7時53分配信 モーニングスター
(ファン・お気に入り登録の方)向け

<気になるはやはり米中首脳会談の行方>
鈴木一之です。28日の昼過ぎ、品川駅の新幹線待合室でこの稿を書いています。
大阪で開催されているG20(20カ国・地域)首脳会議(サミット)で、品川駅も厳戒態勢です。先ほどから多くの警察官、警備員が通路や広場を行き交っています。待合室の天井スピーカーからは「新幹線のごみ箱はすべて使用禁止です」というアナウンスが繰り返し流されています。
世界の首脳陣が一堂に会するG20で、初めての議長国を務める日本は、万が一の事態も許されません。万全の警備体制を敷くのはもちろんです。ですが、実際にそのごく周辺だけでも体験してみると、これは実にたいへんなことがわかります。
大阪では主要道路の検問はもちろん、大阪市内の公立小・中学校は週末の2日間、休校になると聞きました。ひのき舞台のホスト役を務める代償とはいえ、傍観者としてもかなりの緊張と高揚感を感じます。
この秋のラグビーワールドカップ、そして来年の東京オリンピック・パラリンピックと続く国家的イベントは、果たしてどうなることでしょう。
マーケットではG20に付随する首脳会談を巡って、今週はいよいよ動きが出てきました。市場の関心はやはり米中首脳会談の行方です。
<米半導体大手、マイクロンの決算で分かったこと>
現地26日、米国ではムニューシン財務長官の楽観的な見解が流れました。27日には香港メディアが、米中首脳会談の前に両国は手打ちに向かう、との報道が伝わりました。これによって株式市場では急速にポジティブな見方が広がりました。
前週はFOMC(米連邦公開市場委員会)での米国の金融緩和方針がほぼ決定し、それによって上向いた市場心理は今週さらに一段と強まったようです。ホルムズ海峡での緊張の高まりを乗り越えて、商品市況もしっかりした動きが見られました。
実際に首脳会談でどのような内容が合意されるのか、現時点ではまったく予想もつきません。それでも米中間で首脳会談が開催されること自体が、前向きの材料ともとらえられます。
それ以上に今週は、興味深いニュースが立て続けに流れました。ひとつは、米国の半導体大手、マイクロン・テクノロジーの決算発表です。もうひとつは、米国の議会公聴会でのアップルのとった米政府に対する要請です。
マイクロンは25日の決算発表に関連して、ファーウェイに対して6月から一部製品の出荷を再開したことを明らかにしました。
マイクロンは、商務省の規制に従って5月からファーウェイ向けの輸出を停止していましたが、そこから独自に禁輸条項を調査して、米国以外で製造された半導体には規制への抵触はないと判断した模様です。
3-5月期の決算内容も、売上は4割近い減収でしたが市場予想を上回り、株価は堅調に推移しました。ここから世界の半導体関連株が少しずつ上昇するようになっています。
<米議会の公聴会でアップルが訴えたこと>
アップルに関するニュースは、議会公聴会に関連するものです。制裁関税の発動に関する公聴会が6月中旬から7日にわたって開催され、300人を超える関係者が出席したといいます。
そこでベストバイからは「中国以外の輸入先はない」との主張がなされ、ソニーもゲーム機のほとんどを中国からの輸入でまかなっており、追加関税をかけないよう訴えがありました。
アップルは公聴会には出席せず、追加関税は自社の競争力を損ない、ファーウェイをはじめ世界のライバルを有利にするだけだと訴えました。その上で「iPhone」「iPad」を制裁対象から外すように要請した様子です。
世界のサプライチェーンを考えると、生産拠点としての中国を全面的に除外することはもはや米国企業にとって不可能です。トランプ大統領の大統領選にも影響することは間違いありません。
米国の家電メーカーで構成される民生技術協会も、通商代表部に宛てた書簡で「黒字でもいきなり廃業に追い込まれる」と訴えています。関税の発動で発生するわずかなコスト上昇でも中小企業の経営が圧迫されます。これなどは政治的な判断にもかなりの影響を与えるものと考えられます。
<潮目の変化が表れてきた・・・>
予断は許されませんが、潮目の変化が徐々に表れるようになってきました。売られていたものが買われ、買われていたものが売られやすい、銘柄間での資金シフトが始まる可能性があります。日経平均やTOPIX以上に、個々の銘柄の動静に気をつけてゆくべきでしょう。
アドバンテスト <6857> 、エレコム <6750> 、ジャストシステム <4686> 、ファンデリー <3137>、そーせいグループ <4565> に注目しています。
提供:モーニングスター社
(ファン・お気に入り登録の方)向け

<気になるはやはり米中首脳会談の行方>
鈴木一之です。28日の昼過ぎ、品川駅の新幹線待合室でこの稿を書いています。
大阪で開催されているG20(20カ国・地域)首脳会議(サミット)で、品川駅も厳戒態勢です。先ほどから多くの警察官、警備員が通路や広場を行き交っています。待合室の天井スピーカーからは「新幹線のごみ箱はすべて使用禁止です」というアナウンスが繰り返し流されています。
世界の首脳陣が一堂に会するG20で、初めての議長国を務める日本は、万が一の事態も許されません。万全の警備体制を敷くのはもちろんです。ですが、実際にそのごく周辺だけでも体験してみると、これは実にたいへんなことがわかります。
大阪では主要道路の検問はもちろん、大阪市内の公立小・中学校は週末の2日間、休校になると聞きました。ひのき舞台のホスト役を務める代償とはいえ、傍観者としてもかなりの緊張と高揚感を感じます。
この秋のラグビーワールドカップ、そして来年の東京オリンピック・パラリンピックと続く国家的イベントは、果たしてどうなることでしょう。
マーケットではG20に付随する首脳会談を巡って、今週はいよいよ動きが出てきました。市場の関心はやはり米中首脳会談の行方です。
<米半導体大手、マイクロンの決算で分かったこと>
現地26日、米国ではムニューシン財務長官の楽観的な見解が流れました。27日には香港メディアが、米中首脳会談の前に両国は手打ちに向かう、との報道が伝わりました。これによって株式市場では急速にポジティブな見方が広がりました。
前週はFOMC(米連邦公開市場委員会)での米国の金融緩和方針がほぼ決定し、それによって上向いた市場心理は今週さらに一段と強まったようです。ホルムズ海峡での緊張の高まりを乗り越えて、商品市況もしっかりした動きが見られました。
実際に首脳会談でどのような内容が合意されるのか、現時点ではまったく予想もつきません。それでも米中間で首脳会談が開催されること自体が、前向きの材料ともとらえられます。
それ以上に今週は、興味深いニュースが立て続けに流れました。ひとつは、米国の半導体大手、マイクロン・テクノロジーの決算発表です。もうひとつは、米国の議会公聴会でのアップルのとった米政府に対する要請です。
マイクロンは25日の決算発表に関連して、ファーウェイに対して6月から一部製品の出荷を再開したことを明らかにしました。
マイクロンは、商務省の規制に従って5月からファーウェイ向けの輸出を停止していましたが、そこから独自に禁輸条項を調査して、米国以外で製造された半導体には規制への抵触はないと判断した模様です。
3-5月期の決算内容も、売上は4割近い減収でしたが市場予想を上回り、株価は堅調に推移しました。ここから世界の半導体関連株が少しずつ上昇するようになっています。
<米議会の公聴会でアップルが訴えたこと>
アップルに関するニュースは、議会公聴会に関連するものです。制裁関税の発動に関する公聴会が6月中旬から7日にわたって開催され、300人を超える関係者が出席したといいます。
そこでベストバイからは「中国以外の輸入先はない」との主張がなされ、ソニーもゲーム機のほとんどを中国からの輸入でまかなっており、追加関税をかけないよう訴えがありました。
アップルは公聴会には出席せず、追加関税は自社の競争力を損ない、ファーウェイをはじめ世界のライバルを有利にするだけだと訴えました。その上で「iPhone」「iPad」を制裁対象から外すように要請した様子です。
世界のサプライチェーンを考えると、生産拠点としての中国を全面的に除外することはもはや米国企業にとって不可能です。トランプ大統領の大統領選にも影響することは間違いありません。
米国の家電メーカーで構成される民生技術協会も、通商代表部に宛てた書簡で「黒字でもいきなり廃業に追い込まれる」と訴えています。関税の発動で発生するわずかなコスト上昇でも中小企業の経営が圧迫されます。これなどは政治的な判断にもかなりの影響を与えるものと考えられます。
<潮目の変化が表れてきた・・・>
予断は許されませんが、潮目の変化が徐々に表れるようになってきました。売られていたものが買われ、買われていたものが売られやすい、銘柄間での資金シフトが始まる可能性があります。日経平均やTOPIX以上に、個々の銘柄の動静に気をつけてゆくべきでしょう。
アドバンテスト <6857> 、エレコム <6750> 、ジャストシステム <4686> 、ファンデリー <3137>、そーせいグループ <4565> に注目しています。
提供:モーニングスター社