息子が身支度をしているのを横目で見ながら、
アタシは、
「寒いし、帽子かぶって行ったら?」
(息子は脱毛症でつるっぱげ)
と、
つい言ってしまった。
とたんに不機嫌になる息子。
やっぱりまだ脱毛症は地雷なのね。
息子は、
「オカン、本心は、寒いからじゃなく、ハゲを隠せと言いたいんやろ。」
バレてるかーっ。
あのさ、人はめずらしいものをジロジロと見てしまうんだよ。
一緒に歩く彼女への思いやりだと思うんだけどな、アタシは。
真冬にニット帽かぶってるのは自然じゃないの。
(アタシ自身だって顔にアザのある人だし、
化粧をして隠すのは、
ある意味、人に対する気遣いなのだよ、息子よ。
もう1人でどすっぴんで出かけてしまう開き直りを手に入れたけど。
前髪で隠せるからさ、アタシのアザは。)
アタシはアッサリと、
へへ、と笑って、
すまんな、と謝っておいた。
オカンという生き物は、
子供に、
いらんことしいのいらんこと言い、
をしてしまうものなのだ。
息子も理性で、
「あー、ムキになって悪かったわ。
修行が足りんな。」
「俺はさ、ニット帽かぶると、病気の人みたいに見えてイヤなんや。」
アタシはとっさに、
「誰か助けてくださいっ」
(モノマネ入り。「世界の中心で愛を叫ぶ」より。)
と言ってしまった。
息子にはウケた。
笑っていた。
(息子の体格じゃ、病気の人には見えんわ。)
まー、なんて不謹慎な、節操のない母親だ。
良識のある方に、また叱られちゃう。
息子は、
「あーあ、お金くれって言うから、こんなことになるんよな。
参考書買うって言ってお金もらえば良かったわ。
オカンに黙ってデートできたのに。」
ふふふ、
ふふふふふ。
デートの様子も、息子のご機嫌が良かったら、
根掘り葉ほり聞きたいんだけどw
どうかなぁw
迷惑な母親よねぇw
ほうら、親からお金をもらうということは、
支配されるということだあw
息子よ、さっさと経済的な自立を果たしなさい。
(お義母さまの貯金から、使い込んだ我が家。
アタシもお義母さまからさっさと自立したいものです。
金の切れ目が縁の切れ目、お義母さまから使い込まなくなったら、アタシは介護放棄をするかもしれません。)