【日経新聞1面】スマホ半導体勢力図が「5G」で変わる可能性高まる
2019/4/25 8:27 FISCO
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スマホ半導体勢力図が「5G」で変わる可能性高まる
スマホ半導体 2強に、ファーウェイ、クアルコム追う
中国通信機器最大手のファーウェイが最新スマホ向けに独自に設計した半導体が、米アップルの「iPhone」用と並ぶ世界最先端の性能を持つことが分かった。ファーウェイは次世代通信規格「5G」向けのスマホ用半導体を外販する意向も示しており、この市場を牽引してきた米半導体大手クアルコムと二大勢力を形成する可能性が出てきた。
ハイテク調査会社テカナリエはファーウェイの高級スマホ「Mate20Pro」とアップル「iPhoneXS」を分解し比べた。ファーウェイの完全子会社ハイシリコンとアップルが設計した半導体を搭載しており、微細なほどチップが小さくなり、計算能力や省電力性能を上がるが、回路の線幅は2つとも7ナノだった。18年末までに世界で実用化された7ナノ半導体3種類のうち2つはファーウェイとアップㇽで、ハイシリコンの微細回路の設計能力は世界トップの水準にあることが確認された。
「4G」スマホ用の半導体はクアルコムが最大手で、ハイシリコンを擁するファーウェイ、アップル、台湾メディアテックなどが追う構図だが、「5G」用はクアルコムとファーウェイが先行し、ファーウェイが「5G」向け半導体を外販する意向を示したことで、で業界地図が大きく変わる可能性がある。
ファーウェイの半導体の外販は着実に増加し17年10億ドルで、ハイシリコンの17年の売上高は約40億ドルに対し外販比率は約25%に達した。18年の売上高は約55億ドル(約6100億円)と5年前の3倍近くとなり、クアルコムの売上高約166億ドルの3分の1だが、急速に追い上げ、有力な半導体メーカーに育っている。これまで外販している半導体はテレビや監視カメラ用だが、「5G」向け外販で今後はスマホ向けが加わることになりそうだ。
1987年設立のファーウェイは90年代前半から半導体を開発してきたが、ファーウェイも自社だけで半導体チップを完成させているわけではない。回路設計の知的財産は英アームから供与を受け、製造は台湾TSMCに委託している。台湾当局は中国と「統一・独立」問題で対立を抱え、今後、米中摩擦が激化して米国が台湾に対中制裁に同調を求めることがあれば、TSMCはファーウェイとの取引停止を迫られる可能性もある。
一方、日本は半導体の国際分業の枠組みに食い込んでいるファーウェイの半導体とどう向き合うか、真剣に考える時期に来ている。村田製作所<6981>など日本の電子部品メーカーは近年、クアルコムやアップルのスマホ用半導体と相性が良い部品の供給で稼いできたが、今後、ファーウェイの存在感が増せば対応が必要になりそうだ。
日本の電子材料や電子部品は依然として世界的に競争力が強く世界シェアが高いが、最終製品の動向に大きく左右される。今後は「5G」の本格化による覇権争いがどうなるかが焦点だが、わが国のスマホ関連メーカーがどのように対応して行くかが注目される。
スマホ半導体 2強に、ファーウェイ、クアルコム追う
中国通信機器最大手のファーウェイが最新スマホ向けに独自に設計した半導体が、米アップルの「iPhone」用と並ぶ世界最先端の性能を持つことが分かった。ファーウェイは次世代通信規格「5G」向けのスマホ用半導体を外販する意向も示しており、この市場を牽引してきた米半導体大手クアルコムと二大勢力を形成する可能性が出てきた。
ハイテク調査会社テカナリエはファーウェイの高級スマホ「Mate20Pro」とアップル「iPhoneXS」を分解し比べた。ファーウェイの完全子会社ハイシリコンとアップルが設計した半導体を搭載しており、微細なほどチップが小さくなり、計算能力や省電力性能を上がるが、回路の線幅は2つとも7ナノだった。18年末までに世界で実用化された7ナノ半導体3種類のうち2つはファーウェイとアップㇽで、ハイシリコンの微細回路の設計能力は世界トップの水準にあることが確認された。
「4G」スマホ用の半導体はクアルコムが最大手で、ハイシリコンを擁するファーウェイ、アップル、台湾メディアテックなどが追う構図だが、「5G」用はクアルコムとファーウェイが先行し、ファーウェイが「5G」向け半導体を外販する意向を示したことで、で業界地図が大きく変わる可能性がある。
ファーウェイの半導体の外販は着実に増加し17年10億ドルで、ハイシリコンの17年の売上高は約40億ドルに対し外販比率は約25%に達した。18年の売上高は約55億ドル(約6100億円)と5年前の3倍近くとなり、クアルコムの売上高約166億ドルの3分の1だが、急速に追い上げ、有力な半導体メーカーに育っている。これまで外販している半導体はテレビや監視カメラ用だが、「5G」向け外販で今後はスマホ向けが加わることになりそうだ。
1987年設立のファーウェイは90年代前半から半導体を開発してきたが、ファーウェイも自社だけで半導体チップを完成させているわけではない。回路設計の知的財産は英アームから供与を受け、製造は台湾TSMCに委託している。台湾当局は中国と「統一・独立」問題で対立を抱え、今後、米中摩擦が激化して米国が台湾に対中制裁に同調を求めることがあれば、TSMCはファーウェイとの取引停止を迫られる可能性もある。
一方、日本は半導体の国際分業の枠組みに食い込んでいるファーウェイの半導体とどう向き合うか、真剣に考える時期に来ている。村田製作所<6981>など日本の電子部品メーカーは近年、クアルコムやアップルのスマホ用半導体と相性が良い部品の供給で稼いできたが、今後、ファーウェイの存在感が増せば対応が必要になりそうだ。
日本の電子材料や電子部品は依然として世界的に競争力が強く世界シェアが高いが、最終製品の動向に大きく左右される。今後は「5G」の本格化による覇権争いがどうなるかが焦点だが、わが国のスマホ関連メーカーがどのように対応して行くかが注目される。
関連銘柄 4件
・TDK(6762)東証1部
セラミックコンデンサ大手、フィルムバッテリーがスマホ向けに急拡大
電子部品大手。受動部品、磁気応用製品、フィルム応用製品等を手掛ける。海外売上高比率が高い。クアルコムと業務提携。受動部品セグメントは売上増。セラミックコンデンサは販売堅調。19.3期3Qは2桁増収増益。 記:2019/02/22
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・村田製作所(6981)東証1部
セラミックコンデンサ世界トップ、高周波関連部品でも世界トップ
大手電子部品メーカー。積層セラミックコンデンサ、Wi-Fiモジュールで世界トップシェア。主要顧客はアップルなど。その他コンポーネントは好調。カーエレ向けMEMSセンサ等が伸びる。19.3期3Qは大幅増益。 記:2019/03/27
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大手電子部品メーカー。積層セラミックコンデンサ、Wi-Fiモジュールで世界トップシェア。主要顧客はアップルなど。その他コンポーネントは好調。カーエレ向けMEMSセンサ等が伸びる。19.3期3Qは大幅増益。 記:2019/03/27
・ジャパンディスプレイ(6740)東証1部
中小型用液晶パネル大手、スマホ向けのウエイトが高い
スマホ等向けの中小型ディスプレイを製造、販売するディスプレイメーカー。ソニーや日立、東芝の事業統合により発足。車載用や医療用にも注力。19.3期3Q累計はモバイル分野が足踏みも、構造改革が奏功し損失縮小。 記:2019/03/22
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・日本シイエムケイ(6958)東証1部
電機・音楽・映画・金融と多角展開、CMOSイメージセンサ世界トップ
プリント配線板メーカー。自動車分野の駆動系・制御系に強み。車載向け売上高比率が高い。先進運転支援システムの普及等で需要拡大。生産能力拡大に向けた設備投資実施。車載向け中心に受注増。19.3期3Qは増収。 記:2019/02/22
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プリント配線板メーカー。自動車分野の駆動系・制御系に強み。車載向け売上高比率が高い。先進運転支援システムの普及等で需要拡大。生産能力拡大に向けた設備投資実施。車載向け中心に受注増。19.3期3Qは増収。 記:2019/02/22