【日経新聞1面】特別委が経営体制見直し提言、新たな日産は道半ば
2019/3/28 8:25 FISCO
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特別委が経営体制見直し提言、新たな日産は道半ば
日産会長職「廃止を」、経営体制見直し、特別委提言、監督・執行分離促す
日産自動車<7201>が設置した企業統治改革の専門委員会は27日、経営体制の見直しへ提言をまとめた。元会長のカルロス・ゴーン被告に権限が集まり不正を防げなかった反省から、取締役会の議長に社外取締役をあてるなど執行と監督の分離を明確にするよう求めた。仏ルノーとの間で指名を巡り対立点になった日産会長職は廃止を提言。日産は提言を基に新たな体制作りに着手する。
日産が求めた「ガバナンス改善特別委員会」の発足は2018年12月で、ゴーン元会長の一連の問題の原因分析、企業統治の改善策提言が目的だったが、筆頭株主の仏ルノーが日産会長職の指名を要求し対立が激しくなる中、19年3月末に設定した特別委の提言まで時間稼ぎする効果もあった。榊原共同委員長らは27日夜、横浜市内で記者会見を行った。
前経団連会長の榊原共同委員長が議論を主導し、「この委員会は個人の責任追及のためにあるわけではない。人が代わっても企業統治で問題が生じないようなシステムにしないと意味がない」との意見で一致。早々に、ゴーン体制を支えた西川社長ら個人の責任論は議論の対象から除外された。当初は一部委員から「ルノーとの資本関係についても言及すべきだ」との意見が出たが、「ルノーを刺激する必要はない」との意見が多数派を占めた。議論はいかに権限を分散させるかが中心で、日産の現体制を安定させる方向で進んだ。
ゴーン元会長時代の日産取締役会の平均会議時間は20~30分で短いときは9分。「これで異議はないですね」。ゴーン元会長が鋭いまなざしで取締役メンバーを一瞥し発言すると周囲はうなずき議論は深まらない。監督機能の不全に対する委員の問題意識は強く、報告書で「ゴーン氏は取締役会で質問や意見が出ることを嫌い、意見などを述べた取締役や監査役を会議後自室に呼ぶとか、いわゆる『うるさい監査役』は再任しなかった」。委員は「日産に会長はいらない。取締役会議長は社外から」との認識でまとまった。
報告書は「社内では不可侵領域化していた」とゴーン元会長を批判。元会長は当初は現場の意見を拾い上げ改革プランを実行し、強力なリーダーシップで業績をV字回復させたが、途中から独裁的に振る舞うようになった。西川社長らの責任を不問にしたまま新体制に動く日産に対し、「不正を見逃した人物が新体制の中心にいることには違和感がある」との批判も残るが、企業統治を機能させて迅速に意思決定する必要もある。仕組みはできても、経営幹部らがどう運用するかが重要。カリスマ退場後の道筋はまだ見えない。
日産会長職「廃止を」、経営体制見直し、特別委提言、監督・執行分離促す
日産自動車<7201>が設置した企業統治改革の専門委員会は27日、経営体制の見直しへ提言をまとめた。元会長のカルロス・ゴーン被告に権限が集まり不正を防げなかった反省から、取締役会の議長に社外取締役をあてるなど執行と監督の分離を明確にするよう求めた。仏ルノーとの間で指名を巡り対立点になった日産会長職は廃止を提言。日産は提言を基に新たな体制作りに着手する。
日産が求めた「ガバナンス改善特別委員会」の発足は2018年12月で、ゴーン元会長の一連の問題の原因分析、企業統治の改善策提言が目的だったが、筆頭株主の仏ルノーが日産会長職の指名を要求し対立が激しくなる中、19年3月末に設定した特別委の提言まで時間稼ぎする効果もあった。榊原共同委員長らは27日夜、横浜市内で記者会見を行った。
前経団連会長の榊原共同委員長が議論を主導し、「この委員会は個人の責任追及のためにあるわけではない。人が代わっても企業統治で問題が生じないようなシステムにしないと意味がない」との意見で一致。早々に、ゴーン体制を支えた西川社長ら個人の責任論は議論の対象から除外された。当初は一部委員から「ルノーとの資本関係についても言及すべきだ」との意見が出たが、「ルノーを刺激する必要はない」との意見が多数派を占めた。議論はいかに権限を分散させるかが中心で、日産の現体制を安定させる方向で進んだ。
ゴーン元会長時代の日産取締役会の平均会議時間は20~30分で短いときは9分。「これで異議はないですね」。ゴーン元会長が鋭いまなざしで取締役メンバーを一瞥し発言すると周囲はうなずき議論は深まらない。監督機能の不全に対する委員の問題意識は強く、報告書で「ゴーン氏は取締役会で質問や意見が出ることを嫌い、意見などを述べた取締役や監査役を会議後自室に呼ぶとか、いわゆる『うるさい監査役』は再任しなかった」。委員は「日産に会長はいらない。取締役会議長は社外から」との認識でまとまった。
報告書は「社内では不可侵領域化していた」とゴーン元会長を批判。元会長は当初は現場の意見を拾い上げ改革プランを実行し、強力なリーダーシップで業績をV字回復させたが、途中から独裁的に振る舞うようになった。西川社長らの責任を不問にしたまま新体制に動く日産に対し、「不正を見逃した人物が新体制の中心にいることには違和感がある」との批判も残るが、企業統治を機能させて迅速に意思決定する必要もある。仕組みはできても、経営幹部らがどう運用するかが重要。カリスマ退場後の道筋はまだ見えない。
関連銘柄 4件
・日産自動車(7201)東証1部
仏ルノー・三菱自連合で世界2位、仏ルノーの出資比率43.40%
国内大手自動車メーカー。仏ルノー傘下。三菱自へ資本参加。世界160以上の国・地域で商品、サービス提供。海外売上比率が高い。欧州苦戦。販売台数の減少や為替変動による影響等が響く。19.3期2Qは業績低調。 記:2018/12/24
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・三菱自動車工業(7211)東証1部
国内6位・アジア市場に強み、日産自の出資比率33.99%
ピックアップトラック、SUV、クロスオーバー系車種に強み。ルノー・日産アライアンス入り。海外売上比率が高い。グローバル販売台数は2桁増。北米はアウトランダーPHEV等が堅調。19.3期3Qは2桁経常増益。 記:2019/02/22
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・日産車体(7222)東証1部
日産系車体組み立てメーカー、日産自向け依存度98%
日産の乗用車や商用車等を受託生産する完成車メーカー。生産拠点は国内は湘南と九州。ニューヨークの「NV200タクシー」の量産など、グローバルに対応。19.3期3Q累計は二桁の増収、利益は大幅黒字転換と回復。 記:2019/03/04
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・ユニプレス(5949)東証1部
車体プレス部品大手メーカー、日産自向け依存度84%
自動車用プレス最大手。自動車用車体部品、トランスミッションのプレス加工、樹脂製部品のプレスを展開。日産向けが87%。純利益は連続で最高益更新中。19.3期3Q営業利益は市場コンセンサスを18億円下ブレ。 記:2019/02/16
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