ちょっと株価が弱含むだけで、たちまち疑心暗鬼と弱気の虫がうごめく――。東京株式市場を長く圧してきたデフレ相場の残滓(ざんし)だ。
ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数など米国株のエネルギッシュな新値追いに付いていけない2月14日以降の日経平均株価のもたつきぶりを見て、「あれっ、何か変だ」と用心するのはよいにしても、そこから一足飛びに「再び全般急落に向かう兆しでは」と疑うなら、早とちりの警戒論というほかない。「常弱気、損得知らぬ大たわけ、貧乏神の氏子(うじこ)なるらん」とは、江戸時代の相場指南書で知られる「三猿金泉秘録」の一節である。
「株価の根っこ(ファンダメンタルズ)に揺らぎはない」。当欄では、連載第9回でこう強調した。上場企業の今3月期第3四半期累計決算の発表は前週で終えたが、今年に入ってからのドル・円レートや原油市況など収益環境を見る限り、4月下旬からの本決算発表時には通期計画値の超過達成企業が続出するだろう。
もっとも、気の早い向きからは「今期の業績は、株価にもう織り込み済み」との声が上がっている。ならば、アップトレンドが続きそうな来期の収益についてはどうか。少なくとも来上期の業績の相場的織り込みは、これから始まる。3-4月の上値余地は十分にある、とみる理由の一つだ。
トランプ氏が米大統領に就任してから1カ月が経過。トランプ氏の派手なパフォーマンスに振り回されがちだったメディアやマーケットも、そろそろ「トランプ離れ」のタイミングか。3月14-15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切るかどうかが注目されるが、そのイベントとともに今度は3月15日のオランダの総選挙や、4月20日に期限となるギリシャ国債の償還(13.6億ユーロ)、さらには4月23日のフランス大統領選第1回投票といった「地政学リスク」にかかわる問題が次の焦点になっていく。
<景気敏感株の押し目狙い>
ただ、見落としてはならないのは、こうした欧州情勢の緊迫度が高まるほどに、日本の「政治的安定」が景気拡大につながる好材料として海外投資家から評価される可能性が高い、という点だ。2012年12月に安倍第2次政権が誕生してから4年3カ月。60%台という異例の高い支持率から読み取れるように、安倍内閣の政権基盤は盤石。政権5年目の日本株のパフォーマンスは良好、というジンクスが株式市場にはある。
セクターでは何を狙っていけばいいのか。1月高値をなかなか抜けない日経平均を尻目に、業種別日経平均で2月14-16日にいち早く昨年来高値をマークしたのは化学、石油、機械、電機、商社、保険、海運の7業種。景気敏感セクターは総じて押し目買い有利とみる。個別株では三井物産<8031.T>のもみ合いが煮詰まってきた。(赤間憲明・IFTA国際テクニカルアナリスト)
ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数など米国株のエネルギッシュな新値追いに付いていけない2月14日以降の日経平均株価のもたつきぶりを見て、「あれっ、何か変だ」と用心するのはよいにしても、そこから一足飛びに「再び全般急落に向かう兆しでは」と疑うなら、早とちりの警戒論というほかない。「常弱気、損得知らぬ大たわけ、貧乏神の氏子(うじこ)なるらん」とは、江戸時代の相場指南書で知られる「三猿金泉秘録」の一節である。
「株価の根っこ(ファンダメンタルズ)に揺らぎはない」。当欄では、連載第9回でこう強調した。上場企業の今3月期第3四半期累計決算の発表は前週で終えたが、今年に入ってからのドル・円レートや原油市況など収益環境を見る限り、4月下旬からの本決算発表時には通期計画値の超過達成企業が続出するだろう。
もっとも、気の早い向きからは「今期の業績は、株価にもう織り込み済み」との声が上がっている。ならば、アップトレンドが続きそうな来期の収益についてはどうか。少なくとも来上期の業績の相場的織り込みは、これから始まる。3-4月の上値余地は十分にある、とみる理由の一つだ。
トランプ氏が米大統領に就任してから1カ月が経過。トランプ氏の派手なパフォーマンスに振り回されがちだったメディアやマーケットも、そろそろ「トランプ離れ」のタイミングか。3月14-15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げに踏み切るかどうかが注目されるが、そのイベントとともに今度は3月15日のオランダの総選挙や、4月20日に期限となるギリシャ国債の償還(13.6億ユーロ)、さらには4月23日のフランス大統領選第1回投票といった「地政学リスク」にかかわる問題が次の焦点になっていく。
<景気敏感株の押し目狙い>
ただ、見落としてはならないのは、こうした欧州情勢の緊迫度が高まるほどに、日本の「政治的安定」が景気拡大につながる好材料として海外投資家から評価される可能性が高い、という点だ。2012年12月に安倍第2次政権が誕生してから4年3カ月。60%台という異例の高い支持率から読み取れるように、安倍内閣の政権基盤は盤石。政権5年目の日本株のパフォーマンスは良好、というジンクスが株式市場にはある。
セクターでは何を狙っていけばいいのか。1月高値をなかなか抜けない日経平均を尻目に、業種別日経平均で2月14-16日にいち早く昨年来高値をマークしたのは化学、石油、機械、電機、商社、保険、海運の7業種。景気敏感セクターは総じて押し目買い有利とみる。個別株では三井物産<8031.T>のもみ合いが煮詰まってきた。(赤間憲明・IFTA国際テクニカルアナリスト)