2018/10/26 9:15 FISCO 【日経新聞1面】新NAFTAの域内自動車現地生産への影響は大きい
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新NAFTAの域内自動車現地生産への影響は大きい
「新NAFTA」、エンジンの域内生産義務化 米・カナダ・メキシコ、日欧メーカーに影響
米国とカナダ、メキシコが合意した新たな貿易の枠組み「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」は、現地生産する自動車に対してエンジンや変速機などの主要部品を3カ国で生産するように義務付けている。日本や欧州の自動車メーカーは主要部品を域外から持ち込んでいるモデルも多く、新たな設備投資や調達先の変更を迫られる可能性が出てきた。
NAFTAを見直して合意し20年に発効する新協定は、主要部品の域内生産を義務化する条文も盛り込んだ。エンジン、変速機、サスペンション、EV用バッテリーなど7つの部品が対象で、1つでも域外で生産したものを使うと域内生産車と認められず、3カ国間で関税ゼロでの輸出入ができなくなる。域内生産車として認められる部品の現地調達比率もNAFTAの 62.5%以上から新協定では75%に引き上げられるほか、部品の40%以上を時給16ドル以上の労働者が生産することも求めている。米国の部品輸入額の17年約450億ドル(約5兆円)の半分は域外からで、新協定では部品を持ち込みにくくして、投資を促す考えとみられる。米国メーカーは主要部品の域外からの輸入が少ないため、相対的に日本、韓国、欧州メーカーにとっては不利な制度といえる。
エンジンや変速機の新たな生産設備には100億円規模の投資が必要となり負担が大きい。マツダ<7261>はメキシコ工場で小型車を生産、21年に稼働する米国新工場ではSUVを生産するが、いずれも変速機は日本製でこのままでは関税ゼロの恩恵を受けることができない。SUBARU<7270>は米インディアナ州の工場での生産車に、日本から半完成品や完成品で輸入したエンジン、変速機を組み込んでいる。現地調達率が高いトヨタ<7203>でも、車種によっては新たな条件を満たさない可能性がある。米国とカナダでハイブリッド車を生産しているが販売規模は小さく、主要部品を日本から供給しているため、20年から米ウェストバージニア州でHV用変速機の現地生産を始める計画だ。
NAFTAを見直した新協定が発効するが、現地生産に対する部品調達などの条件が厳しくなるため、新たな設備投資が必要になるなど影響は大きい。日米物品貿易協定(TAG)交渉を見極めた上での自動車各社、部品メーカーの今後の対応が注目される。
「新NAFTA」、エンジンの域内生産義務化 米・カナダ・メキシコ、日欧メーカーに影響
米国とカナダ、メキシコが合意した新たな貿易の枠組み「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」は、現地生産する自動車に対してエンジンや変速機などの主要部品を3カ国で生産するように義務付けている。日本や欧州の自動車メーカーは主要部品を域外から持ち込んでいるモデルも多く、新たな設備投資や調達先の変更を迫られる可能性が出てきた。
NAFTAを見直して合意し20年に発効する新協定は、主要部品の域内生産を義務化する条文も盛り込んだ。エンジン、変速機、サスペンション、EV用バッテリーなど7つの部品が対象で、1つでも域外で生産したものを使うと域内生産車と認められず、3カ国間で関税ゼロでの輸出入ができなくなる。域内生産車として認められる部品の現地調達比率もNAFTAの 62.5%以上から新協定では75%に引き上げられるほか、部品の40%以上を時給16ドル以上の労働者が生産することも求めている。米国の部品輸入額の17年約450億ドル(約5兆円)の半分は域外からで、新協定では部品を持ち込みにくくして、投資を促す考えとみられる。米国メーカーは主要部品の域外からの輸入が少ないため、相対的に日本、韓国、欧州メーカーにとっては不利な制度といえる。
エンジンや変速機の新たな生産設備には100億円規模の投資が必要となり負担が大きい。マツダ<7261>はメキシコ工場で小型車を生産、21年に稼働する米国新工場ではSUVを生産するが、いずれも変速機は日本製でこのままでは関税ゼロの恩恵を受けることができない。SUBARU<7270>は米インディアナ州の工場での生産車に、日本から半完成品や完成品で輸入したエンジン、変速機を組み込んでいる。現地調達率が高いトヨタ<7203>でも、車種によっては新たな条件を満たさない可能性がある。米国とカナダでハイブリッド車を生産しているが販売規模は小さく、主要部品を日本から供給しているため、20年から米ウェストバージニア州でHV用変速機の現地生産を始める計画だ。
NAFTAを見直した新協定が発効するが、現地生産に対する部品調達などの条件が厳しくなるため、新たな設備投資が必要になるなど影響は大きい。日米物品貿易協定(TAG)交渉を見極めた上での自動車各社、部品メーカーの今後の対応が注目される。
関連銘柄 4件
・マツダ(7261)東証1部
世界生産台数は国内5位、メキシコ生産台数は約20万台でSUVも生産
国内自動車メーカー。トヨタと業務資本提携。スカイアクティブ・テクノロジー、魂動デザイン等が特長。中国、メキシコ等に生産拠点。アテンザ等で商品改良モデルを導入。日本は販売好調。19.3期1Qは増収。 記:2018/09/18
世界生産台数は国内5位、メキシコ生産台数は約20万台でSUVも生産
国内自動車メーカー。トヨタと業務資本提携。スカイアクティブ・テクノロジー、魂動デザイン等が特長。中国、メキシコ等に生産拠点。アテンザ等で商品改良モデルを導入。日本は販売好調。19.3期1Qは増収。 記:2018/09/18
・SUBARU(7270)東証1部
米国販売台数70万台と世界全体の64%構成、米国生産台数は38万台
自動車中堅。水平対向エンジンに特色。四輪駆動や安全技術に強み。北米でシェアを拡大中。航空機部品も。筆頭株主はトヨタ。中計では21.3期に売上高10兆円、営業利益率9.5%を目指す。19.3期1Qは足踏み。 記:2018/08/09
米国販売台数70万台と世界全体の64%構成、米国生産台数は38万台
自動車中堅。水平対向エンジンに特色。四輪駆動や安全技術に強み。北米でシェアを拡大中。航空機部品も。筆頭株主はトヨタ。中計では21.3期に売上高10兆円、営業利益率9.5%を目指す。19.3期1Qは足踏み。 記:2018/08/09
・トヨタ自動車(7203)東証1部
国内トップ・世界3位、メキシコに新工場を建設中
自動車世界大手。傘下に日野自動車、ダイハツ工業など。マツダと業務資本提携。車載用角形電池事業でパナソニックと協業検討。自動車事業は堅調。販売台数の増加や諸経費削減などが寄与。19.3期1Qは2桁営業増益。 記:2018/10/15
国内トップ・世界3位、メキシコに新工場を建設中
自動車世界大手。傘下に日野自動車、ダイハツ工業など。マツダと業務資本提携。車載用角形電池事業でパナソニックと協業検討。自動車事業は堅調。販売台数の増加や諸経費削減などが寄与。19.3期1Qは2桁営業増益。 記:2018/10/15
・日産自動車(7201)東証1部
ルノー・三菱自連合で世界2位、メキシコ生産台数は80万台強と最大
国内大手自動車メーカー。仏ルノー傘下。三菱自へ資本参加。世界160以上の国・地域で商品、サービス提供。海外売上比率が高い。グローバル販売台数は減少。原材料価格の上昇等もあり、19.3期1Qは業績伸び悩む。 記:2018/09/18
ルノー・三菱自連合で世界2位、メキシコ生産台数は80万台強と最大
国内大手自動車メーカー。仏ルノー傘下。三菱自へ資本参加。世界160以上の国・地域で商品、サービス提供。海外売上比率が高い。グローバル販売台数は減少。原材料価格の上昇等もあり、19.3期1Qは業績伸び悩む。 記:2018/09/18