英国のテリーザ・メイ首相は17日の演説で、欧州連合(EU)から英国が離脱する道筋と、今後のアプローチの概略を説明した。主要ポイント5つは以下の通り。 1.単一市場からの撤退 メイ首相は、英国がEUの単一市場から撤退する方針を確認した。EU単一市場はEU加盟28カ国の全域でモノとサービスの無関税の移動を認めている。メイ氏はこれまで、欧州から流入する移民を管理することを望んでおり、欧州司法裁判所の管轄から英国を切り離したいと繰り返し述べてきた。EUはこうした措置が、4億4000万人のEU単一市場への拘束なき自由なアクセスと相いれないと述べている。 2.関税同盟からの撤退 メイ首相は、英国は欧州の関税同盟の義務項目から解放されるよう望むと述べた。欧州の関税同盟の下では、あらゆる加盟国は自国の二国間貿易協定の交渉が禁止されている。しかしメイ氏は、英国は欧州との関税なき貿易を望んでおり、国境を越えた貿易は可能な限り「摩擦がない」よう望んでいると述べた。メイ氏は「その意味するところが、完全に新しい関税協定に達しなければならないことなのか、何らかの形で関税同盟の準加盟国になることなのか、あるいはその一部の要素に署名国のままとどまることなのか、あらかじめ考えた立場をわたしは持ち合わせていない。それをどのように行っていくか、私は態度を決めていない」と述べた。 3.最終合意に関する議会の表決 メイ首相の演説には、EUからの「クリーンな(きっぱりとした)離脱」を連想させる要素が少なくなかった。例えば単一市場からの撤退方針だ。しかし、同首相はブレグジットの最終的な合意内容については英議会が表決するだろうとも述べた。それは親EU陣営が要求する主要項目の一つだ。議会が表決することへのコミットメント(約束)は、親EU議員たちが最終合意への発言権を増すかもしれないとの予想を再燃させた。 4.市場の反応 メイ首相の演説を受けて、英通貨ポンドは上昇した。同首相が欧州と若干の関係を保ちたいと希望し、最終合意で議会表決を計画していると述べたため、ブレグジットは投資家の予想ほど過酷なものにならないかもしれないと判断されたからだ。ポンドはこの日、対ドルで最大2.5%上昇、対ユーロで1.5%上昇した。ポンドは前日の16日、単一市場撤退への不安から31年ぶりの安値に落ち込んでいた。 5.悪い貿易合意なら、ないほうがまし メイ首相は、英国とEUが自由貿易協定で合意するのが「経済的にみて理にかなう」と述べ、その理由として、貿易が増えることは英国とEU双方で雇用と富の創出が増えることを意味するからだと語った。しかし、EUが懲罰的なアプローチをとるとすれば、それは「欧州諸国が自ら悲惨な損害をもたらす」行為になると警告した。そして、「英国にとっては、悪い合意よりも、合意無しのほうがましだ」とも述べ、仮に(EUとの間で)貿易合意がなくても、英国は競争的な税率を設定するのも、経済モデルを変更するのも自由なままだからだと語った。同首相は、英国との自由貿易協定で合意がなされなければ、それはEUにとって「世界の経済大国の一つ(英国)との貿易に新たな障壁ができる」ことを意味するとも述べている。
出典:時事通信
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