マン・オブ・スティール | 酔いどれぐっちの酒と映画と音楽と…

マン・オブ・スティール

を観てきました。


いや~、エラい疲れる映画でした。


内容はもう説明の必要が無い、あの「スーパーマン」の前日譚といったところで、惑星クリプトンから地球に辿り着いたクラーク・ケント(本名カル・エル)が、いわゆる「スーパーマン」となるまでをエラい大真面目に描いています。

まあ、監督のザック・スナイダーはともかく、製作がクリストファー・ノーランという事でシリアスで辛気臭いスーパーマンになるんだろうなぁとは思っていましたが、ホントにその通りで参りました。

でも、つまらないかと言うとそういう訳ではなくて、この映画を「スーパーマン映画」としてではなく、「スーパーマンという名のアクション映画」という感じで観れれば結構(人によってはかなり)楽しめるかと思います。

ストーリーも過去のスーパーマン映画の1作目冒頭と2作目に出てくるゾッド将軍の設定をちょっと拝借している程度で、ほぼオリジナルストーリーですしね。
(過去のスーパーマン映画と比べた場合です。アメコミは読んだ事が無いので、アメコミのストーリーには忠実なのかどうかは分かりません。あしからず)

ただ、自分は小学生の頃からスーパーマン映画に馴染んでいるので(1作目から4作目まで全部観ていて、しかも2作目は何故か映画館で観てました)、どうしても違和感が拭えませんでした。

やっぱり「スーパーマン映画」は、ちょっとコメディチックな要素があってこその「スーパーマン映画」だと思うんですね。
この「マン・オブ・スティール」はそういう要素が全くと言っていい程ありません。
(映画のラストではニヤリとさせるシーンもあるんですが、これは映画「ダークナイト・ライジング」のラストと同じ感じでニヤリとしてもコメディチックな感じではないんですよ)

スーパーマン役のヘンリー・カヴィルは好演しているんですが、ボディビルダーみたいなガタイが「鋼鉄の男」とはいえ、「何か違う」感じを受けてしまいます。
しかもスーパーマンのコスチュームもあの「赤パン」を無しにしているので、シリアスなのは良いんですが妙な堅苦しさも感じてしまいます。

助演陣の方は唯一の例外を除いて本当に良い演技をしていて、スーパーマンの本当の父親役ラッセル・クロウは自分的には「大丈夫かいな?」と心配していたんですが、スーパーマンの本当の父親役を違和感無く演じていました。

スーパーマンの地球での養父母役はケヴィン・コスナーとダイアン・レインが演じているんですが、ケヴィン・コスナーがエラい渋くなっていて、一時期は嘲笑の的になっていた事が嘘のような渋さを発揮しています。
ちょっと見直してしまいました。

ダイアン・レインも良い歳の取り方をしてる感じで母親役を演じているんですが、リアルタイムで映画「アウトサイダー」や「ストリート・オブ・ファイヤー」等を観ていた自分としては、「当時中高生だった俺が今は40過ぎのオッサンなんだから仕方無いよなぁ」と映画の内容と全く関係の無いところで思いを馳せてました。

で、唯一の例外だったのがゾッド将軍を演じたマイケル・シャノンで、将軍という程の風格も無くただの暴れん坊にしか見えないのが残念でした。
(自分の場合は旧スーパーマン映画2作目でゾッド将軍を演じたテレンス・スタンプの印象が強すぎるのもあるとは思いますが)


アクションシーンの方は、監督のザック・スナイダーらしさが全開の、CGを多用した大迫力シーンに仕上がっています。
ザック・スナイダーは「魅せる画作り」がホントにうまい監督だと思いますね。
同じくCGを使っていたのに全然迫力を感じなかった映画「パシフィック・リム」(過去日記参照)とは比べ物になりません。

ただ、サービス精神が旺盛なのか、ラストの方ではCGアクションシーンがつるべ打ちみたいな感じで畳み掛けてくるので、川崎のIMAX3Dで観たせいもあるのでしょうが途中で「もうシンドイから勘弁してくれ」と思うくらい疲れてしまいました。

今まで映画を観ていて、途中で疲れて「止めてくれ」と思った事など無かったのでちょっとショックでしたが、上映時間が約2時間半ある上にラスト近くで大迫力CGてんこ盛りじゃあ流石にシンドイよなと自分を納得させてたりして。

もし、この映画を劇場で観るつもりでしたら、映画を観る前にカツ丼とかステーキを食べて体力を付けてから観る事をオススメします。
スーパーマン映画に特に思い入れの無い人でしたら、十分楽しめると思いますよ。
DVDレンタルが出たら新作料金で観てもそんなに損はしないかとも思います。



追伸

この日記を書くにあたって、映画「テッド」で「ダメな方のスーパーマン(笑)」と言われていた、Xメンシリーズ等のブライアン・シンガーが監督した「スーパーマン・リターンズ」を観てみました。

面白いかというと「う~ん…」という感じですが、「スーパーマン映画」としては「マン・オブ・スティール」より「スーパーマン・リターンズ」の方が正しいと思いました。