2019/4/1 7:57 FISCO 【日経新聞1面】中国不良債権市場に外資系ファンドが積極参入へ
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中国不良債権市場に外資系ファンドが積極参入へ
中国不良債権、150兆円市場、外資が食指、政府主導処理に限界、7~8割安で一括購入
中国で外資系ファンドが不良債権の購入を拡大している。中国の銀行が抱える不良債権額は膨らみ続け、広義の市場規模は約150兆円にも上る。景気減速で新たな不良債権が一段と増え、政府主導の国内勢に頼った処理スキームに限界も見え隠れし、商機とみる外資の積極姿勢は中国債務問題の深まりを映している。
中国銀行保険監督管理委員会によると、中国の商業銀行が抱える不良債権は18年末に2兆元(約33兆円)。最近は年1兆元ペースで処理を進めているものの新規発生が上回り、残高は1年で3000億元も増えた。このほかに日本の債権区分で「要注意先」に当たる「関注類」債権が3兆4000億元ある。劣化している案件も多いとされ、関注類を加えた額は18年末で5兆4000億元(約89兆円)に達する。14年に比べ1.8倍に膨らんだ。
中国は1990年代後半に四大国有商銀が持つ不良債権を処理する受け皿として資産管理会社「AMC」を設立、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の推計ではAMC保有分は4兆3000億元(約71兆円)。これを加えた最終的に外部売却などの必要な「広義の不良債権」は「1兆4000億ドル(約154兆円)と世界最大」(PwC中国法人の郭庭廷パートナー)という。この「154兆円市場」を巡り、欧米ファンドの動きが活発になっている。
不良債権仲介の深セン前海金融資産交易所によると「中国全体で18年の外資の不良債権購入額は簿価で220億元」で17年から倍増し19年も増加が見込まれる。中国内のリスクマネーがAMCを中心に潤沢で競合が激しく価格が高止まりしていたため、外資ファンドの不良債権の購入額は16~17年ごろまで限定的だったが、その環境が変わりつつある。中国の景気減速でAMCの処理能力も低下しているためで、AMCの一つの中国華融資産管理の18年12月期は9割の最終減益になった。表面上、銀行の財務は健全で、大手行の自己資本比率は10%を大きく上回る。ただ、地銀に当たる中小銀行では不良債権比率が10~20%に達する例があり、金融システムに綻びが生じる可能性も排除できない。
中国リスクの一つは不良債権問題であり、その処理が進まない限りは常に不安が横たわり続ける。不良債権処理に対して豊富なノウハウを持ち合せる外資系ファンドが積極的に購入し処理が進むことで、中国リスクが和らぐことも期待されよう。
中国不良債権、150兆円市場、外資が食指、政府主導処理に限界、7~8割安で一括購入
中国で外資系ファンドが不良債権の購入を拡大している。中国の銀行が抱える不良債権額は膨らみ続け、広義の市場規模は約150兆円にも上る。景気減速で新たな不良債権が一段と増え、政府主導の国内勢に頼った処理スキームに限界も見え隠れし、商機とみる外資の積極姿勢は中国債務問題の深まりを映している。
中国銀行保険監督管理委員会によると、中国の商業銀行が抱える不良債権は18年末に2兆元(約33兆円)。最近は年1兆元ペースで処理を進めているものの新規発生が上回り、残高は1年で3000億元も増えた。このほかに日本の債権区分で「要注意先」に当たる「関注類」債権が3兆4000億元ある。劣化している案件も多いとされ、関注類を加えた額は18年末で5兆4000億元(約89兆円)に達する。14年に比べ1.8倍に膨らんだ。
中国は1990年代後半に四大国有商銀が持つ不良債権を処理する受け皿として資産管理会社「AMC」を設立、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の推計ではAMC保有分は4兆3000億元(約71兆円)。これを加えた最終的に外部売却などの必要な「広義の不良債権」は「1兆4000億ドル(約154兆円)と世界最大」(PwC中国法人の郭庭廷パートナー)という。この「154兆円市場」を巡り、欧米ファンドの動きが活発になっている。
不良債権仲介の深セン前海金融資産交易所によると「中国全体で18年の外資の不良債権購入額は簿価で220億元」で17年から倍増し19年も増加が見込まれる。中国内のリスクマネーがAMCを中心に潤沢で競合が激しく価格が高止まりしていたため、外資ファンドの不良債権の購入額は16~17年ごろまで限定的だったが、その環境が変わりつつある。中国の景気減速でAMCの処理能力も低下しているためで、AMCの一つの中国華融資産管理の18年12月期は9割の最終減益になった。表面上、銀行の財務は健全で、大手行の自己資本比率は10%を大きく上回る。ただ、地銀に当たる中小銀行では不良債権比率が10~20%に達する例があり、金融システムに綻びが生じる可能性も排除できない。
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関連銘柄 4件
・安川電機(6506)東証1部
サーボモータ世界トップ・ロボット世界2位、中国で現地生産
世界の大手産業用ロボットメーカーの一角。多関節ロボットや双腕ロボット等を製造、販売。ACサーボモータとインバータで世界シェアトップ。医療・介護分野を開拓。19.2期3Q累計は売上高と利益が過去最高。 記:2019/03/21
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・小松製作所(6301)東証1部
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・ファナック(6954)東証1部
NC装置世界シェア5割・ロボットもトップ、中国の売上構成比30%
工作機械向けNC(数値制御)装置で世界首位。産業用ロボや小型切削加工機にも強い。昨年2月に協働型ロボ開発のベンチャーを買収。本社地区にある3工場の増新築は昨年9~11月に全て完了。19.3期3Qは足踏み。 記:2019/02/15
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・日本電産(6594)東証1部
精密モータ世界最大手、車載/家電/産業用モータが急拡大・中国の影響大
HDD用精密小型モータで世界トップ。M&Aを活用しながら産業・家電・車載向け中大型モータを強化し、総合モータ会社に。今年3月にドイツの減速機械メーカーを買収へ。中期目標では21.3期に売上2兆円を目指す。 記:2019/02/04
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