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流石に勘弁してくれよ。と思っていたその日がついに来てしまった。

12月26日、ヤマハ渋谷店が閉店。
あの紫の看板が見えてくるのを楽しみにしながら道玄坂を登る時の気持ちは、渋谷店で初めて間近にサックスを見た小学生の時から今に至るまで全く変わらなかった。

大手楽器メーカーの直営店で(まあ厳密にはヤマハミュージック東京という子会社を挟んでるけど)、

・サックス棚のまるまる半分、マウスピース棚の4分の3くらいがジャズ用ビンテージ
・店員さんにもそのスジのオタクが居る(店員の綺麗なお姐サマが1912年製のホルトンのアルトサックスの前で「このコは一体いつお嫁に行くのかしら・・・」と呟いていた。等)。
・そして話が長い。私もだけど。

というのは、結構特別だったんじゃないかな。大昔の管楽器フロアのボスの趣味らしい。


ジャズ対応の楽器店は数あれど、私にとっては渋谷店こそが原点であり故郷でした。マウスピース選んでたら閉店時間過ぎちゃって裏口から出してくれたとか、世間話(○○さんは酒で肝臓壊した事あるとか、私がヘルニアになったとか、○○さんは独身だけど年上の美人彼女と旅行に行ったとか、○○さんが楽器修理学校時代の同期と結婚したとか、ありとあらゆる話。ここに書けないようなイカレた話もw)が長引いて一回の平均滞在時間が一時間超だったとか、思い出はたくさんありますが、全てに共通するのが、その度に「ああ人生そう悪くないかもナ」という気分になっていたという事。一歩引いて見りゃ店でお金出して物買ってるだけなんだけど、不思議なもんで、はっきりと心に影響していた。それくらい私が単純だったとも言うw


でまる(駒場の軽食屋)で貰って来た売れ残りのたこ焼きを青学に持ってこうとして、調整に出していたコーンのアルトサックスを回収しに立ち寄った渋谷店に忘れ、

「あのー さっきたこ焼き忘れた高井ですけど、今から取りに帰れないんで皆さんで召上って下さい」

と電話した。という話は後々まで語り草になったなあ。
「あの時丁度みんなオナカ空いてて、ワーまだあったかいとかいって喜んで食べたんですよー」
とか、
「たこ焼きの恩義がまだ続いてるから」 といってちょっとした修理をタダでやってくれたり。


最後にシャッターが閉まる時は大観衆・大喝采でした。

今後一生、渋谷に行く度に必ず渋谷店の事を思い出す。それはそれで価値がある。
頼りにしてた店員さんの大半も東京都内(というか渋谷よりウチに近い所)に異動になった事だし、まあ良しとしようか。渋谷店で学んだように、人生そう悪くない訳だし。

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