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・カプコン(9697)「モンハン」配信停止、中国ゲーム業界の内情 (上)・(下)
今年1月に発売され、8月に累計販売本数1000万本を達成したカプコンのゲームソフト『モンスターハンター:ワールド(モンハンワールド)』。同社史上最大のヒットタイトルとなっている。このモンハンワールドの中国版が8月8日、現地のゲームプラットフォーム「WeGame」で発売された。だが、そのわずか5日後に販売が停止される事態に追い込まれた。
WeGameとは、中国でゲームやメッセージアプリ「WeChat」などを展開するIT大手、テンセント・ホールディングスが昨年9月に開始した(PC)ゲーム配信サービスのこと。中国では配信会社が自前のサイトでPCゲームを販売する形態が主流だが、WeGameは配信プラットフォームとしてさまざまな会社のゲームが配信されている。昨年11月時点ですでに登録者数は2億人以上、アクティブユーザー数は3300万人以上という規模だ。
■中国ゲーム業界独特のビジネスモデル
販売停止の裏には中国当局からの要請があった。カプコン側は「中国版の展開はテンセントへライセンスを供与する形で行っており、当局との対応はテンセント側が担っている」という。テンセントのマーティン・ラウ社長は2018年4~6月期の決算説明会で「ゲーム内容に当局の基準を満たしていない部分があったため、いったん販売を停止してコンテンツを調整する必要が生じた」と説明した。
中国は今や世界最大のゲーム市場。市場動向を分析した『中国ゲーム産業史』(Gzブレイン刊)によれば、2017年の市場規模は3兆3596億円に上る。しかし、日本を含めた外資企業が参入するのは容易ではない。
まず、外資のゲームソフト会社は単独でゲームを販売することができない。そのため、現地企業とライセンス契約を結び、現地企業名義で販売を行う必要がある。今回の中国版『モンハンワールド』をテンセントが販売しているのもそのためだ。ちなみに、モンハンが中国に進出したのは今回が初めてではなく、2015年にテンセントと共同で『モンスターハンターオンライン』を配信している。これは現在もサービスが続いている。
販売に当たっては、中国当局から検閲を受けなければならない。今年3月までは、文化部と国家新聞出版広電総局という2つの組織がそれぞれコンテンツ内容と配信の可否を審査していた。反社会的な表現や暴力・性的描写など審査対象となる項目は多く、検閲対策としてコンテンツを修正する期間を含めると配信までに半年から1年を要することも多いという。
今回の販売停止を受け、中国当局による規制強化への警戒感が高まっている。テンセントのラウ社長は「(規制強化によるものではなく)今回限りの出来事だ」と話す。ただ、問題はこれだけではない。今年の春以降、新規ゲームの販売承認許可が出なくなっているのだ。
3月の組織再編では前出の広電総局が大きく3つの組織に分けられ、文化部と旅行部が統合されるなど、関係機関に大きな動きがあった。それに伴い、一部の権限が中国共産党の中央宣伝部傘下に移るなど、ゲームの審査・承認プロセスも変化した。国内のスマホゲーム会社幹部は「許可の凍結は組織再編による一時的なもので、じきに解決する」としつつも、「想定よりも長引いている」と不安げだ。
■ネット上の表現全体に規制強化か
別のゲーム会社幹部は「ゲームに限った話ではなく、ネット上の表現全体に対する検閲・規制の動きが強まっている」と指摘する。たとえば、昨年には共産党系メディアが若者のゲーム依存症を取り上げ、テンセント批判を展開している。今年1月に文化部は中国国内の企業に対し、規定を違反しているアニメの配信停止を要求。約28万件のアニメやマンガ、ゲームが配信サイトから削除された。その後もコンテンツの取り締まりをたびたび実施している。
とはいえ、中国当局が規制一辺倒というわけではない。ゲーム産業は政府による産業振興の対象となっており、とりわけゲーム対戦をスポーツ競技として行う「eスポーツ」は、政府機関の国家体育総局が大会を主催するなど取り組みも積極的だ。
今年1月に発売され、8月に累計販売本数1000万本を達成したカプコンのゲームソフト『モンスターハンター:ワールド(モンハンワールド)』。同社史上最大のヒットタイトルとなっている。このモンハンワールドの中国版が8月8日、現地のゲームプラットフォーム「WeGame」で発売された。だが、そのわずか5日後に販売が停止される事態に追い込まれた。
WeGameとは、中国でゲームやメッセージアプリ「WeChat」などを展開するIT大手、テンセント・ホールディングスが昨年9月に開始した(PC)ゲーム配信サービスのこと。中国では配信会社が自前のサイトでPCゲームを販売する形態が主流だが、WeGameは配信プラットフォームとしてさまざまな会社のゲームが配信されている。昨年11月時点ですでに登録者数は2億人以上、アクティブユーザー数は3300万人以上という規模だ。
■中国ゲーム業界独特のビジネスモデル
販売停止の裏には中国当局からの要請があった。カプコン側は「中国版の展開はテンセントへライセンスを供与する形で行っており、当局との対応はテンセント側が担っている」という。テンセントのマーティン・ラウ社長は2018年4~6月期の決算説明会で「ゲーム内容に当局の基準を満たしていない部分があったため、いったん販売を停止してコンテンツを調整する必要が生じた」と説明した。
中国は今や世界最大のゲーム市場。市場動向を分析した『中国ゲーム産業史』(Gzブレイン刊)によれば、2017年の市場規模は3兆3596億円に上る。しかし、日本を含めた外資企業が参入するのは容易ではない。
まず、外資のゲームソフト会社は単独でゲームを販売することができない。そのため、現地企業とライセンス契約を結び、現地企業名義で販売を行う必要がある。今回の中国版『モンハンワールド』をテンセントが販売しているのもそのためだ。ちなみに、モンハンが中国に進出したのは今回が初めてではなく、2015年にテンセントと共同で『モンスターハンターオンライン』を配信している。これは現在もサービスが続いている。
販売に当たっては、中国当局から検閲を受けなければならない。今年3月までは、文化部と国家新聞出版広電総局という2つの組織がそれぞれコンテンツ内容と配信の可否を審査していた。反社会的な表現や暴力・性的描写など審査対象となる項目は多く、検閲対策としてコンテンツを修正する期間を含めると配信までに半年から1年を要することも多いという。
今回の販売停止を受け、中国当局による規制強化への警戒感が高まっている。テンセントのラウ社長は「(規制強化によるものではなく)今回限りの出来事だ」と話す。ただ、問題はこれだけではない。今年の春以降、新規ゲームの販売承認許可が出なくなっているのだ。
3月の組織再編では前出の広電総局が大きく3つの組織に分けられ、文化部と旅行部が統合されるなど、関係機関に大きな動きがあった。それに伴い、一部の権限が中国共産党の中央宣伝部傘下に移るなど、ゲームの審査・承認プロセスも変化した。国内のスマホゲーム会社幹部は「許可の凍結は組織再編による一時的なもので、じきに解決する」としつつも、「想定よりも長引いている」と不安げだ。
■ネット上の表現全体に規制強化か
別のゲーム会社幹部は「ゲームに限った話ではなく、ネット上の表現全体に対する検閲・規制の動きが強まっている」と指摘する。たとえば、昨年には共産党系メディアが若者のゲーム依存症を取り上げ、テンセント批判を展開している。今年1月に文化部は中国国内の企業に対し、規定を違反しているアニメの配信停止を要求。約28万件のアニメやマンガ、ゲームが配信サイトから削除された。その後もコンテンツの取り締まりをたびたび実施している。
とはいえ、中国当局が規制一辺倒というわけではない。ゲーム産業は政府による産業振興の対象となっており、とりわけゲーム対戦をスポーツ競技として行う「eスポーツ」は、政府機関の国家体育総局が大会を主催するなど取り組みも積極的だ。
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※投資の最終的な判断はご自身でお願い致します。
このブログに掲載の情報は、投資を保証するものでは一切御座いません。

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