12/28(土) 10:51配信
かんぽ生命保険で顧客に不利益となる不適切販売が発覚した問題で、日本郵政グループは27日午後6時から都内で記者会見を開き、日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長の辞任を発表した。
【動画】かんぽ不適切販売問題 日本郵政グループ3社長が辞任会見
※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは、「かんぽ不適切販売問題 日本郵政グループ3社長が辞任会見(2019年12月27日)」に対応しております。
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複合的に絡み合って難しい状況になったと理解
植平:どうしてうまくいかないのか、うまくできなかった理由はどこにあるのかというご質問でございました。先ほど来、話が出てますように、すでにもう特別調査委員会のほうで直接的な原因、助長した原因、あるいは構造的な要因といったものが取り上げられておりまして、こうしたものが複合的に絡み合って、なかなか難しい状況になっているふうには理解をします。
山田さんがお書きになった記事、論文も読ませていただいておりますけれども、この根底にあるものもしっかり書かれておりまして、私もそういうところで理解を進めることができました。ですからちょっとこの場で、何が理由でどれがということを、1つ1つ取り上げて言うのは少し詮無いものがあると思いますが、私としては、商品供給を行う保険会社の立場でございましたので、大変、痛恨の極みは、限度額の付いていない、商品ラインナップが豊富な、そういう商品を日本郵便の優秀な募集人の方々に広くあまねく提供できる、そういう状態に早く持っていきたい、あるいは持っていければというふうに考えております。これからさらにわれわれも精進をして、そういう時代を早く迎えるべく、頑張っていっていただきたいなというふうに思います。
司会:ほかにご質問のある方、お願いいたします。それでは真ん中の、はい。
お役所体質に気づけなかったのか
時事通信:時事通信の【イシダ 00:26:12】と申しますけれども、ガバナンスに関して長門社長に質問があります。特別調査委員会の報告書でも、企業風土、カルチャーに関して役所体質などの表現があったやに思います。この間、就任されて以降、その風土に気付けなかったのか、気付いていたけど改善が難しい状況、要因があったのか、その点についてお聞かせください。
あと、そこにはおそらく政官というところに置かれた難しい状況があるんじゃないかと思うんですけれども、これまで会社を運営してきて、その点に関してどのように受け止められているか教えてください。
長門:2点ご質問がありました。ガバナンスの問題ですけれども、これも繰り返しになりますが、先週水曜日、18日に発表していただいた特別調査委員会のレポート、この問題がここに至るまでの理由、さまざまあります。かんぽとしての問題、かんぽ生命という会社としての問題、日本郵便という会社としての問題、われわれ持株会社としての問題。その私どもの持株会社の見地からするとガバナンスというところが幾つか弱点があって、ということもありましたけれども、これだけが理由ではなくて、ここが1点、とっても悪かったから全部いっちゃったとかっていう問題じゃないと思っておりますので、そういうふうにガバナンスの問題をわれわれは捉えていて、今日、経営責任の発表の日でございますけれども、あえて最後の段階で2点、申し上げましたのは、特に持ち株の見地から見て、ガバナンスが一部、弱いよといわれているところを強化する政策について、あえて18日に言っていなかった問題なので追加させていただきました。
ですからガバナンスはとても大事。一生懸命頑張ろうと思っておりますけれども、ここが役所体質、企業風土、これがガバナンスの問題とイコールで、これを見破れなかったから今回の事態に一気に走っていったとは考えておりません。ですが、言葉が少し、役人、役所体質とおっしゃったか。役所体質とかおっしゃいましたけれども、明らかに、民営化して12年、長い間、148年の歴史の中で民営化は12年ですから、その前の公社の時代、4年半を入れてもごく一部ですので、当然ながら歴史を背負ってこの組織は来ているので、役所体質といえばそれに見えるような幾つかの違いは、純粋な民間企業から来ると幾つも感じます。
数字へのこだわりの違いにびっくり
会社へ入ってまずびっくりするのは、数字に対するこだわりとか、だいぶ違います。それからひょっとすると自分のテリトリーはここだけだと、これ以上は自分たちは関係ないかもしれないという、自分のテリトリーをちょっとオーバーエクステンションで増やしていこうという情熱に少し欠けるかもしれないとか、幾つか特徴はありますけれども、でもこれは企業として持っている1つの特徴なので、乗り越えていくべき課題だと思っております。
幾つも、今日申し上げましたような具体的施策をつくっていけば、そういう課題は乗り越えていけるというふうに考えておりますし、乗り越えていかなければ、上場企業として立派に今後やっていけないと思っております。
2点目の問題。政官の難しさ。当然ございます。われわれまだ、政府がマジョリティー持っている会社で、いろんなステークホルダーがおります。純粋にただの民間企業というほどフリーハンドではないことは事実ですけれども、一方で非常に応援団になってわれわれをサポートしてくれる側面もあるステークホルダーも多くおりますので、こういう現実的な制約とか特徴とか、プラス面をどう乗り越えて、どう使って、いいパフォーマンスを上げていくのかというのは経営の課題だと思いますので、おっしゃるような特徴、特別調査委員会が言った、いっぱいある理由の中の2つで、そういう特徴はありますけれども、これが大きな理由でわれわれ、今、立ち止まっているというわけではございません。
司会:ほかにご質問のある方は挙手をお願いいたします。じゃあ一番後ろのほうの左の。はい。
後任の増田氏へのアドバイスは?
財界:『財界』の大浦と申します。長門さんに1点、横山さんに1点お願いします。なかなか一口には言えないことは重々承知の上でですが、次に社長に就かれる増田さんに、これを留意したほうがいいというふうに思われることが何か、この場でおっしゃれることがあれば長門さん、1点お願いしますというのが1つと、横山さんは以前の西川社長の時代もこの郵政グループで働かれたご経験をお持ちなわけですけれども、そのときと比べても難しいことがあったとか、何かご自身で、前回のときと現在とを踏まえて難しい点が、何かお感じになったことがあれば教えていただければと思います。以上です。
長門:私へのご質問から回答させていただきます。後任の増田さん、私が口幅ったく、手取り足取り、こうしたほうがいいよ、ああしたほうがいいよというようなアドバイスはございません。ご案内のとおり、県知事をされていて、県政をマネージした経験のある、マネジメントの経験者です。総務大臣もやっておられまして、まさしく私ども日本郵政が管轄されていたお役所の長もやっておられました。民営化委員会の委員長も3年やっていらっしゃいまして、私なんかよりむしろ、マクロの見知は彼のほうがずっと広いんじゃないのかなと思っております。今、考えられる候補の中でベストの後継者を選び得たと感じております。
1点、何か言ってくれといえば、ぜひ、この郵便局ネットワーク、郵政グループのポテンシャルを前向きに生かす方向で頑張ってほしいと。むろん今の問題、このかんぽの不利益問題、きちんと取りあえずしっかりと、大変険しい山ですけども登っていっていただいて、きっちりと解決していただくというのが当面のミッションになると思いますけれども、例えば2015年11月4日、三者同時上場させていただきました。海外のIRに行きまして、株の売り込みに行ったわけですけれども、何社かの海外の投資家から、当時は145年だか146年の歴史、2万4000局、40万人、毎日きちんと郵便を配達してる会社、総資産300兆と。こんな企業体はないと、ものすごい可能性を感じていると言っていただきました。むろん、上場の際も株を買っていただいた。
ポテンシャルがある企業体
私はあまり全部を知ってるわけじゃありませんけれども、アマゾンもホールフーズを買って、インターネットの世界だけじゃなくてハードの具体的な物にも触りたがっているんですね。アマゾンのライバル、ウォルマートも物理的なスーパーだけではなくて、今の時流のIoTとかAIとか、Eコマースとか、こことの融合を図って今、アマゾンと対抗している。私どもは、2万4000局もあって無駄なんじゃないかというお声もありますけれども、物理的拠点、物理的人間を持っているというのが特徴です。今、音を立てて時代は動いておりまして、インターネット、Eコマース、AI、IoTの時代ですけれども、これと、例えば融合すると、ものすごいポテンシャルがある企業体じゃないかなと思っております。ぜひ、そういう時代の中にあって、わがグループの長所を思う存分伸ばしてほしい。あえて言うと、それが一言、言いたいことでございます。
縦割り意識が強かった
横山:前回、今回と比較してというより、今回あらためて思うという観点で幾つかお話を申し上げたいというふうに思いますけれども、やはりお国の時代から縦割りの意識は非常に強かったということだと思います。それが、また分社化して、その中でも縦割りというような、そういう組織風土もあるのではないかと。
そういう中で、お客さまから見れば、われわれ日本郵政グループというのは郵便局なんですね。ゆうちょ銀行、かんぽ生命、そういうことではなくて、お客さまは郵便局としてご覧になっていただいているということでありますので、やはりグループ全体が郵便局を中心に考えていくというような考え方を取らなければいけないんだけれども、その意識がちょっと薄くなっているんではなかろうかというような気がいたします。
それから、やはり長く続く会社、150年近い会社でありますので、やはりいろんな慣行がございます。それが人事上のものも含めて、公務員時代から引きずっているもの。ここで個別には申し上げませんけれども、民間企業と比較すれば、こんなものがあるのかというようなものがまだ残っているという意味においては、まだまだ制度的に改善すべき点はあるんであろうというふうに考えております。以上です。
司会:ほかにご質問のある方、お願いいたします。そうしましたら真ん中の、前から3番目の。
かんぽと郵便が内部昇格となった理由
朝日新聞:朝日新聞の【フジタ 00:37:28】と申します。よろしくお願いいたします。今日発表された人事の関係で2点お願いいたします。1点目は、かんぽと郵便は内部昇格となっていますが、この内部昇格された2人が選ばれた理由。それと、先ほど増田さんの理由はおっしゃっていただきましたが、取締役会の議論の過程があれば可能な範囲でお願いいたします。これが1点目です。
2点目は、鈴木副社長がこのタイミングで辞任される理由について教えてください。鈴木さんが関与したとされる情報漏洩で総務次官は辞任に追い込まれましたけれども、今、日本郵政からの説明はまだ何もないので、可能な範囲でこれ、鈴木さんがどういうことをおっしゃってるかも含めてご説明をお願いします。
長門:人事に関するご質問です。ご案内のとおり、先ほどディスクローズさせていただいたとおり、日本郵便、横山の後任が衣川、かんぽ生命、植平の後任が千田でございます。今、選びうる、この会社の経営者としてベストの人間を選択できたと思っております。
2問目の問題につながりますけれども、高市大臣、鈴木次官を実質的に更迭された20日、先週金曜日のときに、天下りは駄目という種類のご発言をされていらっしゃいます。人によっては、なんだと。旧総務省、旧郵政省の天下りというか、内部の人間じゃないかというご意見があるかもしれませんが、今、郵便の課題、かんぽの課題を解決する、問題をリードしていけるトップとして彼らがふさわしいと思ったので選びました。
幾つか印象はございますけれども、私どもは落下傘と称して、雇われマダムといわれて、違う会社、民間企業からこのグループにやってまいりました。そういう具体的な、いろんな制約のある中で頑張るのが経営ですので、文句を言わずにやらなければいけないんですけれども、例えばJR、例えばNTT、例えば日本たばこを見て、民営化した先達のトップ、あるいは役員の方々はほとんど内部昇格なんですね。
郵便ポストの好きな人間の方がいい側面も
私はいろいろ、この4年強、このグループで経営をやってきて、1個つくづく思ったのは、郵政省に入ったとか日本郵便に入った、日本郵政、かんぽに入った、ゆうちょに入ったっていう方々は、ポストが好きだから、郵便局が好きだから入っているという人が多いと思うんですね。国鉄が好きだから国鉄に入った。電話が好きだから電電公社へいった。そういう人が経営をやったほうがいいという側面は多々あると思っております。ほれた会社で思う存分、鍛えられたノウハウを十分に翼を広げて頑張ってやってもらうという意味では、むしろ内部昇格のほうがいいのではないかという側面も、経営には多々あるなと感じておりました。民間だろうが内部昇格だろうが、しっかり経営力がある人がいいんですけれども、内部昇格と外部からの人間とをぱっと比べたときの特徴として、もうポストが好きだからという人間が経営をした側面も十分あるなと感じておりましたので。
しかも彼らは全然、天下りでもなんでもなくて、衣川も千田もたまたま同時期、民営化して12年です。その前に4年半、公社時代がありました。その前に郵便事業庁というのが2年強ございまして、その郵便事業庁の時代に衣川も千田もわがグループに来ている人間です。従って、役所からの天下りでもなんでもなくて、郵政の生え抜きという人間です。こういう人間のほうがいい側面もあるなと思ったのが1つです。
実際の実力ベースで、千田は長らくかんぽにおりました。むしろ出世が早過ぎたぐらいで、非常に若い、専務でしたけれども実力者でした。最近の2年間、JPキャピタルという、郵便局で新規業務は何をやったらいいんだということを、ただ机の上でうんうん考えていても分からないから、自ら汗をかいて、血を流して、金を付けて、どういう業務が郵便局に向いてるんだということを探るためのアンテナの会社を、JPキャピタルというのをつくりましたけれども、その社長を2年間やっていただいて、このバランスシートだのPLだの、投資のリターンだの、そういう勉強もしてもらって、たまさか、今回こういう事件も起きたときに、かんぽに戻っていた男です。
鈴木上級副社長は自ら辞職
直近は、ご案内のお客さまの不利益のリサーチを、大崎にある事務センターで昼夜をたがわずやっておりますけれども、そこの長、トップで現場に張り付いてやってもらいました。平均睡眠時間3時間。あそこはローソンも多いところで、ローソンの本社は大崎ですから、セブン-イレブンもあるんですけれども、ほぼ全部の弁当を食ったと言っておりましたけれども、今度の問題についても前面で戦った男でございますので、今、選ぶとすると、かんぽでベストと思っております。
衣川はかんぽの経験が長いんですけれども、千田が59年入省、衣川は55年の入省ですけれども、長らく郵便でいろいろ苦労してきた、郵政グループで苦労してきた男です。直近は人事、労務等々の担当をやってもらいました。今般の問題、非常に現場でいろんな問題が起こっております。その現場の叫びがわれわれつかみきれなかったというのが、いろんな理由の中の1個の大きな理由で今回の事件が起こっていると言ってます。
彼は組合との折衝についても前面で担当している男でございます。そういうノウハウもきっと生かせると考えてございます。私どもの下で日本郵政の専務をやっておりました。経営会議、毎週やっております。ともすれば、やはり先ほどの官僚、お役所の文化が少しあるのかもしれませんけども、担当がそれぞれ、不動産担当とかシステム担当とか主計担当とか、議論を活発にやっておりますけれども、どうしても自分のテリトリーにこもった議論を専務も常務もしているなという傾向を感じておりましたけれども、衣川は経営者の目で、自分のテリトリーを越えて、これはおかしいんじゃないかとか、ここは問題点とか、こうしたほうがいいんじゃないかと、最も積極的に経営会議でも経営の視点で物を言って参加してくれた男です。ベストと思って選びました。
2点目です。鈴木上級副社長の問題でございます。日本郵政としては先週の金曜日、20日夕方、この問題が高市大臣から照会されて、大変に大事な問題と認識しましたので、しっかりと公明かつ正大な調査を行ってもらおうと思って、第三者の弁護士の方にご依頼しようということでまさに動いておりまして、順調にいけば今日まさにその弁護士さんとうちの担当役員が会う運びだったんですけれども、ご案内のとおり、総務省の事務方トップ、次官がお辞めになったという事実がございます。鈴木上級副社長自身で大変に重大なことだと認識をして、本日、自ら辞職という道を選んだ次第です。これを受けて、当社としてはこの調査は行わないという決断をした次第です。
司会:ほかにご質問のある方はよろしくお願いいたします。はい、こちらの方。
【書き起こし】かんぽ生保問題 日本郵政社長らが辞任会見 全文3へ続く
出典:THE PAGE
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