認知症を振り返る⑧ | 奥歯にものは挟まずに

奥歯にものは挟まずに

認知症の義母をきっかけに、ふざけたブログを書き出して、
義母を見送りました。
イケてて笑える(笑われる)ババアを目指して、日々の暮らしを綴ります。

認知症になってしまい、1人暮らしがあやうくなったお義母さまを、旦那が迎えに行った。

旦那はお義母さまに荷物をまとめさせ、犬と共に、タクシーで神戸に連れて来た。

お義母さまは、3冊ある通帳を旦那に見せ、
これだけ貯金はある。こずかいはちょうだいよ。世話になるよ。
と、タクシーに乗ったらしい。
乗ってしばらくすると、あれやこれやと喋り出し、旦那はまたしても辟易したらしい。
なんだか辻褄の合わない話や、妙な自慢や、人の悪口だからだ。

アタシが仕事を終えて帰宅すると、お義母さまはにこやかに談笑していた。
犬も元気に動きまわっていた。
今日はお疲れ様、もう寝ましょう、となった。
かつての娘の部屋のベッドに、旦那が寝ていた。
そのベッドの隣に、アタシはお義母さまの布団を敷いた。



次の日、我が家から車で3、40分ほどの距離に住んでいるお義姉さんが、犬を引き取りに来た。
お義母さまは愛犬チビを抱きしめ、イヤ!と抵抗したが、
アタシは、厳しくダメ!と叫んで犬をひきはがし、お義姉さんに渡した。
お義母さまはしばらく泣いていた。
ゴメンね、この家では飼えないよ、とアタシは説明した。

アタシはお義母さまが神戸に来たことを、奈良の地域包括支援センターや、T医院に連絡した。

何がどうなるかはわからないけれど、とりあえずお義母さまと暮らしてみよう。
アタシはアタシの普段どうりにお義母さまと接しよう。
お金の心配はあるが、お義母さまと共に暮らしながら、旦那もアタシもめいっぱい働くのは無理だ。
アタシもひとつ、旦那もひとつ、仕事を辞めた。

数日間、アタシは普段どうりにスーツ屋にパートに行き、お義母さまはおとなしく留守番していた。
お義母さまと平穏に暮らせるかに見えた。