◇BARRON'S-日銀の悩みの種、それはアベノミクス(1)・(2) | 12/8Emergency発令「8/1510時看板犬ぽんたが13歳で心不全で他界。生き霊を飛ばしていた経験を天国でフル活用天国と地上と行き来自由!」

12/8Emergency発令「8/1510時看板犬ぽんたが13歳で心不全で他界。生き霊を飛ばしていた経験を天国でフル活用天国と地上と行き来自由!」

2月23日0時をもって、Emergency再発令。引き続きCOVID-19「非常事態宣言」。6月30日をもって、Emergency警戒に移行!

 投資家は日本銀行について間違った問いを投げかけている。黒田東彦総裁が今年追加緩和するかどうかではなく、それが役に立つかどうかという問いだ。

 黒田総裁が早ければ29日にも追加緩和に踏み切る理由は多い。しつこいデフレ、取るに足らない世界の成長、株式投資家の不安、なだめる必要のある政治家の焦燥感などだ。だが、そうすべきでない理由がある。日本の円安誘導策が裏目に出ているのだ。

 28日・29日の金融政策決定会合に対するこの逆説的な見方は、2012年以降で3割下落した円相場の好影響を無視しているように思えるだろう。確かにこの間、日本企業は最高益を更新し、外国からの旅行者が増え、つい先ごろまでは株式相場が押し上げられてきた。だが、こうした恩恵も日本全体を豊かにはしていない。企業は利益を労働者に分け与えてはおらず、インフレ期待は黒田総裁の言葉を借りるならば「いくらか弱い」ままだ。

 過去最も積極的な金融緩和の試みに対する成績表としては、素晴らしいものとは言えない。それでも、日本企業や緩和措置を許した政治家、投資家全般は、さらに同じようなことを望んでいる。なぜ政策効果がないかと言えば、企業経営者らがひそかに経費削減を通じて低迷する売り上げから利益の伸びを生み出す技を身につけたためだ。これが日銀にとって大きな障害になっている。

 こうした経費削減行動は欧米では必須のことだが、企業部門から日本の活性化を図る安倍晋三政権の戦略を難しくしている。アベノミクスの要旨を簡単に言うと次のようになる。政府は、円安にする代わりに、企業経営者が賃上げを行い、国内総生産(GDP)を高めるべく投資し、デフレが終わることを期待しているのだ。構造改革や規制緩和の議論は脇に置き、アベノミクスは昔ながらの近隣窮乏化策だと言える。

 だが、経営者らはこれを安倍政権の虚勢だとしている。現政権が打ち出した改革の柱は実現しておらず、企業経営者らは利益を配分せずに賃金を中心として経費を削減している。オリエンタル・エコノミスト・アラート誌編集長のリチャード・カッツ氏によると、日本の大手5000社の利ざやは1973年以降で最高の水準に達している。一方、大企業は供給業者からも搾り取っている。業者の大半は中小企業で、これらの企業も労働費用を切り詰めざるを得なくなっている。さらに、これらの内部留保により、新たな設備や施設、人材に投資する必要性が減っている。

 企業が選んだ戦略は、フルタイムの従業員をパートタイムにすることだ。こうすれば賃金を低く抑えられ、諸手当や訓練も少なくて済むし、簡単に雇用契約を解除できる。こうした運命は不釣り合いなかたちで女性に降りかかっている。だから日銀の現在の緩和措置は「企業利益を押し上げているが、経済全体の成長改善にはつながっていないのだ」とカッツ氏は言う。

 日本企業の新たな収益モデルは、安倍首相が再生させたい実体経済を空洞化させる恐れがある。もちろん、安倍政権の大きな間違いは日銀の緩和に全てを賭けたことにある。安倍政権が、労働市場の緩和や規制緩和、起業活動支援など供給面での変革を行っていれば、日本の生活水準が円相場とともに下がることはなかっただろう。この結果、黒田総裁は今週、かなりの板挟み状態に置かれている。追加緩和をしなければ市場の失望を呼び成長を減速させたと非難を浴びるが、さらに緩和すれば日本経済が長期的に道から外れることになりかねない。

 安倍政権は早急に企業行動を動機づける構造を変える必要がある。現在、安倍首相は30年前の企業構造を再生させようとしている。当時の日本は、産業の競争力を活性化するために円相場を利用することができた。だが、グローバル化により、徐々にだが確実に政府が企業行動をけん引する力は失われた。アベノミクスがしていることは、経営者が分配する意欲を欠いているにもかかわらず、企業の金庫を現金で満たすことだ。

 簡単に言えば、安倍首相が呼び戻したかった活力は、円安で弱められている。ソニーを例にとってみよう。15年たったいまも、米アップルのiPod(アイポッド)にしかるべき対抗策を打ち出していない。iPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)に至っては言うまでもない。それでもソニーは利益を上げている。世の中を変えるほどの新たな装置で世界を驚かせたためではなく、為替レートを通じてだ。ソニーの平井一夫社長にとって、同社の創造性の回復はいまや緊急性が薄れている。日本企業が生産性向上と新機軸を必要としているときに、同じような自己満足がはびこる恐れがある。

  いまにして思えば、安倍首相が強い円にこだわっていれば、日本はもっとうまく行っていたかもしれない。円高だったならば、日本の経営者らも不利な為替レートを再建のきっかけとしたドイツに見習わざるを得なかっただろう。急成長する海外市場に進出し、より大きな世界の購買力にはたらきかける意欲を経営者らに与えることもできただろう。

 それでも、中国の問題を一因として、黒田日銀総裁が今週追加緩和する見込みはある。総裁は先週末の世界経済フォーラム(ダボス会議)で、中国に人民元相場を防衛する上で資本規制を活用するよう提案して注目を集めた。ここ数年、各国は中国政府に対し、為替レートを市場本位にするよう求めてきた。だが現在、元安が円高につながっている。証券会社ミント・パートナーズのマーティン・マローン氏は、「日銀は中国の直近の緩和策に、マネタリーベースのさらなる拡大で対抗する必要がある」と指摘した。

 だが、日銀がまたバズーカ砲を放っても、安倍政権下での企業の考え方は変わらないだろう。どこからみても、1月25日に始まった賃上げをめぐる労使交渉は期待はずれに終わるだろう。コンサルタント会社テネオ・インテリジェンスのトバイアス・ハリス氏は、「大手経営者らは賃金交渉に向けて、2015年よりも大幅に悲観的になっている」と言う。その昨年の賃上げも、かなり忘れられがちな程度のものだった。

 このため、企業ができるだけ多くの業務契約をパートタイムに変えようと急ぐ中、安倍首相は「同じ仕事には同じ給料」を求めている。だが、改革を金融政策に頼る安倍政権の姿勢こそが、企業経営者のできるだけ賃金を抑える行動につながっているのだ。皮肉なことに、アベノミクスは目標とは反対方向に企業の考え方を変えるきっかけとなった。確かに日銀が追加緩和する可能性はあり、おそらくそうなるだろう。だがそれで何が本当に変わるのだろうか。

出典:時事通信


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