【日経新聞1面】「結束」崩れるG7サミット、世界景気に暗雲
2019/8/27 8:03 FISCO
ファン・お気に入り登録の方向け
2019/8/27 8:03 FISCO
ファン・お気に入り登録の方向け
「結束」崩れるG7サミット、世界景気に暗雲
G7覆う自国第一主義、協調崩れた1930年代を想起
仏南西部ビアリッツで開いていたG7サミットは26日、エスカレートする米中貿易戦争など国際的な緊急課題への答えを示せないまま閉幕した。世界景気の先行き不安が広がるなか、自国第一主義がG7を覆う。米中が高関税をかけ合い通貨安を競う現状は1930年代を想起させる。発足から40年あまり、サミットは大きな転機を迎えた。
冷戦期の1975年に西側諸国の「結束」を示すために独仏主導で発足したサミットだが、今回のG7サミットでは協調の限界が見えた。マクロン氏は気候変動に力を入れたが、その会合にトランプ氏はインドのモディ首相らとの2国間会談のため欠席した。マクロン氏はイラン外相をG7開催地に招きイラン問題の打開を図った。しかし、会議ではマクロン氏のイランに関する発言にトランプ氏が反論し、安倍晋三首相がとりなす場面もあった。米イラン首脳会談の実現に対し、トランプ氏は「環境が整えば可能」と慎重姿勢を崩さなかった。
自国第一主義は米国以外にも広がる。サミット初登場となったジョンソン英首相は会議では高関税に苦言を呈すなど協調姿勢をみせたが、自国メディアにはEU離脱で「合意なしでも(経済の混乱なく)容易に対処できる」と持論を繰り返した。
今回はトランプ氏を刺激しないよう多国間の突っ込んだ議論を敬遠し、首脳らは2国間会談での個別の利害調整を優先させた。トランプ氏は「なぜ(G7に)出席しないといけないのか」との不満を漏らしたとされる。トランプ政権はドル安も視野にFRBに利下げ圧力をかける一方、中国を「為替操作国」に指定。通貨安競争の懸念が強まり、今のG7で自国第一を自制する機運は乏しく、金融緩和の余地が小さい日本に円高圧力が押し寄せる。
1930年代、英国は通貨ポンドを切り下げ、自由貿易を放棄する「オタワ体制」で保護主義に転じた。世界は排他的なブロック経済に移行し、第2次世界大戦の遠因にもなった。今の米国は当時の英国に重なり、歯止めをかけるべき多国間の枠組みが機能不全なのも似ている。20年は米国がG7議長国、日本の立ち位置が問われる状況にもある。
G7サミットの目的である「結束、国際協調」という意義が失われつつある。米国を発端に自国第一主義が強まることで世界景気に暗雲が垂れこむ状況になり、通貨安競争に陥ることで円高も進めば、今後のわが国企業収益に与える影響が懸念される。
G7覆う自国第一主義、協調崩れた1930年代を想起
仏南西部ビアリッツで開いていたG7サミットは26日、エスカレートする米中貿易戦争など国際的な緊急課題への答えを示せないまま閉幕した。世界景気の先行き不安が広がるなか、自国第一主義がG7を覆う。米中が高関税をかけ合い通貨安を競う現状は1930年代を想起させる。発足から40年あまり、サミットは大きな転機を迎えた。
冷戦期の1975年に西側諸国の「結束」を示すために独仏主導で発足したサミットだが、今回のG7サミットでは協調の限界が見えた。マクロン氏は気候変動に力を入れたが、その会合にトランプ氏はインドのモディ首相らとの2国間会談のため欠席した。マクロン氏はイラン外相をG7開催地に招きイラン問題の打開を図った。しかし、会議ではマクロン氏のイランに関する発言にトランプ氏が反論し、安倍晋三首相がとりなす場面もあった。米イラン首脳会談の実現に対し、トランプ氏は「環境が整えば可能」と慎重姿勢を崩さなかった。
自国第一主義は米国以外にも広がる。サミット初登場となったジョンソン英首相は会議では高関税に苦言を呈すなど協調姿勢をみせたが、自国メディアにはEU離脱で「合意なしでも(経済の混乱なく)容易に対処できる」と持論を繰り返した。
今回はトランプ氏を刺激しないよう多国間の突っ込んだ議論を敬遠し、首脳らは2国間会談での個別の利害調整を優先させた。トランプ氏は「なぜ(G7に)出席しないといけないのか」との不満を漏らしたとされる。トランプ政権はドル安も視野にFRBに利下げ圧力をかける一方、中国を「為替操作国」に指定。通貨安競争の懸念が強まり、今のG7で自国第一を自制する機運は乏しく、金融緩和の余地が小さい日本に円高圧力が押し寄せる。
1930年代、英国は通貨ポンドを切り下げ、自由貿易を放棄する「オタワ体制」で保護主義に転じた。世界は排他的なブロック経済に移行し、第2次世界大戦の遠因にもなった。今の米国は当時の英国に重なり、歯止めをかけるべき多国間の枠組みが機能不全なのも似ている。20年は米国がG7議長国、日本の立ち位置が問われる状況にもある。
G7サミットの目的である「結束、国際協調」という意義が失われつつある。米国を発端に自国第一主義が強まることで世界景気に暗雲が垂れこむ状況になり、通貨安競争に陥ることで円高も進めば、今後のわが国企業収益に与える影響が懸念される。
関連銘柄:4件
・トヨタ自動車(7203)東証1部
国内販売トップ・世界3位、四輪車の海外販売台数比率79%
自動車世界大手。傘下に日野自動車、ダイハツ工業など。マツダと業務資本提携。車載用角形電池事業でパナソニックと協業へ。車両販売台数は増加。北米は横ばいだが、国内や欧州は販売堅調。20.3期1Qは増収増益。 記:2019/08/06
国内販売トップ・世界3位、四輪車の海外販売台数比率79%
自動車世界大手。傘下に日野自動車、ダイハツ工業など。マツダと業務資本提携。車載用角形電池事業でパナソニックと協業へ。車両販売台数は増加。北米は横ばいだが、国内や欧州は販売堅調。20.3期1Qは増収増益。 記:2019/08/06
・本田技研工業(7267)東証1部
四輪車世界7位・二輪車世界トップ、四輪車の海外販売台数比率86%
自動車・二輪車大手。自家用小型ジェットも手掛ける。生産のグローバル化で先行。北米で利益の多くを稼ぐ。来年の実用化を目指して高速道路限定の「レベル3」自動運転車を開発へ。20.3期1Qは北米の減速で足踏み。 記:2019/08/06
四輪車世界7位・二輪車世界トップ、四輪車の海外販売台数比率86%
自動車・二輪車大手。自家用小型ジェットも手掛ける。生産のグローバル化で先行。北米で利益の多くを稼ぐ。来年の実用化を目指して高速道路限定の「レベル3」自動運転車を開発へ。20.3期1Qは北米の減速で足踏み。 記:2019/08/06
・日立製作所(6501)東証1部
産業エレクトロニクス主力に国内電機トップ、海外売上高比率51%
国内最大の電機メーカー。鉄道や電力、情報・通信システム等の社会インフラに注力。中計の海外売上高比率目標は60%以上。重点5分野に2から2.5兆円を投資。19.3期は社会インフラが堅調。営業益は過去最高。 記:2019/06/25
産業エレクトロニクス主力に国内電機トップ、海外売上高比率51%
国内最大の電機メーカー。鉄道や電力、情報・通信システム等の社会インフラに注力。中計の海外売上高比率目標は60%以上。重点5分野に2から2.5兆円を投資。19.3期は社会インフラが堅調。営業益は過去最高。 記:2019/06/25
・ソニー(6758)東証1部
電機・ゲーム・音楽・映画・金融と多角展開、海外売上高比率70%
世界的な電機メーカー。モバイル機器やゲーム機器、デジタルカメラ、業務用放送機器、家電、半導体分野等で事業展開。20.3期1Qは2桁営業増益。モバイル機器向けイメージセンサーが好調。映画部門も堅調。 記:2019/08/02
電機・ゲーム・音楽・映画・金融と多角展開、海外売上高比率70%
世界的な電機メーカー。モバイル機器やゲーム機器、デジタルカメラ、業務用放送機器、家電、半導体分野等で事業展開。20.3期1Qは2桁営業増益。モバイル機器向けイメージセンサーが好調。映画部門も堅調。 記:2019/08/02