2018/10/24 8:53 FISCO 【日経新聞1面】米中貿易戦争を契機に生産体制の見直しが進む方向
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米中貿易戦争を契機に生産体制の見直しが進む方向
対米輸出拠点 中国離れ 日本電産や中国企業も 制裁避け供給網再編
米政府の中国製品に対する制裁関税を受け、米国への輸出製品の生産拠点を中国から移し始めている。自動車部品や家電製品などが対象で、日本電産<6594>やパナソニック<6752>などの日本企業のほか、中国企業も家電大手のTCL集団などがメキシコや東南アジアに移す。米中の貿易戦争が長引くと判断し、生産体制を見直す動きが広がりそうだ。
日電産は中国から米国に輸出している電動パワーステアリング用モーター、エアコン部品などをメキシコに移管する。18年度中に約200億円を投じてメキシコの既存工場の隣接地に新棟も建てる。永守重信会長は23日の決算発表での記者会見で「貿易戦争がしばらく続く。こうしたことは連鎖する」と生産地を見直してコスト上昇を回避する考えを示した。パナソニックは今後、中国で生産するカーステレオなど車載用機器のうち米国向けをタイやメキシコに振り替える。自動車用アンテナのヨコオ<6800>は中国生産分の7割を輸出しているが、米国による制裁発動を受けてベトナムへの生産移管を前倒しする。20年代半ばまでに輸出分を移す計画だったが、米国向けは年内に完了させる。
中国企業も米国向け生産を国外にシフトし始めている。TCL集団はメキシコ工場で液晶テレビを17年200万台から18年300~400万台に増産し、中国本土からの輸出を代替する。ポリエステル大手の浙江海利得新材料は、20年半ばにベトナムに初の海外生産拠点を新設する。同社の売上高は米国向けが2割を占め、汎用化学品は中国以外の供給源が限られ競合は少ないが、中国国外に生産拠点を設けて安定供給を目指す。
国内市場の大きい中国への海外企業の直接投資は直近でも堅調だったが、米中貿易戦争をきっかけに輸出拠点を東南アジアに移転する動きが加速しそうだと指摘されている。東南アジアの現地企業には追い風が吹き始めている。また、製品の生産拠点の見直しは部品のサプライチェーンにも影響を与える。テレビの場合、電子部品や液晶パネル、パネルに使うガラスといった原材料の生産地や購入先の変更に繋がる可能性がある。
米中貿易戦争に身構える日本企業は既に生産拠点を中国からメキシコや東南アジアに移し始めているが、中国国内の人件費上昇という背景もあり、この動きは加速する可能性は高い。いち早く動いた企業はコスト増を回避し、新規ユーザーや新たなサプライチェーン・パートナーの獲得にも繋がることもあり得る。経営の決断力が試されることでもある。
対米輸出拠点 中国離れ 日本電産や中国企業も 制裁避け供給網再編
米政府の中国製品に対する制裁関税を受け、米国への輸出製品の生産拠点を中国から移し始めている。自動車部品や家電製品などが対象で、日本電産<6594>やパナソニック<6752>などの日本企業のほか、中国企業も家電大手のTCL集団などがメキシコや東南アジアに移す。米中の貿易戦争が長引くと判断し、生産体制を見直す動きが広がりそうだ。
日電産は中国から米国に輸出している電動パワーステアリング用モーター、エアコン部品などをメキシコに移管する。18年度中に約200億円を投じてメキシコの既存工場の隣接地に新棟も建てる。永守重信会長は23日の決算発表での記者会見で「貿易戦争がしばらく続く。こうしたことは連鎖する」と生産地を見直してコスト上昇を回避する考えを示した。パナソニックは今後、中国で生産するカーステレオなど車載用機器のうち米国向けをタイやメキシコに振り替える。自動車用アンテナのヨコオ<6800>は中国生産分の7割を輸出しているが、米国による制裁発動を受けてベトナムへの生産移管を前倒しする。20年代半ばまでに輸出分を移す計画だったが、米国向けは年内に完了させる。
中国企業も米国向け生産を国外にシフトし始めている。TCL集団はメキシコ工場で液晶テレビを17年200万台から18年300~400万台に増産し、中国本土からの輸出を代替する。ポリエステル大手の浙江海利得新材料は、20年半ばにベトナムに初の海外生産拠点を新設する。同社の売上高は米国向けが2割を占め、汎用化学品は中国以外の供給源が限られ競合は少ないが、中国国外に生産拠点を設けて安定供給を目指す。
国内市場の大きい中国への海外企業の直接投資は直近でも堅調だったが、米中貿易戦争をきっかけに輸出拠点を東南アジアに移転する動きが加速しそうだと指摘されている。東南アジアの現地企業には追い風が吹き始めている。また、製品の生産拠点の見直しは部品のサプライチェーンにも影響を与える。テレビの場合、電子部品や液晶パネル、パネルに使うガラスといった原材料の生産地や購入先の変更に繋がる可能性がある。
米中貿易戦争に身構える日本企業は既に生産拠点を中国からメキシコや東南アジアに移し始めているが、中国国内の人件費上昇という背景もあり、この動きは加速する可能性は高い。いち早く動いた企業はコスト増を回避し、新規ユーザーや新たなサプライチェーン・パートナーの獲得にも繋がることもあり得る。経営の決断力が試されることでもある。
関連銘柄 4件
・日本電産(6594)東証1部
精密モーター世界最大手、M&Aをテコに車載・家電などが急拡大
HDD用精密小型モータで世界首位。M&Aで車載・産業向け中大型モータを強化し、総合モータ会社に。21.3期までの3年間で5000億円を投じ、減速機や中大型モータの生産能力拡大へ。19.3期1Qは増収増益。 記:2018/08/06
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・パナソニック(6752)東証1部
総合エレクトロニクス大手、国内最大手・車載関連に注力
総合電機大手。デジタル家電から車載機器や住設機器に軸足を移行。白物家電やFA機器、電子部品なども。注力中の車載電池は3年後に売上倍増を目指す。家電・エアコンはアジア開拓を強化へ。19.3期1Qは二桁増益。 記:2018/08/09
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・ヨコオ(6800)東証1部
自動車用アンテナ国内トップ、海外売上比率64%・アジア生産拠点多い
電子部品メーカー。車載通信機器や回路検査用コネクタ、医療カテーテル用微細部品などを手掛ける。海外生産比率が高い。車載通信機器は売上増。自動車メーカー向けアンテナは販売伸長。19.3期1Qは2桁経常増益。 記:2018/09/17
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・住友電気工業(5802)東証1部
電線国内最大手、自動車用ワイヤーハーネスは世界シェア3割弱で2位
電線国内トップ。世界首位級のワイヤハーネスが主力。光ファイバや送電ケーブル、プリント回路、超硬工具なども。中計では21.3期に営業益2000億円が目標。段階的に配当性向を向上へ。19.3期1Qは営業増益。 記:2018/08/05
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