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<FRBの姿勢転換は大きなプラス材料>
鈴木一之です。年が改まりました。今年もよろしくお願いいたします。
このお正月休みは長い休暇を取られた方も多いようですが、精神的にはあまりのんびりと休んだという気がしなかったのではないでしょうか。日本が休み中の海外市場で、ジェットコースターのような相場の乱高下が繰り返されていました。
年明け早々、アップルの業績下方修正のニュースが流れたと思ったら、その翌日にはFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が金融政策の運営方針をがらりと変える方針を明らかにしました。
昨年は年間でリーマン危機以来の下落幅を余儀なくされたNY株式市場は、FRBの「ハト派」政策への転換を好意的に評価して連日の上昇を記録しています。
これによって変調をきたしていたマーケットはがらりとムードが変わりました。FRBが緩和的なスタンスに戻ってくることを期待して、今週のNY株式市場は戻り歩調を強めています。
極めつけのビッグニュースがこうも立て続けに明らかになると、マーケットは右往左往するのが避けられません。昨年暮れの市場環境がとてもシビアなものだっただけに、徐々に安堵感も感じられるようになっています。
<マーケットに心配のタネは尽きず>
ただ、心配事のタネが尽きないのが今のマーケットです。年末年始の出来事やニュースを見るにつけ、2019年相場に臨むにあたって、私が個人的に気になるポイントがいくつか出てきましたのでそれを列挙してみます。
(1)FRBの政策変更の副作用(2)デジタル革命が景気に与える影響(3)原油価格の動向(4)株安のアナウンス効果――の4点です。とりわけ(1)と(2)の影響が気になります。
<FRBの政策変更に副作用はないのか>
FRBの政策変更の副作用に関しては、言うまでもなくドル安・円高の流れが戻ってくるのではないか、という警戒感です。昨年はドルが一貫して上昇した年となりましたが、同時に円も上昇しました。ドル高・円高がダブルで起こったために、日本経済にとって円高の痛みはさほど感じずに済みました。
今年、FRBが金融政策を変更するのならば、ドル高だけが進行する恐れはないのかという警戒感です。その辺はさっそく株式市場に現れている模様です。
<プラスの影響ばかりではないデジタル革命>
デジタル革命の影響に関しては、アップルの「iPhone」減産とはまた別の意味で、考慮する必要があるのではないかと思います。
英国最大の自動車メーカーであるジャガー・ランドローバーが、最大で4500人の人員削減を発表しました。昨年暮れに観測報道が流れていましたが、それが現実のものとなり、英国経済を直撃しています。
大規模なリストラ計画の理由は、中国での販売台数の急減とディーゼル車の不振が挙げられています。それに加えてもうひとつ、自動車業界を覆っているデジタル革命の影響もないとは言い切れません。
コネクテッド、自動運転、EV化の大波による自動車業界の歴史的な転換点を前にして、膨大な設備投資が必要とされています。従業員に求められるスキルも大きく変わってくることになり、現在の雇用形態が維持されるとは限りません。
そのような懸念が現実のものとなりつつあります。キャッシュレス決済の小売業界やEコマースを支える物流業界など、あらゆる産業で進展するデジタル革命は必ずしもプラスの効果をもたらすだけとは言い切れなくなっている可能性があります。
<原油価格の下落はプラス?マイナス?>
原油価格も下がったら下がったで景気減速を表し、反対に上昇したら今度は原材料価格の高騰にすぐに波及します。本当はどちらが好ましいのか、はっきりとはわからなくなっています。
<株安と景気と消費者心理の関係は?>
そして株安のアナウンス効果ですが、11日に発表された12月の日本の景気ウォッチャー調査、いわゆる「街角景気」は現状判断指数が48.0と、前月比3.0ポイントの急低下となりました。
街角景気が悪化するのは3カ月ぶりのことですが、プラスとなった前の2カ月が天候異常や北海道での地震対策、復興需要による特殊なかさ上げがあったことを考慮すると、この間ずっとかんばしくなかったことを示しています。
これを受けて内閣府は景気の基調判断を引き下げました。昨年暮れに発生した株価の急落が、庶民の景況感に悪影響を及ぼしている様子がうかがえます。
株価はもうしばらく戻り歩調を強める動きも期待されますが、やはり当面は慎重なスタンスが必要かと考えられます。現金比率は高めにして、相場の動きに臨機応変に臨むのがよいかと考えます。KNT-CTホールディングス <9726> 、キリンHD <2503> 、九州電力 <9508> 、ニプロ <8086> 、リンクアンドモチベーション <2170> に注目しています。
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<FRBの姿勢転換は大きなプラス材料>
鈴木一之です。年が改まりました。今年もよろしくお願いいたします。
このお正月休みは長い休暇を取られた方も多いようですが、精神的にはあまりのんびりと休んだという気がしなかったのではないでしょうか。日本が休み中の海外市場で、ジェットコースターのような相場の乱高下が繰り返されていました。
年明け早々、アップルの業績下方修正のニュースが流れたと思ったら、その翌日にはFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が金融政策の運営方針をがらりと変える方針を明らかにしました。
昨年は年間でリーマン危機以来の下落幅を余儀なくされたNY株式市場は、FRBの「ハト派」政策への転換を好意的に評価して連日の上昇を記録しています。
これによって変調をきたしていたマーケットはがらりとムードが変わりました。FRBが緩和的なスタンスに戻ってくることを期待して、今週のNY株式市場は戻り歩調を強めています。
極めつけのビッグニュースがこうも立て続けに明らかになると、マーケットは右往左往するのが避けられません。昨年暮れの市場環境がとてもシビアなものだっただけに、徐々に安堵感も感じられるようになっています。
<マーケットに心配のタネは尽きず>
ただ、心配事のタネが尽きないのが今のマーケットです。年末年始の出来事やニュースを見るにつけ、2019年相場に臨むにあたって、私が個人的に気になるポイントがいくつか出てきましたのでそれを列挙してみます。
(1)FRBの政策変更の副作用(2)デジタル革命が景気に与える影響(3)原油価格の動向(4)株安のアナウンス効果――の4点です。とりわけ(1)と(2)の影響が気になります。
<FRBの政策変更に副作用はないのか>
FRBの政策変更の副作用に関しては、言うまでもなくドル安・円高の流れが戻ってくるのではないか、という警戒感です。昨年はドルが一貫して上昇した年となりましたが、同時に円も上昇しました。ドル高・円高がダブルで起こったために、日本経済にとって円高の痛みはさほど感じずに済みました。
今年、FRBが金融政策を変更するのならば、ドル高だけが進行する恐れはないのかという警戒感です。その辺はさっそく株式市場に現れている模様です。
<プラスの影響ばかりではないデジタル革命>
デジタル革命の影響に関しては、アップルの「iPhone」減産とはまた別の意味で、考慮する必要があるのではないかと思います。
英国最大の自動車メーカーであるジャガー・ランドローバーが、最大で4500人の人員削減を発表しました。昨年暮れに観測報道が流れていましたが、それが現実のものとなり、英国経済を直撃しています。
大規模なリストラ計画の理由は、中国での販売台数の急減とディーゼル車の不振が挙げられています。それに加えてもうひとつ、自動車業界を覆っているデジタル革命の影響もないとは言い切れません。
コネクテッド、自動運転、EV化の大波による自動車業界の歴史的な転換点を前にして、膨大な設備投資が必要とされています。従業員に求められるスキルも大きく変わってくることになり、現在の雇用形態が維持されるとは限りません。
そのような懸念が現実のものとなりつつあります。キャッシュレス決済の小売業界やEコマースを支える物流業界など、あらゆる産業で進展するデジタル革命は必ずしもプラスの効果をもたらすだけとは言い切れなくなっている可能性があります。
<原油価格の下落はプラス?マイナス?>
原油価格も下がったら下がったで景気減速を表し、反対に上昇したら今度は原材料価格の高騰にすぐに波及します。本当はどちらが好ましいのか、はっきりとはわからなくなっています。
<株安と景気と消費者心理の関係は?>
そして株安のアナウンス効果ですが、11日に発表された12月の日本の景気ウォッチャー調査、いわゆる「街角景気」は現状判断指数が48.0と、前月比3.0ポイントの急低下となりました。
街角景気が悪化するのは3カ月ぶりのことですが、プラスとなった前の2カ月が天候異常や北海道での地震対策、復興需要による特殊なかさ上げがあったことを考慮すると、この間ずっとかんばしくなかったことを示しています。
これを受けて内閣府は景気の基調判断を引き下げました。昨年暮れに発生した株価の急落が、庶民の景況感に悪影響を及ぼしている様子がうかがえます。
株価はもうしばらく戻り歩調を強める動きも期待されますが、やはり当面は慎重なスタンスが必要かと考えられます。現金比率は高めにして、相場の動きに臨機応変に臨むのがよいかと考えます。KNT-CTホールディングス <9726> 、キリンHD <2503> 、九州電力 <9508> 、ニプロ <8086> 、リンクアンドモチベーション <2170> に注目しています。