ジョン・コルトレーンとレスター・ヤングがとんかつを食べに行った。レスターがジョンに「豚カツには何付けて食うの?」と聞くとジョンは「ソルトレーン。あなたは?」と答えた。レスターヤングは「ウスターヤング」と返した。
ジョン「じゃあ焼きそばは勿論、、」
二人「ペヤング!」
会話を横で聞いてた店長の反応は
「ずっコーン」
であった。尚、冒頭の写真は自作の焼うどんである。春キャベツと鶏のオイスターソース炒め
を作った後の汁を使用。まさい。
うがみやびらん。
レスターヤングは、アメリカのサックス製造を盛り上げた製作所であるコーン(C. G. Conn)の楽器を使ってました。楽器を斜めに構えて自分の首も傾けてる写真が有名なんじゃないでしょうか。
先日マウスピースの試奏の為に訪ねた楽器店にコーンの楽器が2本あったので試奏して来ました。
まず一つ目は、レスター・ヤングやチュー・ベリーが吹いたニュー・ワンダーという機種です。1920年代の楽器。
この個体の塗装は管体が銀サテン、部品が銀メッキ仕上げで、ベルの中だけ金メッキです。
ベルの音孔が左右に一つずつあります。この構造はスプリットとかバタフライとか呼ばれてますね。左右に音孔があるので、彫刻は主に正面にあります。様式はアール・ヌーヴォーです。いつまでも見ていたい美しさ。
二つ目はニュー・ワンダーの後継機種である10Mを高級仕様にした30Mです。
塗装はラッカーですが、サイドレバーやテーブルキイ、オクターブキイ等の「貝の嵌め込まれた丸いボタン以外の、手や指が触れる部分」が全て銀で塗装されてます。高級機種!
ベルの音孔は二つとも奏者から見て左側に寄ってます。サックスを発明したアドルフサックスの工房の製品でもセルマーでも、1920年代より前に作られた楽器でこの仕様の物が既にあったのになんでコーンや他のアメリカのメーカーは1920年代までニューワンダーみたいなスプリット式を作り、しかしその後でもっと古い筈の左寄せ式を採用した(いわば時代を遡ったように見える事をした)のか疑問だったんですが、どうやらアドルフサックス工房が左寄せ式の特許を持ってたからのようです。その特許の範囲や期間のせいでアメリカでは左寄せを作れなかったと。宮崎真一さんの説明に詳しく書いてあって面白い。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2981091071955248&id=100001631542294
音孔が奏者から見て左側に集まってるので、彫刻は主に右側面に施されており、様式はアール・デコに変わってます。10Mと共通の模様で、五角形の中に女の絵がありますがこの個体では髪付近のラッカー塗装の剥がれ方によってガングロギャルみたいに見えますね。
知人の範囲内だと上運天淳市さんとか後関さんがニュー・ワンダーを使ってるんだけど、30M使ってる人は知らない。知人の知人まで範囲を広げると、右近茂さん、田中邦和さん、バドミントンプレイヤーでありギタリストのゲニーさん(JAZZOFFというYouTube動画シリーズが面白い)のバンドのサックス奏者の方とかもニュー・ワンダーです。ほんとに30Mは見かけない。
上記の二本を同じマウスピースで吹き比べてみました。
https://www.instagram.com/p/B951nEnl0RC/?igshid=1gsa1v1skul0d
ニューワンダーの方が相対的に木管的で素朴、30Mはチェロみたいな響きで華やかな艶があるように聴こえます。両動画に共通するのは、奏者が上達を要するというところでしょうか。
私は30Mの方が好みでした。今後も10Mか30Mで塗装が完全に残ってるやつを見付けたら試奏したい。
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【4/23(木)菊地成孔song-XX】
@名古屋Blue Note
【5/28(木) Septeto Bunga Tropis】
@荻窪Rooster