未必の故意 | 奥歯にものは挟まずに

奥歯にものは挟まずに

認知症の義母をきっかけに、ふざけたブログを書き出して、
義母を見送りました。
イケてて笑える(笑われる)ババアを目指して、日々の暮らしを綴ります。

お義母様宅へ行ってきました。
お義母さまご自慢のお庭の剪定に、庭師さんがやって来ました。
庭師さんに、お茶を出す要員として、アタシは呼ばれたのです。

お義母さまは、なんとなく、もう自分があれこれできないことはわかっています。
やり慣れたことはなんとなくできますが、
お客様用の食器を出す、
コーヒーやお茶を手際よく出す、
食器を洗ってしまう、
などといった一連の作業が、
自分はもうスムーズにできない、と、
ちゃんとわかっているので、
アタシを呼ぶのです。
お義母さまは、もう歳だから、と思っていらっしゃるようですが、
それは認知症だからです。
アタシは決して、あなたは認知症です、とは言いませんが。
(お義母さまは以前に認知症と言われて、なんやとぉ!と、ひどく暴れました。
傷ついたんでしょうね。)


お義母さまは、最近調理をほとんどしなくなりました。
以前はカレーや煮物などを作っていましたが、
今日は、インスタントラーメンを作って朝食にしたようでした。
(お義母さまは、ワタシはラーメンを食べないよ、と言っていますが、ウソです。)

最近のお義母さまのメインのおかずは、缶詰めです。
鯖の味噌煮缶、さんまの蒲焼き、何パターンかはありますが、よく飽きないもんだ。
訪問介護サービスから送られてくる、ヘルパーさんが買ってくださる買い物のレシートからの情報では、
野菜らしい野菜は、あまり食べていません。
栄養バランスなんて、お義母さまは、考えて口にしてはいません。


お義母さま宅には、タバコもありませんでした。
お義母さまは、誰かが持っていってしまった、と言っていましたが、
自分で吸い切ってしまったんでしょう。
(自分でやった、という認識がないんです。)
タバコが切れてしまったことも記憶にとどめておけなくなっているみたいです。
これをきっかけにタバコを辞めることができそうなのですが、
買って、と頼まれましたので、アタシは2カートン買って置いてきました。


お義母さま宅は、いつもアメだのキャラメルだのを買い置きしてありますが、
今日はいっさいありませんでした。
お義母さまは、チビ(お義母さまの愛犬)が食べた、と言っていますが、
たぶん自分で食べたんでしょう。
(お義母さまに指示されて、アタシはチビにアメ玉を与えたことがありますが、
チビは口に含んで遊んだだけで、すぐ吐き出し、見向きもしませんでした。)
一袋税別¥87円のものを、3袋補充しておきました。


冷蔵庫に、アタシが年末に作った、エビの酒蒸しが、タッパに入ったまんま、腐っていました。
お義母さまは、私は食べ物を粗末にしない、と言っていますが、
冷蔵庫にものが入っているのかいないのかもよくわからない時があって、
食べそこねているようです。


お義母さまは今日もお元気そう。
ふと気になって、脈を取ってみました。
ドクドクドク、ドク、ドクドク、ドク、ドクドクドク。
あら、不整脈だわ。
もともと不整脈なんだな。


別居の介護。
アタシの場合は、
なにかと野放し。

お義母さまをキチンと管理するなんて、できやしない。
というか、アタシはする気がないのです。

これは、たぶん、
【未必の故意】。


お義母さまは、アタシのことを、優しい優しいと褒めちぎりますが、
お義母さま、それはまやかし。

認知症患者に正しい道を歩ませる介護者は、
多大な苦労が待ち受けます。

アタシは、【未必の故意】を胸に秘め、お義母さまのご機嫌を取り、
苦労は避けて、
お義母さまと接しております。

介護ブログのなかには、自らを鬼嫁とおっしゃる方は多い。
いえ、そうおっしゃる方は、がんばっていらっしゃいます。

アタシは自覚しています。
【優しい】=【未必の故意】