デキナイ息子と壺のハナシ(統一協会じゃありませんよ) | 奥歯にものは挟まずに

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認知症の義母をきっかけに、ふざけたブログを書き出して、
義母を見送りました。
イケてて笑える(笑われる)ババアを目指して、日々の暮らしを綴ります。

息子がここ数日、仕事というか、人間関係の愚痴を言う。


先日は、

息子いわく、

悪い人ではないが、

ズバッとモノを言う上司(女性)に、

「どうして○○(←息子の前職)を辞めたの?

辞めさせられたんじゃないの?」

と聞かれ、

ものすごく腹が立ったそうだ。

息子は腹が立つのを堪えて、

「自分から辞めたんです。」

とだけ、

答えたそうで、

その苛立ちを私に愚痴った。



今日は私が帰宅すると、

息子は自室に服を脱ぎ散らかして裸でベッドに寝ており、

「晩御飯は食べるの?」と聞いた私に、

「しばらく寝かせて。疲れた。」

と言うので、

ははぁん、これはまた何か仕事でイヤなことがあったな、

と思ったワタシは、

自分のぶんの夕食を食べてビールを飲んで、

「ゴチバトルの料理、チョー美味そう。」などとお気楽に過ごしていた。


息子が起きてきて、

今日は、

息子が働く施設の建物のトイレが詰まりがちになり、

「トイレが詰まるのもまたオレのせいかよ、ってムカついてるねん。」

と言う。


息子はそれなりの事情で紙のハンドタオルをトイレに流したこともあったそうで、

ワタシは、

「そらあかんわ。

アンタが何に傷ついてるのかわかるけども、

(息子は自分が仕事ができないということに傷つき、怯えている。)

誰に責められたとしても、

『絶対自分じゃない』と言い切れる行動を取るしかないねん。

それしか自分を守る方法はないで。

自分の心は自分の行動で守るねん。」

と息子に言った。


息子は、

「いや誰も、『お前のせいでトイレが詰まった』って責められたわけじゃないんやけど、

頑張ってんのにどうしてうまくいかんのかなってイラつくねん。

こんなに頑張ってんのに。」

と言う。

そしてムカついている空気を、家に醸し出す。


わかるけどさ。

息子の気持ちもわかるけど。


食事を済ませて自室に行った息子を追いかけて、

ワタシは厳しめの口調で息子に言った。


「あんたは誰に何を言われようと、

自分だけは、

自分も、

自分以外のデキナイ人も、

バカにする人にはなるな。」


息子は、

「なんでオカンに怒られなアカンのや。」

と不服そうだったので、

「腐ってるからやんか。

腐ってんのカッコ悪いで。」

とだけ言った。



息子がデキナイ人であるのは事実だと思う。

だけどもな、

間違いを改めて、

愚直に頑張っている人をバカにする人は、

人として卑劣だ。


そして息子は気がついていないが、

誰よりも自分自身をバカにしているのだ。

デキナイ自分を、

自分でバカにしている。

だから傷つくし、

腐る。


息子はいつ気がつくだろうか。


人より劣っていることは悪いことじゃない。

しようがないことだ。

悔しいし悲しいけれど。

誰にだって人より劣っているところはあるだろうよ。


だけれども、

それをバカにする心が、

卑しい心なんだよ。



息子の会社の社長(女性)は、

子供さんが重度の障害児だったため、

障害児が安らかに過ごせる場所を作ろうと、

この息子の働く施設を立ち上げた。


息子が入社して、

自分がデキナイ人であることに怯えている息子に、

社長はこんな話をしてくれたそうだ。


水汲みをする男がいて、

天秤に壺を2つくくりつけて、

毎日水を汲んでいた。

ところがひとつの壺はひびが入り、

水は漏れ、帰りつくころには、ほとんど残っていない。

ある時、壺は男に詫びた。

(↑壺はしゃべりますw)

「私はもう壺として役に立ちません。

どうか私を捨てて、新しい壺を用意してください。申し訳ありません。」

男は、

「壺さん、あなたのそのひびが良いのです。

あなたが水を漏らすから、私の歩く道の草に、水をやることができるのですよ。

見てごらんなさい、この道の生き生きとした草を。

あなたは充分に役に立っているのです。」


こんなハナシをしてくれたそう。



全く息子は、

社長の素晴らしいお話を、

どうしてまだ理解できないのかしらね。


誰もがみんな、

ひびの入った壺だわよ、

ねえみなさま。

そして誰もがそのひびを慈しむ社会でありたいと思いません?


え?

自分だけはピカピカのチョー役に立つ壺だって?

ワタシ、あんた嫌いだわ〜。

ワタシが割ってやるっ。

とりゃっ。

(↑ケリを入れる音。)