ナオヤのじーさん、
が、
自死したのを聞いたのが、
もう15年は前のことになるだろうか。
ワタシは、6歳から、父が亡くなった10歳まで、
海のすぐそばの父の実家で、祖父祖母、(父は船乗りで滅多に家にいなかった。)母、兄、弟と暮らしていた。
その父の実家の隣に、
ナオヤくんという男の子がいて、
(確かワタシよりひとつ年下だったと思う。)
弟と同い年の子供もいた。
ナオヤくんのお父さんも、あまり家にいない職業だった気がする。
ナオヤくんの家も、
当然、
祖父祖母、母もいた。
この祖父と母が、
折り合いが悪く、
母=ナオヤのかーさん、
は、
サッパリした気性のチャキチャキした女性で、
ナオヤのじーさんは、
寡黙で厳しい感じの人だったと思う。
ばーさんが先に亡くなって、
ナオヤとその弟は成長して家を出て、
じーさんとナオヤのかーさんが家に残されたんじゃなかったか。
ある時じーさんは、
入水自殺をしたのだ。
海に自分で入っていき、
自死したんだそうだ。
どういういきさつがあったのかはわからないし、
ワタシの母から聞いた話で、
その時詳しく話を聞いていないのだが、
たぶん、
このナオヤのじーさんは、
嫁に世話になるのがイヤで、
もう80は過ぎていたと思うのだが、
自死したようなのだ。
…
ナオヤのじーさんスゲェ。
どんだけ嫁がキライやねん。
どんだけ気概あるねん。
ワタシがあの世に行ったなら、
このナオヤのじーさんに、
ちょっとインタビューしてみたい。
キライなヤツの世話になるのが耐えられなかったのですか?
と。
それとも他に、
老いてゆくこととか、生きているのがイヤになる原因があったのですか?
と。
黙ってたって、
そんなに老い先長くなかっただろうに。
(そうとも言えないのかしら?
人生100年時代なら、あと20年もある…。)
ナオヤくんやそのとーさんかーさんにも、
どんな気持ちでしたか?
と、
聞けるものなら聞きたいが、
これもまた、
あの世に行ってからでないと、
聞けるわけもない。