【日経新聞1面】中国が急激な元安に対策、中国経済が気懸り
2019/8/30 8:20 FISCO
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中国が急激な元安に対策、中国経済が気懸り
中国、資金流出を警戒、急激な元安混乱に備え、海外送金での銀行評価下げ、不動産の外貨調達制限
中国政府が海外への資金流出を抑制する新規制を導入。資金流出が加速した場合、海外送金や外貨売却が多い銀行の評価を引き下げる新ルールを適用、不動産会社には借り換え目的以外の外債発行を禁じた。米中貿易戦争が長期化するなか、人民元相場で11年ぶりの1ドル=7元を突破し、当局は当面この水準を容認しているが、元安に歯止めがかからない状況は回避したい考えだ。
中国政府は元安を容認し輸出企業への影響を緩和する方針だが、2015年の人民元切り下げを機に起きた「人民元ショック」のような急激な元売り圧力に襲われることを警戒する。元売りが膨らまないよう銀行の海外送金などを制限する新規則を導入、各行の元の海外送金、外貨売却の状況を全国平均と比べ、差が大きいほど評価を下げ、低評価の銀行に業務制限をかける可能性がある。
元安や資金流出が止まらなかった16~17年にも外貨管理局が元の海外送金と顧客への外貨売却を規制。この時は手段を選ばない規制に海外から批判を浴びたが、今回は直接的な資本規制は回避して批判をかわす。だが、外貨管理局は「平常時」と金融システム不安が生じる「非平常時」の判断基準を示していないため、海外送金に支障が出る恐れがある。
国家発展改革委員会は不動産会社に外債発行による調達資金の使途を「1年以内に満期を迎える海外債務に限る」とより厳しい規制を通知、借り換え以外の調達は認めない。中国の不動産会社は元が高値で推移した13~15年にドル建て債務を膨らませ、19年7月時点の残高は1700億ドル(18兆円)との調査もあり、元安で債務返済の負担は重くなる。ドル調達は一時的に元高要因になるが、信用の低下した不動産会社は10%前後の高利で借りている例もあって、これ以上の債務拡大は金融市場の不安定要因になりかねない。
中国政府は米国との摩擦の長期化を懸念している。5日には元の対ドル相場が08年以来となる1ドル=7元台を付け、29日には一時1ドル=7.17元まで下落し月間の下落率は約4%と「管理変動相場制」を導入した05年以降で最大になる見通しだ。
中国経済は瀬戸際にあるように見える。米中貿易戦争の影響を元安容認で緩和しようとするが、行き過ぎた元安は金融システム不安を招きかねないため、中国当局はその対策に乗り出した。中国関連企業の業績への影響も大きいだけに、中国経済の動向は要注意だ。
中国、資金流出を警戒、急激な元安混乱に備え、海外送金での銀行評価下げ、不動産の外貨調達制限
中国政府が海外への資金流出を抑制する新規制を導入。資金流出が加速した場合、海外送金や外貨売却が多い銀行の評価を引き下げる新ルールを適用、不動産会社には借り換え目的以外の外債発行を禁じた。米中貿易戦争が長期化するなか、人民元相場で11年ぶりの1ドル=7元を突破し、当局は当面この水準を容認しているが、元安に歯止めがかからない状況は回避したい考えだ。
中国政府は元安を容認し輸出企業への影響を緩和する方針だが、2015年の人民元切り下げを機に起きた「人民元ショック」のような急激な元売り圧力に襲われることを警戒する。元売りが膨らまないよう銀行の海外送金などを制限する新規則を導入、各行の元の海外送金、外貨売却の状況を全国平均と比べ、差が大きいほど評価を下げ、低評価の銀行に業務制限をかける可能性がある。
元安や資金流出が止まらなかった16~17年にも外貨管理局が元の海外送金と顧客への外貨売却を規制。この時は手段を選ばない規制に海外から批判を浴びたが、今回は直接的な資本規制は回避して批判をかわす。だが、外貨管理局は「平常時」と金融システム不安が生じる「非平常時」の判断基準を示していないため、海外送金に支障が出る恐れがある。
国家発展改革委員会は不動産会社に外債発行による調達資金の使途を「1年以内に満期を迎える海外債務に限る」とより厳しい規制を通知、借り換え以外の調達は認めない。中国の不動産会社は元が高値で推移した13~15年にドル建て債務を膨らませ、19年7月時点の残高は1700億ドル(18兆円)との調査もあり、元安で債務返済の負担は重くなる。ドル調達は一時的に元高要因になるが、信用の低下した不動産会社は10%前後の高利で借りている例もあって、これ以上の債務拡大は金融市場の不安定要因になりかねない。
中国政府は米国との摩擦の長期化を懸念している。5日には元の対ドル相場が08年以来となる1ドル=7元台を付け、29日には一時1ドル=7.17元まで下落し月間の下落率は約4%と「管理変動相場制」を導入した05年以降で最大になる見通しだ。
中国経済は瀬戸際にあるように見える。米中貿易戦争の影響を元安容認で緩和しようとするが、行き過ぎた元安は金融システム不安を招きかねないため、中国当局はその対策に乗り出した。中国関連企業の業績への影響も大きいだけに、中国経済の動向は要注意だ。
関連銘柄:4件
・安川電機(6506)東証1部
サーボモータ世界トップ・ロボット世界2位、中国で現地生産
世界的な産業用ロボットメーカー。溶接や塗装に使われる多関節や双腕ロボット等を手掛ける。長期経営計画の営業益目標を過去最高の1000億円に設定。19.2期はロボットが伸長。システムエンジニアリグが黒字転換。 記:2019/06/26
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・ファナック(6954)東証1部
NC装置世界シェア5割・ロボットもトップ、中国の売上構成比30%
工作機械向けNC(電子制御)装置で世界トップ。産業用ロボットや小型切削加工機にも強い。サーボモータ部品加工の新工場と超精密加工機の新工場は今年9月に完成へ。20.3期1Qは米中貿易摩擦の影響などで足踏み。 記:2019/08/05
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・小松製作所(6301)東証1部
建設機械世界2位、建設機械の中国の売上構成比は前期実績で7%
建設機械で世界2位。鉱山機械も手掛ける。IT活用のアフターサービスに強み。建設・鉱山機械の電動化や林業機械を強化。海外は成長市場のインド・アフリカ開拓に力注ぐ。20.3期1Qは米中摩擦の影響などで足踏み。 記:2019/08/05
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・日本電産(6594)東証1部
精密モータ世界最大手、車載/家電/産業用モータが急拡大・中国の影響大
HDD用精密小型モータで世界トップ。M&Aを駆使して産業・家電・車載用モータを拡大し、現在は総合モータ会社に。今夏に米社から家電・商業用コンプレッサ事業を買収。20.3期1Qは米中摩擦の影響などで足踏み。 記:2019/08/05
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