<特集>円高を織り込んでいる企業は? (1)=輸出企業中心に前提レートを厳しめに見直し
円高傾向が続いている。米国で17日に公開されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨を受け、米国の利上げペースが緩やかなペースにとどまるとの見方が強まり、それ以降はドル安・円高の流れ。投機的な動きもあって、18日には東京市場でも1ドル=99円台まで円高が進んだ。
しかし、その一方で株式市場は堅調さをキープしている。日銀のETF(上場投資信託)購入期待が相場の下支えとなっているうえ、先の17年3月期第1四半期(16年4-6月)決算では、輸出企業を中心に、通期業績の前提となる為替レートを円高方向に見直した企業も多かった。円高による業績の悪化はある程度織り込まれているとみていい。
もちろん、今後の為替動向については予断を許さない部分も多いが、前提レートを厳しめに見直した優良企業には、評価余地がありそうだ。
円高傾向が続いている。米国で17日に公開されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨を受け、米国の利上げペースが緩やかなペースにとどまるとの見方が強まり、それ以降はドル安・円高の流れ。投機的な動きもあって、18日には東京市場でも1ドル=99円台まで円高が進んだ。
しかし、その一方で株式市場は堅調さをキープしている。日銀のETF(上場投資信託)購入期待が相場の下支えとなっているうえ、先の17年3月期第1四半期(16年4-6月)決算では、輸出企業を中心に、通期業績の前提となる為替レートを円高方向に見直した企業も多かった。円高による業績の悪化はある程度織り込まれているとみていい。
もちろん、今後の為替動向については予断を許さない部分も多いが、前提レートを厳しめに見直した優良企業には、評価余地がありそうだ。
<特集>円高を織り込んでいる企業は? (2)=トヨタ紡織―円高方向に見直したうえで利益予想を増額修正
・トヨタ紡織(3116)に注目している。
17年3月期第1四半期(16年4-6月)連結決算時に、第2四半期累計(16年4-9月)と通期の連結利益予想を上方修正した。第2四半期以降の想定為替レートを円高方向に見直したうえで利益予想を引き上げており、評価したい。
第1四半期連結の営業利益は前年同期比28.0%増の159億8600万円。中国やタイでの増産が寄与したアジア・オセアニアに加え、前期に主力車種のモデルチェンジのあった北米・南米の貢献により、2ケタ増益となった。
第2四半期連結の営業利益予想を前年同期比15.3%減の235億円から同0.9%増の280億円へ、通期連結の営業利益予想を前期比11.8%減の525億円から同4.2%減の570億円へ引き上げた。第2四半期以降の想定為替レートは、1ドル=100円(通期は105円から102円へ見直し)、1ユーロ=110円(同120円から113円へ見直し)とした。
株価は、連結PER13倍台の2100円台後半で推移。昨年11月以降の三角もちあいが煮詰まりつつある。堅調な業績推移を背景に上放れが期待される。
・トヨタ紡織(3116)に注目している。
17年3月期第1四半期(16年4-6月)連結決算時に、第2四半期累計(16年4-9月)と通期の連結利益予想を上方修正した。第2四半期以降の想定為替レートを円高方向に見直したうえで利益予想を引き上げており、評価したい。
第1四半期連結の営業利益は前年同期比28.0%増の159億8600万円。中国やタイでの増産が寄与したアジア・オセアニアに加え、前期に主力車種のモデルチェンジのあった北米・南米の貢献により、2ケタ増益となった。
第2四半期連結の営業利益予想を前年同期比15.3%減の235億円から同0.9%増の280億円へ、通期連結の営業利益予想を前期比11.8%減の525億円から同4.2%減の570億円へ引き上げた。第2四半期以降の想定為替レートは、1ドル=100円(通期は105円から102円へ見直し)、1ユーロ=110円(同120円から113円へ見直し)とした。
株価は、連結PER13倍台の2100円台後半で推移。昨年11月以降の三角もちあいが煮詰まりつつある。堅調な業績推移を背景に上放れが期待される。
<特集>円高を織り込んでいる企業は? (3)=北越紀州―円高で原燃料価格が下落
・北越紀州製紙(3865)を狙う。17年3月期第1四半期(16年4-6月)の連結決算は売上高661億4800万円(前年同期比15.3%増)、営業利益35億7600万円(同2.8倍)と増収増益を達成。特に円高に伴う原燃料価格の下落が大きかった。
通期の会社計画は売上高2700億円(前期比9.4%増)、営業利益130億円(同40.7%増)。おもな増益要因は原燃料価格差、生産・販売、効率向上。なかでも原燃料の価格差が最大の増益要因としており、その影響は第1四半期決算に早くも出た形だ。期初の為替想定は1ドル=115円。現状が100円近辺で推移していることを考えれば原燃料価格の下落が一段と進み、業績を上方修正してくる可能性は高い。
株価は7月12日に年初来高値779円を付けた。ただ、その後は全体相場の調整から下落し、足元は650円近辺で推移する。好業績期待から押し目買いの好機といえるだろう。
・北越紀州製紙(3865)を狙う。17年3月期第1四半期(16年4-6月)の連結決算は売上高661億4800万円(前年同期比15.3%増)、営業利益35億7600万円(同2.8倍)と増収増益を達成。特に円高に伴う原燃料価格の下落が大きかった。
通期の会社計画は売上高2700億円(前期比9.4%増)、営業利益130億円(同40.7%増)。おもな増益要因は原燃料価格差、生産・販売、効率向上。なかでも原燃料の価格差が最大の増益要因としており、その影響は第1四半期決算に早くも出た形だ。期初の為替想定は1ドル=115円。現状が100円近辺で推移していることを考えれば原燃料価格の下落が一段と進み、業績を上方修正してくる可能性は高い。
株価は7月12日に年初来高値779円を付けた。ただ、その後は全体相場の調整から下落し、足元は650円近辺で推移する。好業績期待から押し目買いの好機といえるだろう。
<特集>円高を織り込んでいる企業は? (4)=日立建機―年初来高値を捉え、売り長で買い戻しの可能性も
・日立建機(6305)をマークしたい。同社は7月27日の17年3月期第1四半期(16年4-6月)の連結決算(IFRS)発表時に、市場環境は想定から大きく変動していないとしつつ、想定為替レートを円高方向に見直したことから、17年3月期の業績予想を下方修正。通期の売上収益を7000億円(前期比7.7%減)、営業利益280億円(同19.8%増)とした。第2四半期(7-9月)以降の想定レートは、1ドル=110円から100円へ、1ユーロ=120円から110円へ、1元=17円から15円に、それぞれ円高方向に見直した。現在の為替水準は、修正の想定内で為替による変動を受けづらいとみられる。
株価は、7月27日の業績下方修正を受け8月3日に直近安値となる1548円まで調整した。その後は、売り一巡感から下値を切り上げる展開が続き、同17日には1946円まで上昇。4月20日に付けた1960円を視界に捉える水準まで回復している。12日申し込み時点での信用取引残高は、売り残が110万5500株、買い残は20万9600株と大幅な売り長の状況にあり、日証金の貸借取引では逆日歩が発生。年初来高値の更新から売り方の買い戻しを誘う動きも期待される。
・日立建機(6305)をマークしたい。同社は7月27日の17年3月期第1四半期(16年4-6月)の連結決算(IFRS)発表時に、市場環境は想定から大きく変動していないとしつつ、想定為替レートを円高方向に見直したことから、17年3月期の業績予想を下方修正。通期の売上収益を7000億円(前期比7.7%減)、営業利益280億円(同19.8%増)とした。第2四半期(7-9月)以降の想定レートは、1ドル=110円から100円へ、1ユーロ=120円から110円へ、1元=17円から15円に、それぞれ円高方向に見直した。現在の為替水準は、修正の想定内で為替による変動を受けづらいとみられる。
株価は、7月27日の業績下方修正を受け8月3日に直近安値となる1548円まで調整した。その後は、売り一巡感から下値を切り上げる展開が続き、同17日には1946円まで上昇。4月20日に付けた1960円を視界に捉える水準まで回復している。12日申し込み時点での信用取引残高は、売り残が110万5500株、買い残は20万9600株と大幅な売り長の状況にあり、日証金の貸借取引では逆日歩が発生。年初来高値の更新から売り方の買い戻しを誘う動きも期待される。
<特集>円高を織り込んでいる企業は? (5)=東海理化―営業減益幅の縮小観測、割り負け感も
・東海理化(6995)は押し目買い候補になる。円高懸念がくすぶるなか、同社の第2四半期(16年7-9月)以降の想定レートは1ドル=100円、1ユーロ=110円。期初設定水準(順に105円、115円)から円高方向に見直された。これと比較すると、直近の為替相場は若干のドル高・円安で、3円強のユーロ高・円安になる。特に1ドル=100円想定は輸出企業のなかでも保守的レベルであり、一段のドル安・円高に進まない限り、採算悪化への不安も抑制されよう。
第1四半期(16年4-6月)の連結決算では、小幅減収ながら、営業利益は81億200万円(前年同期比10.4%増)と2ケタ増益を達成した。徹底した経費削減や、会社想定よりも円安水準で推移した結果、市場予想平均の60億円を上回る結果となった。為替差損に伴い経常減益だったが、最終損益については製品保証引当金繰り入れや減損損失の影響が消え、一気に黒字浮上した。
17年3月期の営業利益は260億円(前期比24.9%減)。想定レートを期初よりも円高に設定したうえで業績予想を据え置いた。大幅な営業減益見通しだが、第1四半期の順調な滑り出しを踏まえ、市場では減益幅縮小コースが観測されている。
株価は、第1四半期決算が発表(取引時間中)された28日に急動意を示し、直近戻り高値2022円を付けた。その後、上値は重いが、下値も堅く、出直り波動を維持している。ちなみに、売買単位は100株で、PBR0.8倍台、年間配当利回り3%超と割り負け感もある。
・東海理化(6995)は押し目買い候補になる。円高懸念がくすぶるなか、同社の第2四半期(16年7-9月)以降の想定レートは1ドル=100円、1ユーロ=110円。期初設定水準(順に105円、115円)から円高方向に見直された。これと比較すると、直近の為替相場は若干のドル高・円安で、3円強のユーロ高・円安になる。特に1ドル=100円想定は輸出企業のなかでも保守的レベルであり、一段のドル安・円高に進まない限り、採算悪化への不安も抑制されよう。
第1四半期(16年4-6月)の連結決算では、小幅減収ながら、営業利益は81億200万円(前年同期比10.4%増)と2ケタ増益を達成した。徹底した経費削減や、会社想定よりも円安水準で推移した結果、市場予想平均の60億円を上回る結果となった。為替差損に伴い経常減益だったが、最終損益については製品保証引当金繰り入れや減損損失の影響が消え、一気に黒字浮上した。
17年3月期の営業利益は260億円(前期比24.9%減)。想定レートを期初よりも円高に設定したうえで業績予想を据え置いた。大幅な営業減益見通しだが、第1四半期の順調な滑り出しを踏まえ、市場では減益幅縮小コースが観測されている。
株価は、第1四半期決算が発表(取引時間中)された28日に急動意を示し、直近戻り高値2022円を付けた。その後、上値は重いが、下値も堅く、出直り波動を維持している。ちなみに、売買単位は100株で、PBR0.8倍台、年間配当利回り3%超と割り負け感もある。
出典:株式新聞
※投資の最終的な判断はご自身でお願い致します。
このブログに掲載の情報は、投資を保証するものでは一切御座いません。
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