お義母さまが、ベッドの横にある、緊急連絡装置のボタンを押して、
「宅配弁当の人にえらい扱いをされた。もうお弁当はいりません。」と訴えたのだそうだ。
女性は、知っておかれたほうが良いと思って電話しました、
と、親切丁寧であった。
ワタシは、
部門違いですよね、すみません、ありがとうございます、と言っておいた。
あのボタンは、そういう困りごと相談のボタンじゃないんだけど、
いかんせん認知症だものな。
お義母さまは、なんとなーくだけれど、
疑いながらだけれど、
役所がタダで弁当をくれると思っているし。
(どケチのお義母さまだから、ワタシ達夫婦でそう思わせた。)
宅配弁当は、いつも女性の配達員がテーブルまでセットしてくれているのだが、
お休みだってあるだろう、
そういう時は、店主の男性、声からすると60代くらいかな、
が、配達してくれるのだが、
どうもお義母さまと相性が悪いらしい。
数日前にも、お義母さまはそういったことを言っていた。
しばらくするとお義母さま自身から電話がかかってきた。
やはり宅配弁当のことで、
要約すると、
この配達員が、
「まるで私が、ウソをついて、(がめつく)タダで弁当をもらっているかのように置いていくのだ。」
と、
怒りというよりは、落胆に近い話しぶりだった。
そして、
「息子(旦那のことよ。嫡子の長男。)が銀行にお金を引き出しに行ったんじゃないのか?」
と、
決めつけではないマイルドな物盗られ妄想をしゃべり、
「もういいわ、
立って電話するのも足がふらふら」
と言って電話は切れた。
ワタシは宅配弁当の店舗に電話をかけ、留守番の人に、やんわりと、認知症ならではの被害妄想と伝え、忘れるまで、とりあえず、明日は配達しないでくださいと伝えた。
すると店主の方から、我が家に電話がかかってきた。
「私が配達しました。
エアコンがついていなくて暑いから、エアコンをつけてね、と言っているのですが、それが気に触ったんですかね。
役所に連絡されるのは非常に困るんです、こちらも役所との繋がりもあって、評判で仕事をしていますのでねぇ。
しばらく中止にしましょうか。」
「ずっと中止にされるのも心配なんです。
ヘルパーさんに全ての調理を頼むのも無理がありますし、目の前に置かないと食べないので。
忘れた頃に配達していただきたいのですが。」
「ではまた連絡があるまで中止にしておきますね、お盆中は私が配達に行くことになりますし。」
「はいよろしくお願いします。」
てなやりとりをした。
旦那と息子も途中で帰宅したので、お義母さまの様子を相談した。
旦那と息子は、この宅配弁当の店主のことを、
「あまりよろしくない人なんだと思うよ、
経営とホスピタリティは違うからなぁ、
認知症は、意外と、人の本質みたいなところを見ているよ。」
などと言っていた。
うん、それもあるかもしれないけど、
認知症って、
いや人って、
思い込みが強い生き物だからなぁ。
ちょっとしたしぐさ、態度だけで、
コイツはイヤなヤツ、って決めつけてしまうのも危険だわよ。
ワタシはケアマネにも電話で報告、相談しておいた。
ケアマネも、これといって打つ手はないようであった。
まあお義母さまはアメチョコキャラメルが主食だ。
それだけは、ご自分で食べる。
そして「電話がまだできるから少し安心ですよ」
と、
「家にいたいという気持ちが強い方だから、いたしかたない」
という話で電話は終わった。
いたしかたないのよ。
ワタシは仕事を辞めたけど、
同居はキツイし、
毎日往復4時間かけて世話をする気にもならないし、
(コスパ悪すぎ)、
心臓の悪いお義母さまをほったらかすのは心苦しいが、
素直に入院なんてしないんだから。
入院したって一緒だものね。
87歳認知症に手術を施すてか?
かーみーさーまーっ。
あんたほんと、どSだろ?
神さまはたちが悪い。
え?
ワタシが早くラクになりたいから、神さまのせいにしているんだろうって?
うーん、
それはかなりあるなw
嫁は、心からの心配はできないわよっ。
気楽に生きていきたいだけよっ。
苦悶の表情で息絶えたお義母さまには会いたくない。
安らかな顔のお義母さまを見送りたい。
それはワタシの勝手なんでしょうかね。