残り少ない時間なはず | 奥歯にものは挟まずに

奥歯にものは挟まずに

認知症の義母をきっかけに、ふざけたブログを書き出して、
義母を見送りました。
イケてて笑える(笑われる)ババアを目指して、日々の暮らしを綴ります。

とある場所に旦那と行ってから、お義母さまのお見舞いに行った。

お義母さまの病室は4人部屋で、ひとつベッドが空いていた。
1人は口を開けて寝ているおばあさん。
1人は白髪だけれど、お義母さまよりは若そうな方。
シンキクサイ、
という表現がピッタリだよね、病院だもの、高齢化社会だもの。


お義母さまはウトウトしていた。
旦那が選んだお花のアレンジメントを差し出す。
来てくれたんかぁ、
とお義母さまは嬉しそう。
意識、会話は、入院前と同じくらいだ。
見た感じでは、この部屋で1番元気そうなのはお義母さまだ。

お義母さまは、
三度さんど食事が出る、みんな良くしてくれる、庭の草むしりをして過ごしている(←これは事実誤認だが、ご愛嬌。)
と話す。
点滴は1リットルの、黄色いもの。
導尿もしているが、それなりの量の尿は出ている。
とろみのついたお茶があった。


お義母さまは間違い探しをしている!
サイドボードに、
右の絵にあって、左の絵にないものは何でしょう?
というカラフルなプリントがあり、
ひとつひとつ○をつけてあって、正解している。
お義母さま、すごい。
やっぱりお義母さまはすごいや。

いろんなハナシをしながら、旦那とワタシとで、
さりげなく聞く。
会いたい人はいないか、
食べたいものはないか。
どちらもないって。
兄弟たちはみな年寄りだから、お見舞いはいいって。
食べたいものは思いつかないって。

手足はまずまず暖かい。



医師がやってきて、

よくここまで持ってきたと思いますよ、
今の状態では転院などは無理です、ヨソでは見れませんから、安心してください、ウチはすぐに出しません、
ご本人さんのがんばりしだいです。
食事量がかなり少ないです、
好きなものを食べていただいて結構ですよ。

と去って行かれた。

ワタシは持ってきたキャラメルを、お義母さまの口にひとつ入れた。
お義母さまは美味しいともぐもぐしていた。
残りは戸棚にしまった。


心臓だもの、急変はいつ起こるかわからない。
お義母さまは、目の周りが薄く赤い。
むくみはないが、手が、ろうのように透き通った感じになり、青白い。
(↑これ、ヤバイ感じらしいですよ、終末期の人の手の感じだそうです。)

ワタシはお義母さまの顔を拭いて、乳液をつけた。
(先日100均で買ったシートと乳液w
金額じゃないっ。ココロだ、こころw)
お義母さまは目をつぶり、なすがままにされている。
左の、胸の高い場所から赤いコードが伸びている。
モニターがついているのだな。
部屋にはないが、ナースステーションにモニターがあるのだろう。

ワタシが歯ブラシを買いに売店に行こうと、エレベーターを待っていると、
看護師?介護士?
青い制服の方が、
○○さんのご家族の方ですか?
○○と申します。
と名乗り、
お義母さまが食事量が少ないことを心配されていた。

みなさん親切だ。
お義母さま、安心して過ごせそうだね。

帰りにナースステーションに寄り、事務の人(制服が明らかに事務服)支払いはどうなっているか聞いた。
ワタシは、本人には見せないようにしてくださいとお願いしておいた。
お義母さまにお金関係の心配をさせたくないもの。
実際心配いらないし。
ヤらしいハナシだが、
たぶん施設より、病院のほうが安い。

お義母さまは、
私はあんたたちだけが頼りだ、
と、
穏やかに言った。
また来るね、と言うと、
入院前の1人暮らしだった時とは違い、
もう帰ってしまうんか?
とは言わず、
また来てね、と言った。


お義母さま、
美味しそうな、食べやすそうな、好きそうなものを持ってお見舞いに来るから。
食べてよ。


お義母さま、
あなたの孤独、あなたの後悔、
ワタシが癒せる部分があるなら、
ワタシするからさ。
縁あって嫁にきたからさ。

残り少ない時間だと思うから。


残りたっぷりの時間なら、

慌てることはない、

残り少なくなるまで、

いがみあっていてもいいと思うw