかというふうに思うんですが、その点についてはいかがですか。
植平:不適正を許容する組織、あるいは組織的な問題というご指摘でございましたが、私の自覚の中で不適正を許容したことは一度もございません。われわれが募集人の方々に出す適正な販売のマニュアル、あるいはいろんな諸ルール。今回、先ほど長門のほうからご紹介がありましたルール違反等も、われわれが敷いた募集制度の仕組みと枠組みの中で、そこからはみ出したものを今回、処分対象としているわけですけれども、一度たりともわれわれが出したルール、あるいは品質ルールについて、これを逸脱してもいいとか、あるいは逸脱するということを前提にしたルール化を図るというようなことはまったくありません。
従ってわれわれは、これは痛恨の極みでございますけれども、こうしたルールを敷きながら、そうしたルール違反について厳正に、やはりチェックしきれなかったという点についての反省はしておりますけれども、今おっしゃられたように、われわれがそれを助長したというようなことは、まったくもってあり得ないという話でございます。
横山:よろしいですか。私も同じ認識でありまして、経営側、また本社、支社がそうしたことを仕組み上、助長していたということはまったくないというふうに考えておりますし、特別調査委員会の先生方とお話をしておりましても、会社全体に蔓延しているということではないというお話をいただいております。以上です。
司会:ほかにご質問のある方。すいません
問題を十分把握していたのではないか
NHK:すいません、これだけ。今回、組織的でないということですけども、問題になってる二重払い、無保険、この乗り換え潜脱について、今月公表された報告書では、2017年12月の総合対策の段階でかんぽ生命および日本郵便は認識していたと、そういうふうに指摘されていますよね。その根拠の1つとなっているのが「募集品質・全国カルテ」という社内資料なんですけども、料済、減額、それから乗り換え、隔月ごとの件数が把握されていて、問題の規模感、詳細な内訳も十分に把握されていたということが分かります。こういった具体的な資料が組織に回っていたことも経営のトップとして認識されていなかった、あるいは組織的な問題がなかったんだということをおっしゃっているということでしょうか。
植平:前の12月の18日のこうした会見の場でも、お二方から同じようなご質問を私、いただきました。そのときも申し上げましたけれども、カルテというのは、われわれが常時それを見ている経営関連の資料ではございませんけれども、カルテというのは、募集人お1人お1人の指標を記載したものであります。どこのどなたか知りませんけど、その合計数字のものをお持ちになっているというお話も聞いたことがございますけれども、いずれにしてもAさん、Bさん、Cさんという募集人お1人お1人の指標管理のための資料でございます。
われわれとしては、お1人お1人の募集人にどうあってほしいかということがございます。1つは、新規のご契約をしっかり取っていただきたい。できれば既存のご契約者さまも重要なお客さまでございますけれども、既存のお客さまの外側にいる、われわれとしてはお付き合いのないお客さまをたくさん増やしていただきたい、これが1つ目でございます。
悪いものが書かれているわけではない
もう1つは、すでに既存のお客さまであられる方にはなるべく長くお客さまでいていただく。契約を継続していただくというのがわれわれの大いなる願いでございます。そうしたことを実行、実現していく上では、カルテの中に記載のように、乗り換えだとか料済だとかということで、既存の契約を解約したり減額をしたりして新規を取りにいくような動きについては、なるべく抑止、抑制をして、新しいお客さまを開拓してほしい。長くお客さまでいていただくとともに新しいお客さまを開拓してほしい、そういう指標管理のために使っていたものというふうに理解をしております。
そういう意味で、あそこに書かれてあるものについては、悪いものが書かれているんではなくて、1つ1つのご契約については全て不利益事項等のご説明をさせていただいた上で、お客さまのご同意を取れた内容のものが記載されている。その前提の上で今のような使い方をしているというふうに私は理解をしておりまして、もうあのものがあるので、全てが問題だというような理解をし、使用してきたものではございません。
司会:申し訳ございません。たくさんの方が手があがっておりますので、なるべくたくさんの方にお聞きいただければというふうに思っております。それではそこの眼鏡の方、よろしくお願いします。
半官半民の組織を1つの方向に向かわせる難しさは?
読売新聞:読売新聞の【ヨネザワ 01:00:35】です。長門社長に伺いたいと思います。先ほどのご発言で、自身の力が及ばず環境のせいではないといった趣旨の話がございましたが、一方で横山さんと植平さんのほうからは法制度上の限界があると、さまざまな制約を外してほしいっていうような話がありました。事業の現場を持つか持たざるかの違いはあると思うんですけど、半官半民のグループを率いる難しさを感じたことはなかったのでしょうか。やはり国営から民営に変わって、組織の公共性を維持しながら上場企業として利潤追求する、その矛盾っていうのはあると思うんですけど、さらに大株主の国、政治、その影響を受けて半官半民の40万組織を1つの方向に向かわせる難しさ、これについてどのような認識を、今振り返って思われるのか伺いたいと思います。
長門:横山と植平と私の言った内容が違う。1から100まで尺度があって、50が原点のときに50を0と読むのか、0が原点のときに50と見るのかと、相対的な差でございまして、制約がない経営なんかあり得ないし、しがらみのない経営なんかあり得ないし、それが理由で、今日は雨が降ったから経営ができないっていうんじゃ経営にならないよという意味で力及ばずと申し上げましたけれども、おっしゃるとおり、もう明らかに特徴ある会社、半官半民だけじゃないと思いますけれども、いろんな制約があって。
制約は感じている
例えばゆうちょ銀行。融資ができない銀行なんですね。210兆、総資産で。信託銀行って子会社を持ってない。証券子会社を持ってない。ちっちゃな自分でつくったアセマネの会社はありますけども、大きなアセマネ会社は持ってない。海外拠点ゼロ、ドル預金ありませんというので戦うわけですね。かんぽも主力保険商品は3つしかない。海外の保険会社は買収できません。当然、そういう半官半民ではなくて、幾つもの制約はむろん感じております。
半官半民、例えば今回の事件が起こって、国民に対して、お客さまに対してご迷惑をお掛けしたのでやむを得ませんけれども、なかなか民間の企業で、事件が起こっても国会に怒られにいくという会社はあまりないと思いますね。一方で、ものすごく政治家の方々がいろいろ応援してくれるという会社もあまりないと思います。そういう意味では日々、半官半民なり、わがグループとしての制約とか問題点とか、もちろん感じておりましたけれども、その中でどうやっていくかが経営ですので、そういう言い訳はしたくなかったという趣旨で申し上げました。
司会:それではほかにご質問のあられる方。はい、それではピンクのシャツの方。
退職金や報酬の一部を自主返納するのか
共同通信:共同通信の【カキモト 01:03:50】と申します。3社長にそれぞれお尋ねさせてください。今回の退任に当たり退職金を受け取られますか。受け取る場合は金額を教えてください。多くの執行役らの報酬が減額となる中で、ご自身の退職金や報酬の一部を自主返納するお考えがあるかも併せてお願いします。
長門:退職金はありません。われわれ年俸制度ではございません。
司会:ほかにご質問のある方、よろしくお願いいたします。一番後ろの、はい。
【書き起こし】かんぽ生保問題 日本郵政社長らが辞任会見 全文4へ続く
出典:THE PAGE
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