気が早い嫁 | 奥歯にものは挟まずに

奥歯にものは挟まずに

認知症の義母をきっかけに、ふざけたブログを書き出して、
義母を見送りました。
イケてて笑える(笑われる)ババアを目指して、日々の暮らしを綴ります。

お義母さまのお見舞いと、お義母さま宅近くの銀行で、入院代を振り込んできた。

お義母さまは良くない感じ。
横になっていて、目は開けていたが、
しんどそうにぼーっとしている。
話しかけると、ちゃんとした会話になるのだけれど。
認知症は、お義母さまの場合、事実誤認くらいで、そんなに進んではいない。
ワタシが嫁のsioeちゃんだとわかっている。

モニターは、
心拍数80
血圧110/50
酸素は98
呼吸数20
くらい。
数値としてはそう悪くはないのだろうが、
しんどそう&眠そうだ。
昼ご飯が出された様子はない。
吸い飲みとコップがテーブルに置かれていた。

ポート(点滴を簡単にするための穴)はまだ作っていないようだが、
食べないものだから、
栄養を含んだ点滴は、
入院当初、11月13日からずっとしている。

ワタシは何を喋ったらいいか困ってしまった。
お義母さまは少し寒いと言った。
枕の横にはアイスノンが置いてある。
額もワタシの手より熱かったし、少し熱があるのだろう。

顔をシートで拭き、乳液を手のひらで温めてから塗った。
目の周りが薄く、紫のような赤いような。
手をさする。
右手だけ浮腫んでいる。
足の甲は、入院してからずっと浮腫んでいる。
ワタシは布団の上から、腕や太ももや脛をさすった。
話題はなく、
ワタシは、
血流が良くなると、あったかくなるといいねぇ。
と呟いた。

ベッドにさげられた尿の袋の中の色が濃いなぁ。

仕方のないことなのだよな。


「お義母さん、何か食べたいものある?」
「とくにないなぁ。」
「私に何か頼みたいことはある?」
「…ないなぁ。」

ICUの30分の面会時間は短い。
ワタシは、
またくるからね、
ゆっくりしていてね、
と声をかけると、
自宅で過ごしていた頃のように、
ありがとぅ、
と可愛らしく言った。
お義母さまはそのまま目を閉じた。


その足でお義母さま宅の最寄りの銀行に向かう。

事前に旦那が行員にかけあって約束している。
お義母さまが銀行に出向かなくても、入院費用をお義母さまの口座から支払うことを了承してもらったのだ。
お義母さまはカードを作っていないから、この口座から勝手に引き出すのは少々面倒なのだ。
お義母さまの入院費用の証明を見せて、お義母さまの口座から病院に振り込みをした。
個室代5000円×14日ぶん=70000円と治療30000円ほど。
個室代は大きいわ。
でも、もう個室代を払うことはないかもしれない。
ICUから出られるかわからない感じだ。

そして主人のいないお義母さま宅へ行って、郵便受けに溜まったチラシなどを回収して、
お義父さんに手を合わせてきた。
お義父さん、頼んだよ。
しかるべき時に、
優しく妻を迎えに来てよ。


お義母さま、
ワタシと無理に話さなくてもいいよ。
お義母さまの手は、
綺麗な形をしているね。
娘(お義母さまの孫)の手と、よく似ているよ。

それがいつかはわからないけど、
お義母さま自身が、
痛くなくしんどくなく苦しくなく、
さみしくなく悲しくないお迎えが来ることを、
ワタシは願っているよ。

ワタシは魂は生まれ変わると信じていて、
もしかしたらお義母さまの魂とワタシの魂が、
またどこかで巡り会うこともあるだろうけど、
巡り会ったとしても、
絶対に、
あの時のあの嫁だ、
とか、
お互いわからないはずだ。
だからさ、
お互い、
この体、この考え方、この生まれ育ちで、
ワタシがワタシで、
お義母さまがお義母さまで、
縁があったこと、
嫁姑であったことは、
きっとかけがえのないことなんだろうね。


おっと、
なんだかもうアカンような口ぶりだわ、ワタシってば。
まだまだかもしれないじゃないの、
いやぁねぇ、オホホw

気が早いわっ。
と誰か、
誰かって誰だろう、
に、
叱られそうな嫁ですわ。