2019/2/5 8:13 FISCO 【日経新聞1面】日本製のアジア輸出加速で国内新工場回帰進む
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日本製のアジア輸出加速で国内新工場回帰進む
「日本製」アジア輸出加速、資生堂が九州新工場、日用品や食品で相次ぎ増産投資
製造業の国内回帰が一段と進む。資生堂<4911>は最大500億円を投じ九州に新工場を建設、ライオン<4912>も国内で52年ぶりとなる歯磨き粉工場を設ける。2018年に3000万人を超えた訪日観光客は帰国後も「日本製」を求める傾向が強く、中国からネット経由で購入された日本製品は対中輸出額の1割に相当すると試算される。生産拠点から消費市場に変貌するアジアの需要が設備投資の国内回帰を後押ししている。
資生堂の福岡県久留米市の新工場は21年に稼働予定で、中高価格帯のスキンケア「エリクシール」などを年間約1億4000万個生産する。現在、大阪府と栃木県でも新工場を建設中で、世界の生産能力は倍増する見通し。アジアへの輸出拠点に育てると同時に、品不足が慢性化する国内への供給力も高める。「IoT」など最先端の生産技術を導入して生産性を高め、国内の賃金水準でも国際競争力を維持できると判断している。
ユニチャーム<8113>は国内では26年ぶりとなる福岡県の新工場が19年に稼働し中国などで人気の高級紙おむつなどを生産、ライオンも21年に国内52年ぶりとなる歯磨き粉の新工場を香川県で稼働する予定。これまで海外展開にためには現地で工場・販売網を築く必要があったが、ネット通販や越境ECの普及で、その必要がなくなりつつある。
訪日客は帰国後も日本製の商品を求める傾向が強く、同じ日本企業の製品でも「日本製」の人気が高い。経済産業省の17年時点の予測では、中国から越境EC経由で購入される日本製品は、化粧品やおむつなどの日用品が中心に18年に約1兆6000億円と、日本の対中輸出額約16兆円の1割に相当する規模。日本から中国への輸出額は18年までの8年間で化粧品が10倍、時計が9割、家電が4割増で、自動車なども含めた主要な消費財輸出は4割増と輸出全体の2割を上回る増加ペース。「世界の工場」である中国は所得水準の上昇で消費市場としての重要性を増している。
インドネシアやベトナムも訪日客が2桁増ペースで、中国同様に本国で日本製品の需要増が期待できる。日本企業はこれまで人件費の安い新興国に生産を移してきたが、海外の人件費上昇や消費市場への転換を受け、国内工場に再投資し輸出拠点とする動きが広がる。
IoTやロボットなどを駆使した生産性の高い新工場建設が国内で可能になったことに加え、中国を中心にアジアでの“メイド・イン・ジャパン”人気から、国内新工場建設への回帰の動きが当面続きそうだ。化粧品や日用品メーカーにとっては事業拡大のチャンスであり、FAなど設備投資関連への恩恵も期待される。
「日本製」アジア輸出加速、資生堂が九州新工場、日用品や食品で相次ぎ増産投資
製造業の国内回帰が一段と進む。資生堂<4911>は最大500億円を投じ九州に新工場を建設、ライオン<4912>も国内で52年ぶりとなる歯磨き粉工場を設ける。2018年に3000万人を超えた訪日観光客は帰国後も「日本製」を求める傾向が強く、中国からネット経由で購入された日本製品は対中輸出額の1割に相当すると試算される。生産拠点から消費市場に変貌するアジアの需要が設備投資の国内回帰を後押ししている。
資生堂の福岡県久留米市の新工場は21年に稼働予定で、中高価格帯のスキンケア「エリクシール」などを年間約1億4000万個生産する。現在、大阪府と栃木県でも新工場を建設中で、世界の生産能力は倍増する見通し。アジアへの輸出拠点に育てると同時に、品不足が慢性化する国内への供給力も高める。「IoT」など最先端の生産技術を導入して生産性を高め、国内の賃金水準でも国際競争力を維持できると判断している。
ユニチャーム<8113>は国内では26年ぶりとなる福岡県の新工場が19年に稼働し中国などで人気の高級紙おむつなどを生産、ライオンも21年に国内52年ぶりとなる歯磨き粉の新工場を香川県で稼働する予定。これまで海外展開にためには現地で工場・販売網を築く必要があったが、ネット通販や越境ECの普及で、その必要がなくなりつつある。
訪日客は帰国後も日本製の商品を求める傾向が強く、同じ日本企業の製品でも「日本製」の人気が高い。経済産業省の17年時点の予測では、中国から越境EC経由で購入される日本製品は、化粧品やおむつなどの日用品が中心に18年に約1兆6000億円と、日本の対中輸出額約16兆円の1割に相当する規模。日本から中国への輸出額は18年までの8年間で化粧品が10倍、時計が9割、家電が4割増で、自動車なども含めた主要な消費財輸出は4割増と輸出全体の2割を上回る増加ペース。「世界の工場」である中国は所得水準の上昇で消費市場としての重要性を増している。
インドネシアやベトナムも訪日客が2桁増ペースで、中国同様に本国で日本製品の需要増が期待できる。日本企業はこれまで人件費の安い新興国に生産を移してきたが、海外の人件費上昇や消費市場への転換を受け、国内工場に再投資し輸出拠点とする動きが広がる。
IoTやロボットなどを駆使した生産性の高い新工場建設が国内で可能になったことに加え、中国を中心にアジアでの“メイド・イン・ジャパン”人気から、国内新工場建設への回帰の動きが当面続きそうだ。化粧品や日用品メーカーにとっては事業拡大のチャンスであり、FAなど設備投資関連への恩恵も期待される。
関連銘柄 4件
・資生堂(4911)東証1部
化粧品国内最大手、栃木・福岡県に化粧品の新工場建設
化粧品国内トップ。主力8ブランドに経営資源集中し、日本、中国、免税店を中心に拡販。北米はベア社の立て直しに全力注ぐ。旺盛な需要に対応すべく、国内の生産体制を強化中。来年の初頭に前倒し達成した中計を改定へ。 記:2018/11/28
化粧品国内最大手、栃木・福岡県に化粧品の新工場建設
化粧品国内トップ。主力8ブランドに経営資源集中し、日本、中国、免税店を中心に拡販。北米はベア社の立て直しに全力注ぐ。旺盛な需要に対応すべく、国内の生産体制を強化中。来年の初頭に前倒し達成した中計を改定へ。 記:2018/11/28
・ユニ・チャーム(8113)東証1部
紙おむつ・生理用品の大手、福岡県に紙おむつの新工場を建設
生理用品やベビー用品を製造・販売。ベビーケア、フェミニンケア、ヘルスケア関連でアジア首位。ペットケア用品も首位級。中国を中心に海外事業展開を加速。原材料高をこなし、18.12期3Q累計決算は増収増益。 記:2018/12/17
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生理用品やベビー用品を製造・販売。ベビーケア、フェミニンケア、ヘルスケア関連でアジア首位。ペットケア用品も首位級。中国を中心に海外事業展開を加速。原材料高をこなし、18.12期3Q累計決算は増収増益。 記:2018/12/17
・ライオン(4912)東証1部
オーラルケアに強い日用品の大手、香川県に歯磨き粉の新工場建設
トイレタリー用品や医薬品などを展開。オーラルケアは国内首位、トイレタリーは第3位。クリニカ、キレイキレイ、システマ、トップ、バファリンなど有力ブランド多数。海外好調で、18.12期3Q累計は大幅営業増益。 記:2018/11/21
オーラルケアに強い日用品の大手、香川県に歯磨き粉の新工場建設
トイレタリー用品や医薬品などを展開。オーラルケアは国内首位、トイレタリーは第3位。クリニカ、キレイキレイ、システマ、トップ、バファリンなど有力ブランド多数。海外好調で、18.12期3Q累計は大幅営業増益。 記:2018/11/21
・花王(4452)東証1部
家庭用品国内最大手・化粧品国内2位、小田原工場の洗顔料生産能力倍増
日用品・化粧品大手。機能化学品の生産も。国内の付加価値化とアジアを軸とする海外拡大を推進。同業として見劣る化粧品の改善にも力注ぐ。中計では20.12期に営業利益率15%目指す。18.12期2Qは増収増益。 記:2018/08/04
家庭用品国内最大手・化粧品国内2位、小田原工場の洗顔料生産能力倍増
日用品・化粧品大手。機能化学品の生産も。国内の付加価値化とアジアを軸とする海外拡大を推進。同業として見劣る化粧品の改善にも力注ぐ。中計では20.12期に営業利益率15%目指す。18.12期2Qは増収増益。 記:2018/08/04
